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#2:クレラー=ミュラー美術館でゴッホの名作とスーラに出会う

オランダでゴッホのために半日ないし1日割けるのなら、アムステルダムから列車やバスを乗り継いで2時間ほどのオッテルローというところにある、クレラー=ミュラー美術館をぜひ訪ねてみてください。
『夜のカフェテラス』や『星月夜と糸杉のある道』など、ゴッホ作品としてよく目にすることのある名作が目白押しです。
ゴッホに魅了されたヘレーネ・クレラー=ミュラー夫人の尽力で紆余曲折を経て建てられた美術館で、アマゾンプライムビデオでその経緯についてのドキュメンタリーを観ることができます。

特に星が光る夜にカフェの黄色いライトが映える『夜のカフェテラス』が好きで、この作品を観られる美術館ということで訪問を決めました。

ただ少しやっかいなのが、アムステルダムから距離があること。
乗り継ぎも必要ですし時間もかかるので、個人旅行では躊躇してしまうかもしれません。現地ツアーはほぼプライベートツアーで、なかなかのお値段。
色々調べていくうちに、どうやら個人で行かれた方もけっこういるようで、道順をご丁寧に紹介しているブログも見つけることができました。
よし、じゃあ、試しに自分で行ってみよう!道に迷ったら現地で聞いたらなんとかなるだろ、と、いつもの楽観的思考で決定。

「地球の歩き方」を見るといくつか行き方はあるようです。
簡単に書くと、今回は以下のルートで行きました。

地図にしなくてもよかったような

①のNS(オランダ鉄道)Intercity(インターシティ)の乗車券は、当時NSアプリからだと前日まで割引で購入できました。行きはアプリから購入し、帰りは出発時刻が迫っていたのでデビットカードをカード読み取り機のポール(改札は無し)にあてました。
②と③のバスはデビットカードを利用。

クレラー=ミュラー美術館のチケットもあらかじめオンラインで日時指定をして購入しておきます。
この美術館はデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園という広大な敷地の公園の中にあり、美術館に入るには国立公園の入場料も支払わなければいけません。美術館とほぼ同じ金額です。美術館しか考えていなかったため、ちょっと複雑…。

しかしバスで薄日が差し込む森の中に入って行き、都会の喧騒から離れて静寂に包まれた美術館を見た時は、小さな感動を覚えました。

前日に訪れたゴッホ美術館のオーディオガイドが役に立ったので、予約していませんでしたがこちらでも受付で日本語のオーディオガイドを貸してもらいました。ここまでやってくる観光客は少数派で、ゆっくり鑑賞できます。

入場し、さっそくゴッホの展示場所に向かって行くと・・・『夜のカフェテラス』を含めた超・超・有名作品5点がずらりとお出迎え!ゴッホの間の入り口にあたるところだったので、心の準備をする前にお目当てが勢ぞろいしました。サイトの写真を見るとここの作品は入れ替わりがあるようです。私が訪れた際は見たかった作品がそろっていたのですぐに満足してしまって、もうこの前のベンチに座って眺めてればいいわとさえ思いました(笑)。

ゴッホの作品の力強さに圧倒されると目が離せなくなります。糸杉は今にも風で揺らめきそうですし、『夜のカフェテラス』で使われている黄色は予想していたよりもずっと明るく、黒を一切使用していない夜の青との対比で本当に光を放っているように感じました。

今回、特に印象に残ったのは『郵便配達人ジョゼフ・ルーランの肖像』です。
アルル時代のゴッホの友人を描いたもの。
視線がまっすぐこちらを見てくるので少し緊張感がありますが、クルクルの豊かなひげが愛嬌があって人のよさが伝わってくる気がします。花と明るいエメラルドグリーンのカラフルな背景によって「なんだか楽しい絵」という印象を受けました。
ちょっと残念なのは、この背景の緑色がカメラやポストカードでは色合いが変わってしまうこと。実物はもっと淡くて白っぽく、人物を引き立てていました。

ゴッホの他にもモネやスーラ、ピカソなどの絵画やロダンやジャコメッティなどの彫刻も数多く展示されています。

中でも点描で有名なスーラの『シャユ踊り』が圧巻でした。170×141cmの大作です。この大きなキャンバスにコンピュータグラフィックスのピクセルを思い起こさせるような無数の点描がびっしり。
「シャユ」は「大騒ぎ」という意味のようです。女性も男性も足を高く上げて踊りを楽しんでいます。今にもキャンバスから人物が飛び出てきそう。

ゴッホの点描作品『レストランの内部』

鑑賞後は、美術館内のカフェでランチ。木々を眺めながら食事ができる開放的なカフェです。
ファストフード店と同様、受付で注文・支払いをして受け取る方式です。

アムステルダムの人混みに疲れてしまっていたところだったので美術館の周りの自然には癒されました。
予定より早く鑑賞が終わり、もう少しゆっくりしようとバスを一本見送ったのですが、帰りのバスは1時間に1本!やることもなく公園内をぶらぶら歩いていました。
元々美術館だけですぐ戻る予定だったので公園の楽しみ方を調べていなかったことを後悔しました。せっかくお金を出して入ったので、せめて自転車は無料で借りられることを調べておいて園内を散策すればもっと楽しめただろうと思います。広すぎて歩くところではないです(笑)。


そしてそれは帰途で起こりました・・・。

案内板が見えない座席にいたせいで降りる予定のバス停に気づかず、通過してしまいました!やってしまった!バスを降り損ねるというなんとも初歩的なミス!乗り継ぐ予定のバス、もう来てる!これを逃すとおそらくまた1時間、というか戻るバスが来るのも1時間待たなくてはいけないかも・・・。

他に乗客がいないバスの車内で運転手さんのところへ走っていき、「(バス停)通り過ぎちゃった?!次はどこまで行くの??」とパニックになって聞きました。ただでさえ出てこない英語は焦るともっと出てこないのでした。運転手さんもあまり英語は得意ではないようで、ふたりして一瞬アワアワしていましたが、事態を理解した運転手さんが「よっしゃ、任せとけ!」のようなことを言って(そんな気がして)ロータリーをぐるりと回ってバス停に戻ってくれました!ええ、いいの?大丈夫なの?と思いつつ、私を降ろした後、バスはそこに停車しました。最終地点だったのかどうか?よく分かりませんが優しい運転手さんのおかげでなんとか接続のバスに飛び乗り、無事に戻ってくることができました。

おそらく個人で行かれる方が乗り継ぎが必要な遠出をする際に心配するハプニングはこういうことだと思いますが・・・こんな感じです。
運が良かっただけなので「なんとかなります!」と胸をはれるわけでもありませんが、この時はなんとかなりました。やるだけやってみてよかったです。
あのときの運転手さんが良いお年を迎えられますように。

行きのバス車内。次のバス停名が分かる場所に座るのが大切。


こうして、ささやかですがひと夏?の冒険をして『夜のカフェテラス』を観てきました。

しかし、なんとなんと、このゴッホの傑作が日本にやってきます!

クレラー=ミュラー美術館所蔵の名作を2期に分けて公開するというのです。他に『自画像』や『アルルの跳ね橋』を観られるそう。神戸が一番早くて2025年の9月からで、東京は第1期が2026年5月~8月、第2期が2027年10月頃~2028年1月頃とのこと。
大変なことになりました。

ゴッホファンのみなさん!長生きしましょうね(笑)。


・参考資料

・参考にさせていただいたブログ


記事の内容は旅行当時の2024年4~6月の情報を基にしています。最新情報・正確な情報はご自身でお調べのうえ、ご確認ください。

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