「ミダレチル」の歌詞の世界
ミダレチルは後悔の詩
今回は「FRIENDSⅢ」の中に収録されている「ミダレチル」の歌詞の世界をご紹介します。
まずこの歌、「FRIENDSⅢ」の中ではとてもアップテンポな一曲になっています。
なんですが、歌詞を覗いてみるととても後悔の強い曲なんですよね。
先日、届いたB'zパーティの会報誌でも稲葉さん、ご自身「ミダレチル」は「後悔」をテーマにした歌だとおっしゃってたんですよね。
清廉な人生を歩める人っているのかな?
何がそんなに後悔しているのか?というと、自分のために尽くしてくれた人に対して身勝手な振る舞いで裏切ってしまった事に対する後悔なんですよね。
これは誰もがちょっと心当たりのあるところではないんでしょうか?
もちろん私にもあります。
自分に対して「優しく」してくれた人に対して同じ優しさを返せていないこととか。
それを全てきちんと返している人こそ「清廉な人生」を歩んでいるということなんだと稲葉さんは歌っています。
でもそれって無理だよね・・・なんて思っちゃったりもするのは私が若輩者だからでしょう。
「ミダレチル」の主人公は毎日、過去の自分のして来たことに対して「仕方なかったよね」と自分で自分を慰めながら自分の罪を忘れちゃってるんですよ、と言ってるんです。
後悔は先には絶対に立ちません
その自分の犯した罪をすぐに忘れちゃう主人公ですが、ある時に急に酷いことをしてしまった自分に立ち戻るんですよね。
それは自分が裏切ってしまった人の笑顔を思い出した時で、泣いても戻ることはできないと後悔しているんです。
そんな自分の心の葛藤が最後に「音もなく乱れ散る」と歌い上げているのがとても印象的です。
自分だけじゃないと信じたい
2サビでは自分が裏切ったことも「世に散らばるありきたりな悲劇だと思いたい 思わせてくれ」と歌っています。
思い返してみれば「あんなことしちゃったなあ」と思うような思い出も、何も自分だけじゃないでしょ。
他の人もこんな思い出結構あるよね、と歌ってるんですよね。
これこそが、「乱暴に食い荒らす青春」を犯してしまった残酷さの延長だと感じました。
「何ひとつ成仏しないこのさだめ まだ足りない償い」というのはこの時のことを思い出して、「ああ、やっちゃったな」と後悔してる。
そして裏切ってしまった本人に償うことはもう二度とできないだろうから、償いは一生終わらないと言っている気がします。
印象的なのは「あんた」
稲葉さんが「あんた」と歌うのもすごく珍しいと思いますが、それ以上にこの「あんたの~」の所の言葉とメロディがぴったり過ぎてここのメロがインパクト抜群です。
ライヴに行っても稲葉さんは「みなさん」とか呼びかけるように「あんた」なんて使ってるの聴いたことないです。
ですよね?(^^;
だからこそ、メロディ部分で何回も繰り返される「あんた」という言葉とメロディが心に染み込んできて、何度も何度も聞いちゃうんですよね。
そして最後のメロの部分で「罪深く晴れ渡るあの空」と変則的(?)、前のメロの部分と少し違うライン(?)、で歌ってくれるのがすごい。
晴れ渡ってるのに「罪深い」。
良く聞くのは償いがすんで、気持ちが晴れ渡るようにスッキリとした空・・・というイメージなのに真逆なことを歌ってるんですよね。
このことから、この主人公の犯している「罪」はどんなになっても償いきれることはないんだろうなあ・・。
それはきっともう時間的に戻れないからかなあ、なんて思えるアップテンポだけどすごく切ない歌でした。
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