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沸点

急に100℃になる子ども達

発達がゆっくりな子にとって、
第一反抗期と重なる時期はイー!となる姿が、発達の遅れからきているのか、生理現象である第一反抗期からくるものなのか分かりづらい。

見極めはこうだ。
認知発達の観察と実際の生活年齢の状況とを切り離して考える。



3歳になったばかりの子どもさん。


認知発達は1歳程度。
でもこのところ、前には無かったイライラやイー!となることが増えた。

ここであたふたしてはいけない。
母達はあたふたしても良い。そんなもんである。だが私達は専門家として、あたふたはしてはいけない。

イライラやイー!が出て来たことは
観察のチャンスである。
さぁ、さぁ実験の始まりだ!美味しい料理を作るには火加減が重要だ。

うんうん。予想通り、いきなり100℃の熱々になったね。
おっと感情だけでなく力加減も全力MAXか!
持久力もあるから、かれこれ30分以上身体をよじらせたりしながら泣き叫んでるね。


力加減がMAX、感情表出は100℃でくるのは、たしかに発達の凸凹からくる「加減」のコントロールの問題である。
しかし「僕はこれをしたかった!」「まだ終わりたくなかった!」という自己表出は自我の芽生えであり自己主張なのだ。

自己主張はとても大切な成長である。
自己主張が自分らしさを形成していく。


この自己主張をぜひとも尊重したい。
それは、子どもの言いなりになるのとは違う。
自己主張を尊重しつつ、自己主張を相手に伝わりやすく伝えるための、沸点の温度調整、力加減のコントロールをサポートしていくのだ。

そして、大人の意見も聞き入れられるような状態にしていく。
自己主張の先には、かならず「話し合い」「交渉」が不可欠だということを伝えていく。


この時言葉だけで伝えるのではなく、カウンセリングの大原則である「傾聴」を駆使して、代弁しながら身体を支え、力加減の微調整の感覚を伝えていく。
(ゆっくり積み木をおもちゃ箱に入れる感覚を、身体を支えながら筋肉の緩みの微調整の仕方を伝えていく)


沸点が100℃から60℃ぐらいの適温で調整できるように。
筋肉の張りに任せて、MAXでおもちゃを投げないように、力加減の微調整ができるように。


感情や力加減の微調整が出来た先に、ようやく自己主張を叶えるための「交渉」のチャンスが巡ってくるからかね。



発達の凹凸を観察しながら、第一反抗期に付き合うこと。
カウンセリング術を叩き込まれていなければ、こちらも感情に任せて、火に油をそそぐことになりかねない。


身体が小さい2歳、3歳の第一反抗期のうちに、自己主張をするには他者との「交渉」が必要だと知らなければ、10年後の第二反抗期でも沸点100℃、力加減MAXで、他者に向かうことになる。
身体は恐ろしいぐらい大きくなっているのに。
(特にこだわりが強い自閉傾向があるお子さんは、偏食や食べる量の微調整が難しいことが多くガタイが大きくなる場合がある)


療育現場では親御さんに第一反抗期と付き合う大切さを伝え、反抗期に入ったら4〜5回のセッションは泣き叫んで終わるが「覚悟」してほしい。と伝えている。

親御さんの、この「覚悟」がこの子の人生の支えになっていくのだ。


療育の現場で学ぶことは多い。
子どもの「成長」に、私も沢山成長させてもらっている。

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