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【京都歳時記】京都えびす神社 十日ゑびす大祭


十日ゑびす大祭

商売繁盛の神様・ゑびす神を祀り、「えべっさん」と呼ばれて親しまれてきた恵美須神社。「初ゑびす」の通称でも知られる十日ゑびす大祭では5日間にわたり、様々な神事が執り行われます。

「商売繁昌で笹もってこい」というゑびすばやしの勇ましい掛け声とともに、松竹梅や紅白の飾り物が華やかな宝恵かごに乗った東映太秦映画村の女優が社参し、境内をにぎわせます。そしょて市内の商店などへと吉兆笹が配られ、商売繁盛を盛大に祈願します。10日に行われる女優による参拝者への福笹授与、11日の残り福での舞妓による福笹と福餅の授与は、京都奈良での祭りの風景と言えるでしょう。境内では他にも大宝や福熊手、宝船などの縁起物が授与され、多くの人々が一年の吉兆を願います。

宝恵かご社参

東映の女優さんが松竹梅と紅白に飾ったかごに乗りこみ、ゑびすばやしの「商売繁昌でささもってこい」のかけ声勇ましく、太秦の映画村より神社へ参拝し、それより順次各デパート、商店、銀行等へ吉兆笹を配り、京の初春を祝います。

京都ゑびす神社

京都えびす神社は、恵美須神社、京都ゑびす神社とも称される。「えべっさん」の名で親しまれている。航海、旅行の安全にご利益があるとして、「旅えびす」とも呼ばれる。「日本三大えびす(ほかに、西宮神社、大阪今宮神社)」の一つに数えられている。 
祭神は、八代言代主大神(やえことしろぬしのおおかみ)、大國主大神(おおくにぬしのおおかみ)、少彦名神(すくなひこなのかみ)になる。都七福神まいりの一つ、えびす神。
商売繁盛、平和祈願、家内安全、旅行安全、航海安全、交通安全、豊漁、家出人探し(足とめ天神)などの信仰がある。御朱印が授けられます。

京都ゑびす神社HPより

1202年、栄西による建仁寺創建の際に、境内に鎮守社として恵美須神を祀り創祀されたのが始まり。

建仁寺を建立した栄西は、宋に留学した。帰国途上の船中で、大風により船が沈没しそうになる。その時、高波の底にえびす神が現れたという。栄西がえびす神を船に祀ると嵐はおさまった。以来、えびす神は建仁寺境内に鎮守社として祀られたという。

 えびす(戎、恵比須)は、イザナギノミコトとイザナミノミコトの最初の子・ヒルコノミコトをいう。3歳になっても、立つことも声を出すこともできなかった。このため、葦舟に乗せられ海に流されたという。
 中世以降、えびす神信仰が生まれ、唯一日本生まれの神として七福神に加えられる。左手に鯛、右手に釣竿を持つ。漁業を好み、産物を米穀と交換したことから、海上、漁業、商業、商売繁盛の守護神になった。

 「十日えびす」(1月8日~12日)の信仰はかつて今宮神社より、江戸時代中期に京都にも伝えられたともいう。えびす神は1月10日寅の刻(午前4時)生まれという。それにあやかり十日えびすの信仰が始まった。「初えびす」ともいう。福笹は、「商売繁昌、笹もってこい」の掛け声の通りに、家運隆昌、商売繁盛の象徴になる。

 えびす神と笹(吉兆笹)を結びつけたのは、京都ゑびす神社の18代神主の創意によるという。笹は目出たい縁起物、松竹梅の竹の葉になる。笹は、節目正しく真直に伸び、折れずに常に青々と繁り、葉が落ちない。さらに、葉の形は小判の形をしているため縁起を担がれた。ほかに、縁起物の御札の「福俵」「福銭」「御影」「大宝」など縁起札が授与される。東映女優が乗る「宝恵籠(ほうえかご)」が出る。
 笹とえびす神の形も、京都ゑびす神社独自の「御札」より広まったという。30代宮司により、「のこり福」も考案された。これらの風習は、社前の露天商が全国に普及させたという。

 「二十日えびす」(10月19日~20日)もまた、京都の祭礼という。江戸時代初期に、京商人は「渡り商い」をして、10月に帰京した。商人らは、えびす神を祀り、商売繁盛、旅の平安の御礼詣りをした。それが全国に普及したという。祭礼中は、「福笹」「銭袋」「お礼」など縁起物の御札が授与され、五穀豊穣を願いえびす囃子が奉納される。

 なお、近代、明治期(1868~1912)以降、大正期(1912~1926)以降とも、冠者殿社(下京区)の「誓文払い」と京都ゑびす神社の大祭の日の「えびす講大売り出し」が結びついたという。一年を通して、商い上の駆け引きでついた嘘の罪を祓い、神罰を逃れる信仰だった。その参詣が当社にとって代わったともいう。

えびす神

えびすは、高齢で耳が不自由とされる。このため、本殿の正面で一度参拝後に、本殿南の板を手で叩いて、再度お願い事をする。
鳥居に掲げられている「えびすの顔(尊顔)」は、1982年に奉納された。
熊手に網の籠(福箕)が付けられている。この籠をめがけて下からお賽銭が投げ上げられる。お賽銭がうまく入ると祈願成就するといわれる。

8日  招福祭(宝恵かご社参、湯立て神楽神事、餅つき神事・23時閉門)
9日  宵ゑびす祭(招福まぐろ奉納、宝恵かご社参、祭典執行・夜通し開門)
10日 初ゑびす祭(福笹の授与、祭典執行・夜通し開門)
11日 のこり福祭(福笹と福餅の授与・祭典執行・24時閉門)宮川町、祇園町の舞妓さんによる福笹、福餅の授与14時~16時、20時~22時
12日 撒福祭(祭典執行・22時閉門)神楽殿では、終日、神楽の奉納が行われます。

住所:東山区大和大路通四条下ル小松町
アクセス:市バス207系統四条京阪前・阪急京都線 京都河原町駅・京阪本線 祇園四条駅
HP:http://www.kyoto-ebisu.jp/

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