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#8:ロンドンでポワロの家を訪ね、アガサ・クリスティの世界一のロングラン公演を観る

前回、少し先走ってスイスの旅をご紹介しましたが、ロンドンに戻ります。
ホームズときたら、次はポワロです。
ポワロファンとしては少々残念なのが、シャーロック・ホームズ博物館のような名所が無いこと。あんなに有名なのに。

それでも行ってみたいゆかりの場所がありました。
ポワロの住居「ホワイトヘイブン・マンション」です。
デビッド・スーシェ主演のドラマに出てきたあのアールデコ調の曲線の美しい個性的なお宅。
さすがにあれはハリボテとかではなさそうと思って調べてみたら実在していました。Florin Courtフローリン・コートというマンション。
ただ特に観光地となっているわけでもなく普通のお宅のようなので、そっと外観を見られたら満足です。

地下鉄のバービガン駅が最寄り駅ですが、私はバスで向かいました。
ちなみにロンドンのバスは現金で支払えず、ここでもタッチ決済のデビットカードが活躍しました。乗るときだけタッチします。

(↑分かりやすいと思ったブログ記事ですが、私はこの中のApple payやGoogle payに登録、はしていませんでした。シンプルにカード複数枚持ちです。)

ところでポワロの家を訪れたのはロンドン滞在3日目です。

初日に宿泊したホテルが色々と手違いと勘違いがあったらしくすごくて、何がすごいかというと踊り場に作られた部屋だったんですね。(よくあんな場所に作ったな!)
階段の途中なので誰かが昇り降りするたびに音がダイレクトに響くし、夜中に酔っぱらったらしい他の宿泊客が入ってこようとしたのかドアをガチャガチャさせるという恐怖体験もしまして、2日宿泊する予定だったところを急遽2泊目はホテルを変更しました。

こういうトラブルに遭ったときに慌ててホテルを予約するというのは、空腹時にスーパーに駆け込むのと同じくらいの危険を伴いまして、つまりはうっかりすごくいい部屋を予約してしまったのです(笑)。
今回の旅唯一のバスタブ付きの部屋です。えらく壁は薄かった記憶がありますが、それでも1週間くらいぶりに湯船に浸かることができて3日目はすっかり元気になりました。

ポワロの家は眺めるだけだったので朝早くのバス。
それでも前を歩いていた観光客に、「あなたのリュック全開よ~」とおせっかいを焼きながら颯爽と追い越すくらい元気はつらつでした(笑)。

さて、ポワロの家の最寄りのバス停に到着して5分ほど歩いたでしょうか、朝の通勤を急ぐ人が多かったです。
そしてついに、目的の建物が見えてきました。
うわ、本当にあった!

今にもポワロとヘイスティングスが出てきそう

ドラマで見ていた通りで、感激です。
ここの5階に住んでいたポワロ。このホワイトヘイブンを舞台にした、派手さはあまりないもののトリックが秀逸な「四階のフラット」という話が好きで、そこに出てきたポワロの暮らしぶりを想像しながら眺めていました。

ドラマにも出てきた、この建物の前にある公園について、いくつかのブログ記事で「プライベートパークなので入れない」と書いてありましたが、私が訪れた時はオープンで誰でも入っていいようでした。

チャーターハウススクエアとあり、グーグルマップからも分かるようになかなか広くて、公園と言うより庭園で散歩するのに気持ちのいい場所でした。
この庭園はthe Charterhouseチャーターハウスという、ポワロの家とは別の通りにある歴史的建造物の一角にあたるみたいです。

庭園から見たポワロの家。
小雨が降っていたせいか緑が青々としていて気持ちよかったです。


他にもポワロだけでなくアガサ・クリスティゆかりの場所と言えば、スコットランド・ヤードのノーマン・ショー・ビルディングズとか、ミス・マープルの『バートラムホテルにて』のモデルと言われるBrown's Hotelブラウンズホテルなど、有名どころがいくつも挙がります。

