【京都歳時記】三十三間堂 楊枝のお加持・通し矢
楊枝のおか加持
楊枝のお加持は、後白河法皇が、観音への篤い信仰から発願建立されたもので、後白河法皇が頭痛で悩まれた際に、頭痛平癒の祈願でたいへん効力があったことに由来し、本尊・千手観音菩薩のご宝前で7日間祈願した閼伽水(浄水)を、”人の熱悩を除く”とされる霊木・楊枝(やなぎ)の小枝を持って参拝者の頭上に灌いで無病息災・厄除開運のご利益を授ける修法です。正式には「楊枝浄水供(ようじじょうすいく)」と呼ばれます。
本尊の前では特別祈願の「矢形の福柳(福柳・厄除陀羅尼・干支柳)」が置かれて祈祷読経が行われ、参拝者に授与されます。また外陣では、参拝者の頭上に一人ずつ洒水を受けます。なお「大的全国大会」と重なるこの日は境内は終日無料公開される。
通し矢
三十三間堂では江戸時代から、通し矢と呼ばれる競技が行われていました。この競技は各藩の弓術家が本堂西軒下(長さ約120m)の南端から北端の的を狙い、射通した矢数を競うもので、「軒下を通す」ことからその名が付きました。
軒天井に当たらぬよう矢を射抜くことは至難の業であり、通し矢は弓道家の誇りをかけた競技でした。
中でも、メインイベントとされたのが、「大矢数(おおやかず)」と呼ばれた種目で、なんと暮六つ(午後6時)から一昼夜(24時間)に凡そ、1万本もの矢を射続け、的に当てた数を競うという、豪快かつ壮絶な競技がありました。
三十三間堂には「矢数帳(やかずちょう)」と呼ばれる書物が残されていますが、そこには行われた競技の記録(総矢数や命中の数)が記されています。それによると、紀州藩士の和佐範遠(わさ のりとお)という人物が、総矢数13,053本、通し矢(命中)8,133本という大記録を打ち立てています。
この矢数を時間で考えると、1時間に544本、1分間に約9本、6秒に1本の間隔で弓を射っていたことになり、まさに驚異的な記録です。
それにちなみ、新年を彩る行事となったのが、60mの距離から的を射る大的大会です。射手はその年の成人を迎える弓道の有段者と、称号者たちです。晴れ着をまとった新成人が境内を華やかに彩ります。
三十三間堂
日時:1月15日に近い日曜日(2025年は1月12日)
住所:京都市東山区三十三間堂廻町657
アクセス:市バス100・206・208系統 博物館三十三間堂前下車、京阪本線 京阪七条下車
HP:http://www.sanjusangendo.jp