加害者になるということ(3)終
紹介した、さおりさんのお子さんも、自分を制御出来ず加害者になってしまいました。
私自身は、弟も、さおりさんのお子さんも、絶対にやってはいけないことをした。と感じています。
もちろん背景には、障害の特性があり、自分自身でコントロールするのが難しいという面があります。
また弟も、さおりさんのお子さんも実際に被害も受けています。
(さおりさんのお子さんは、しつこく傷つく言葉を浴びせられました)
自分でコントロールする事が難しく、心や身体の微調整が難しい子を守るには、どうしたら良いのか。
さおりさんのお子さんに関しては、加害をした時の気持ちを表す時に、衝撃的な言葉を口にしています。
この言葉もまた、自分の気持ちを言語化するのが苦手な子ども達には、見られる現象です。
本当は、傷つく言葉をしつこく浴びせられて、悲しかった。辛かった。という気持ちを、衝動に任せて違う言葉で発してしまうのです。
私は言語聴覚士として、言語化が難しいお子さんの言葉は間に受けない様にしています。
間にうけてしまっては、その子の本当の気持ちが分からなくなるからです。
特性のある子を犯罪から守るためには、徹底的にその子を客観視する事が大切だと思います。
そして、その事実を本人に伝えていく事が大切だと思います。
弟の場合は、決断をする前に、自分の特性について知ることが大切でした。
自分がどう見られているかのメタ認知や、他者と付き合う時の、コミュニケーション の表現方法を学ぶこと。
そして何より大切な事が、逃げる。諦める。ということを覚えておくこと。
弟に関しては、進路について諦めるということ。(注1)
さおりさんのお子さんに関しては、逃げるということ。
社会に出てしまったら、学校の時の様に守ってくれる人は居ません。
守ってくれる人が側にいる間に、諦め、逃げを覚えておくのが良いと思います。
諦め、逃げは、自分を守るための手段です。
さおりさんのお子さんに、傷つく言葉を浴びせ続けた相手のお子さんも、
弟を暴行したお父さん達にも、思うところはありますが、
そんな理不尽な生き物を前に、自分で自分を守っていく術を、これからも一緒に考え続けていきたいと思います。
現在弟は、一人暮らしはしておらず、母と暮らしています。
そして保育士にはなれませんでしたが、行き場の無かった弟の事を採用してくれた、一般の職場で働き続けています。
採用してくれた方は、弟を障害者としては見ず、黙々と丁寧に働く姿を、きちんと見てくれ、働き出してから何年か経った後、正社員にしてくれました。
職場は、実はお客さんとのコミュニケーションや、クレーム対応も必要なのです。
何年も働き続けて、自分なりにスキルも身につけていった様です。
子どもを見ることも、私の子ども5人の面倒もよく見てくれ、子ども達は懐いています。
世の中には、理不尽な生き物が溢れていて、傷つく事も沢山、沢山ありますが、
きちんと、その人自身を見てくれる心意気のある人も存在します。
私のモットーは、
自殺しない事、殺さない事。
自分も傷つけず、相手も傷つけない様に。
諦める。逃げる。
自分の人生を守りきって生きてください。
注1: 発達障害の方すべてが、保育士に向いていないという事は、決してありません。
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