結局その中で訪れたのが、Burlington Arcadeバーリントン・アーケードという高級店が並ぶショッピング・アーケード(商店街)。
ピカデリーサーカス駅の近くにあります。

ドラマ第12話『ベールをかけた女』の冒頭に出てきます。
宝石強盗があり、犯人は捕まるけれど取り戻された宝石は偽物だった!という物語の始まりの舞台が、このバーリントン・アーケードでした。

この回のクライマックスは最後のロンドン自然史博物館での犯人との追いかけっこなのですが、冒頭にチラッとだけ出てきたこのアーケードが不思議と印象に残っていました。

実際に行ってみると…なんだかとってもファンシーです。
ドラマのシックな雰囲気とはだいぶ違いますが、確かにここのはず…。

警備?の方の制服もきまってます。
花びらを散らしたような華やかなアーケード
靴磨きも一流の職人の仕事、という趣

予想よりだいぶかわいらしいアーケードにデコレーションされていましたが、明るい内装で気分も上がりました。また立ち並ぶお店が職人技の光る高級店が多くて、ウインドウショッピングのしがいがあります。

見学するにはなかなか面白いスポットでした。
ドラマでは本当に色々と趣向を凝らして、ロンドンの各所を舞台にしていたんですね。


さて、実はさらにお楽しみを用意していました。

アガサ・クリスティは小説家ですが、戯曲もいくつか書いています。
その中のひとつ「ねずみとり」は現在も上映中で、私が訪れた時は、なんと72周年を迎えていました!世界最長のロングラン記録を更新中ということです。
もちろん殺人事件のミステリー。

ロンドンで起こった殺人事件の犯人が逃亡しているというニュースが流れているのと同じ頃、若い夫婦が営む山荘に集まってきた人々。大雪で山荘が閉ざされて孤立する中、捜査のために来た刑事のいる前で、さらなる殺人事件が起こる…というお話です。もちろん全員容疑者です。

ポワロは出てこないのですが有名な舞台を一度観てみたくて思い切って行ってみました。プロの演劇の舞台を観たのはこれが初めてです。

St. Martin’s Theatreセント・マーティンズ・シアターというほとんど専用のこぢんまりとした劇場で、1974年からずっと上演されています。

推理劇を観に行くのに、原作は読んでおくべきでしょうか?
個人的には、あらすじだけか、原作を読んでも途中でやめるか、もしくは短編小説版の『三匹の盲目のねずみ』を読むなどにとどめておくことをおすすめします。

私の場合、英語のせりふが理解できるか心配で、旅行前に日本語で原作を読んでいったのですが、ちょっと失敗だったかもしれない・・・。
何しろ犯人探しのミステリーなので、あらかじめ犯人が分かっていると楽しみが半減してしまいます。しかも伝統的な舞台とあって、おそらくせりふはほとんど一言一句、原作に忠実。何しろ読みたてほやほやでやってきたので、次に誰が何を言うか分かっていました。ストーリーを追っていく感じです。

それでも人生初の舞台を大好きなクリスティ作品で観られるのは得難い経験でした。真っ暗な中、誰も足音を立てないで移動している!レベルからいちいち感動。
観客の年齢層は若干高めで、みなさん落ち着いていて礼儀正しい方々が多かったので安心して観ていられました。
最後に出演者が「結末は誰にも言わないでね!」と言うのもお茶目で楽しかったです。

そもそもストーリーが面白く、原作もおすすめです。
もしも観劇にご興味があったら、てっぱんともいえる、この世界一のロングランの公演に足を運んでみるのはいかがでしょうか。



街中で見かけた、貴重なサイン本を販売するという書店。右の有名人たちにご注目
つい立ち止まって眺めていました。散歩が楽しい。


・参考資料


記事の内容は旅行当時の2024年4~6月の情報を基にしています。最新情報・正確な情報はご自身でお調べのうえ、ご確認ください。


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