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【京都歳時記】どら焼き 笹屋伊織

どら焼き

「どら焼き」と聞けば、誰もが円盤状の柔らかい生地で粒餡を挟んだお菓子を思い浮かべます。しかし、笹屋伊織が江戸末期から手がけている「どら焼」は、棹物(棒状の和菓子)です。江戸末期に東寺からの要請で生まれたもので、その製法は一子相伝。秘伝の味は、代々の当主に受け継がれ今日に至るまで守り続けられています。

名前の由来

江戸時代末期、五代目当主・笹屋伊兵衛が、京都・東寺のお坊さんから「副食となる菓子を作ってほしい」と依頼を受け 鉄板の代わりに、お寺の銅鑼(どら)の上で焼いたことから「どら焼」と名付けられました。

形状の由来

熱した鉄板の上に生地を流し、棒状にしたこし餡を転がすようにして包みます。 こうして、モチモチとした秘伝の薄皮がまるで年輪のように美しく巻かれて円柱型になります。羊羹の次に古い棹菓子とも言われています。

伝統の味

お坊さんの役に立つよう、腹持ちがよくて、黒文字がなくても食べやすいのが特徴です。また、お寺に納めるものですから、卵を使っていません。
笹屋伊織のどら焼の製法は今も変わりません。皮は小麦粉、砂糖、米飴、ハチミツなどが主原料。鉄板で焼いた薄皮に棒状のこし餡を乗せ、巻いたあと、竹皮で包めば完成。食べるときは竹皮に巻いたまま、好みの厚さに切り分けます。
今日に至るまで、吟味を重ねた素材、変わらぬ製法で、代々の当主が秘伝の味を守り続けて来られた伝統の和菓子です。

発売日限定

もともと一般販売はしておらず、弘法大師ゆかりの東寺にだけ納めていたどら焼。その美味しさが町中に広まりましたが、手間ひまかかり大量に作ることができないため 弘法大師の月命日である「弘法さん」に合わせて、毎月21日のみ販売することになりました。1975年より期間を3日間に延ばし、毎月20、21、22日とさせていただいております。

笹屋伊織の歴史

笹屋伊織が京都に暖簾を掲げたのは、今から300年以上前の1716年。江戸時代、徳川吉宗が徳川幕府八代目将軍に就任した年です。
伊勢の城下町で和菓子職人をしていた初代笹屋伊兵衛が、その腕を認められ御所の御用を仰せつかり、京へと呼び寄せられたことが始まりです。以来、有職菓子司として京都御所や神社仏閣、茶道お家元の御用を務めて300余年の歴史を重ねている。

店舗情報

創業:享保元年(1716年)
住所:京都市下京区七条通大宮西入花畑町86
営業時間:9時~17時(併設のイオリカフェは16時30分LO)
アクセス:JR東海道線西大路駅下車


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