【京都歳時記】八坂神社 をけら詣り
をけら詣り
日時:12月31日~1月1日
場所:八坂神社
大晦日、八坂神社の周辺では火縄をくるくると回しながら家路を急ぐ人々を見かけます。火縄に灯っている火は「をけら火」と呼ばれ、をけら詣りに訪れた人々に授与されるものです。八坂神社境内にある“をけら灯籠”から吉兆縄にをけら火を移し、火が消えないように縄を短く持ってくるくる回しながら帰ります。
新年の無病息災などを願って、をけら火を家に持ち帰ることは、京都の風物詩となっています。「をけら火」を電車に持ち込んで家へ持って帰ったという時代もあったようですが、今はできなくなっています。
をけら詣りとは八坂神社で元旦早朝に行われる「白朮祭」に向けて行われる一連の祭事の一つです。祭の名前にもなっている白朮とは、キク科の多年草で、漢方薬に使われるほか、お正月にいただく屠蘇の原料とされることもあります。八坂神社で燃やされるのはこの白朮の根の部分です。燃やすと独特の芳香を放つため、古来、邪気を祓う力があるとされてきました。
白朮祭は、白朮を用いて厄を除け、新年を祝うための祭事です。
をけらの火は、12月28日に行われる鑚火式にて、古式にのっとって火鑚杵と火鑚臼を用いて起こされたものです。鑚りだされた日は殿内のをけら灯籠にともされ31日まで出番を待ちます。
31日19時から行われる除夜祭が終わると境内3か所に用意されたをけら灯籠へ、をけら火を移動させます。境内のをけら灯籠には、参拝者が願いを書いた「をけら木」が準備されています。をけら火でこの木を燃やすことで、所願成就を願います。
をけら火は夜を徹して焚かれ続けており、をけら詣りに訪れた人々は「吉兆縄」にこの日を移し、家に持ち帰ります。
この吉兆縄は、藁ではすぐに消えてしまうことから竹で作られています。持ち帰った火は新年の健康を祈って、神棚の灯明にともしたり、雑煮を焚く火種にしたりする習わしです。また燃え残った火縄を捨てず台所にお祀りすると「火縄のお守り」になるとされています。
八坂神社
祭神:素戔嗚尊、櫛稲田姫命、八柱御子神
社格等:二十二社(下八社)、旧官幣大社、別表神社
創建:伝・斉明天皇2年(656年)
例祭:6月15日
歴史(はじまり)
かつて、祇園社、祇園感神院、祇園天神社、牛頭天王社などとよばれたが、慶応四年(1868年)に現在の社名となった。
斉明天皇二年(657年)に高麗から来朝した伊利氏(八坂氏祖)が新羅国牛頭山の素戔嗚尊の神霊を八坂郷に祀ったと伝える。または、貞観十八年(876年)に南都興福寺の円如が堂宇を建て、のちに祇園天神堂を建立したともいう。古くから疫病除けの神として崇敬され、御霊会を行ったとされる。
文化財
国宝:本殿(祇園造)
重要文化財
建造物:八坂神社29棟
美術工芸品:紙本着色祇園社絵図、祇園執行日記9冊(附 祇園社記等59冊)、八坂神社文書、他多数