YOU&Iの歌詞の世界
B'zの隠れた(いや、隠れてないかも)名曲ってたくさんあります。
「ねがい」のカップリングとして人気の高い「YOU&I」もその1つではないでしょうか。
本当に本当に大好きで、最初聴いた瞬間から大きな衝撃を受けたものです。
まず最初。
いきなり出だしから「きらいだ」で始まるわけです。
この衝撃的な言葉に続くのが「あなたといるときの僕が」という下の句(?)なんですよね。
そして更にその嫌いな理由は「たまらなく情けなくて」となるわけです。
この曲の主人公はおそらく大好きな相手がいる男の子。
しかも付き合ってない。ここが大きなポイントですよね。
他の男の子と話したりしている大好きな相手にジェラシーを感じつつ、日々を過ごしているということです。
そんな主人公の彼がサビで一番伝えたい言葉。
それが「いなくなってしまえ。」なんです。
こんなにも毎日、モヤモヤと過ごしてしまうのなら、いっそのこといなくなってくれれば良いのにという極論ですね。
きっと「あなた」がいなくなってくれれば憂鬱さや嫉妬心、そんなものから解放されて心豊かに過ごせるというのが主人公の主張です。
おいおい、この主人公どうなんだ?!と思って2メロにいくとこれまた衝撃が襲うのです。
2メロの出だしは「きらいじゃない」です。
1メロと正反対の言葉ですよね。
でも、1メロの「きらいだ」と2メロの「きらいじゃない」は稲葉さんの歌い方もシンクロしていると言いますか、なんて言えばいいのか。
「きらい」という3音は1メロと2メロではほとんど同じなんですよね。
全く別のことを歌ってるのにこのシンクロ率。さすがです。
そして2メロの出だしに続く言葉は「あなたと楽しむ僕は」です。
自分と向き合ってくれている「あなた」は「僕」が好きになったまぎれもない「あなた」で、そんな「あなた」と一緒に過ごす時間はとっても素晴らしい時間なんだ、と言っています。
まさに1メロの内容とは正反対。
だけどこれこそ、「恋」!
そして2サビでも伝えたいのは「いなくなってしまえ。」なんですよね。
でも今回は「歓びと一緒に」となっています。
1サビで言ったように嫉妬心や憂鬱な感情もなくなるけど、歓びもなくなっちゃうんだよね。ということなんですよね。
そして「シメ」の部分。
ここではサビのメロディでやってきます。
ここでもまた「憂鬱」と一緒にいなくなって!と願うんです。
しかし主人公は知ってしまっています。
「あなた」がいなくなるということは何もなくなるということ。
だからここでは「あとは寂しさに耐えればいい」と歌っています。
このどうしようもないジレンマのような感情。
一緒にいると楽しいけど、同時に嫌な気持ちも増えていって、身も心もボロボロになっちゃうという切ない恋心ですよね。
でも、最後の最後の部分では「きっと良かったんだろう、僕たちはめぐり会えて。」で結んでる所が絶妙に切ない。
そしてこの歌詞を2回繰り返しているというところがなんだか主人公が自分に言い聞かせているようにも聞こえて更に切ない。
これだけ恋の心のアップダウンを描いている曲なのに、しっとりとしたバラードではないというところもまたこの曲の大好きなところ。
稲葉さんの描く歌詞の世界では、幸せな恋愛、というよりちょっと報われない男性という印象が強いのはこの曲のせいかもしれません。
似たような曲では「SICK」とか「give me your love」とかですかね。
こういった両極端の感情をこうして歌詞として歌いあげるのが本当に好きだなあ~と感じる一曲でもあります。
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