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〈きょうとシネマクラブ〉vol.2 - 『ムーンライズ・キングダム』上映のおしらせとキャストにまつわるあれこれ

きょうとシネマクラブ作成:オリジナルポスター
©2012 MOONRISE LLC. All Rights Reserved.

映画館・京都シネマと配給会社・Gucchi’s Free Schoolが企画する〈きょうとシネマクラブ〉、その第二弾の上映作品がウェス・アンダーソン監督の『ムーンライズ・キングダム』に決定いたしました。
そして第三弾には同じくアンダーソン監督の長編デビュー作『アンソニーのハッピーモーテル』が決まっています。


1. 『ムーンライズ・キングダム』上映情報

◉上映期間:2024/11/22(金)~2024/11/28(木) at 京都シネマ
*上映時間は決まり次第、劇場ホームページにて掲載いたします。
◉料金:1,500円均一
★このあと、12月20日(金)からは『アンソニーのハッピーモーテル』の上映があります。

2. 『ムーンライズ・キングダム』について

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021年)『アステロイド・シティ』(2023年)のウェス・アンダーソン監督が「こんな子供時代を過ごせたらいいなという願望を込めて作ったんだ」とコメントしている長編7作目。12歳の少年少女が、秘密の場所“ムーンライズ・キングダム”を求めて繰り広げる“ひと夏の大冒険”は、第65回カンヌ国際映画祭でオープニング作品とコンペティション部門に同時に選ばれるという極めて稀な事態を引き起こしました。すでに本作の人気は言わずもがなというところですが、ぜひこの機会に、『ムーンライズ・キングダム』と出会う/または出会い直しをしてみませんか。スクリーンを通して観る『ムーンライズ・キングダム』。きっと素敵な体験が待っているはずです。

誰も知らない秘密の場所“ムーンライズ・キングダム”を目指して――
1965年、ニューイングランド沖にある小さな島で、12歳のサムとスージーは恋に落ちた。ボーイスカウトのキャンプから脱走したサムと、両親の目をかいくぐって家出したスージーは、秘密の場所“ムーンライズ・キングダム”を目指して駆け落ち。そんなふたりを、親、警官、福祉局、ボーイスカウトの子供たち&スカウト犬のスヌーピーらが大追跡! 島中を巻き込んでの“愛の逃避行”が始まる……。

劇場公開時のプレスより

PG12|Moonrise Kingdom
2012|米|94分|監督:ウェス・アンダーソン
出演:ジャレッド・ギルマン、カーラ・ヘイワード、ブルース・ウィルス、エドワード・ノートン、ほか

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3. ウェス・アンダーソン監督って?

昨年の2023年には「ウェス・アンダーソンすぎる風景 in 渋谷」も開催され、日本での人気もますます高まるウェス・アンダーソン監督。

1969年、テキサス州ヒューストンに生まれたアンダーソンは、テキサス州立大学オースティン校で学び(在学中には、このあとアンダーソンと共犯関係を結ぶオーウェン・ウィルソンと出会い、ルームメイトに!)、1996年『アンソニーのハッピーモーテル』で長編デビューを飾ります。興行的には大失敗に終わったデビュー作ですが、絶賛した人がいました。それは他ならぬ、マーティン・スコセッシでした。アンダーソン監督からのスコセッシ作品への経緯は、作品のなかでも幾度となく繰り返されています。
『アンソニーのハッピーモーテル』での若者の無謀な夢と冒険の物語は、このあとのアンダーソン(とウィルソン)のキャリアを予言するかのよう。2作目の『天才マックスの世界』以降、世界中で人気を獲得していく道が広がっていきます。日本で本格的に紹介されたのは『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001年)から。このほか、『ライフ・アクアティック』(2004年)、『ダージリン急行』(2007年)、『ファンタスティック Mr. FOX』(2009年)と続き、今回上映する『ムーンライズ・キングダム』を製作。そして、日本でも人気の高い『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年)、『犬ヶ島』(2018年)、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊』(2021年)、『アステロイド・シティ』(2023年)と続き、Netflixとともに製作した短編『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』(2023年)で、ついに!第96回アカデミー賞短編実写映画賞を受賞しました。

独特な世界観、対称な構図やシニカルな脚本とユーモア、いまだアンダーソン監督の活躍は衰えることなく、アンダーソン監督としか言いようのないセンスが映画内に縦横無尽に埋め尽くされています。

4. キャストにまつわるあれこれ

ウェス・アンダーソン作品には、豪華ハリウッドスターがこれまでとは全く違う顔を見せるのも楽しいところです。『ムーンライズ・キングダム』では、名優たちが不器用で愛おしい大人たちを好演!京都シネマでの上映がはじまるまでのあいだ、少しでも上映を楽しみにしてくれているみなさんとドキドキを共有したく、キャストにまつわるあれこれをちょっとだけご紹介。ぜひご鑑賞のおともに◎!

◉ブルース・ウィルス as シャープ警部

たったひとりで島を守る警部役を演じ、中年男性の悲哀とおかしみを感じさせる絶妙な演技を披露します。アンダーソン監督のファンである彼は、喜んで、俳優組合最低賃金レートでシャープ警部役を引き受けたとか。

◉エドワート・ノートン as ウォード隊長

生真面目でちょっと間の抜けた、心配性のボーイスカウト隊長。でもピンチのときには身体が動くという大胆不敵なヒーローっぽさも◎!エドワード・ノートンは、本作以降『グランド・ブダペスト・ホテル』『犬ヶ島』…とアンダーソン作品の常連俳優となります。

◉ビル・マーレイとフランシス・マクドーマンド as スージーの両親(ウォルトとローラのビショップ夫妻)

『天才マックス』以降、アンダーソン監督作品の常連でもある、まるで守護天使(!)なビル・マーレイと、コーエン兄弟を愛するアンダーソン監督が出演を熱望したというフランシス・マクドーマンド。ローラ・ビショップが家のなかでメガホンを使って子供たちを呼ぶのは、共同脚本を務めたロマン・コッポラの母エレノア・コッポラの実際のエピソードに基づいているそうです。

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◉ティルダ・スウィントン as 福祉局員

魔女にも天使にも、そして女王様にもなれてしまう俳優ティルダ・スウィントンの“ティルダ性”は、本作でも遺憾なく発揮されています。サムを監視する冷徹な福祉局員が小さな島に登場したときの神々しい“降臨”は忘れがたいシーンです。思わず合掌してしまいそう…。

◉ボブ・バラバン as ナレーター

『ムーンライズ・キングダム』の語り手を務めたボブ・バラバン。真紅のダッフルコートに身を固めた彼は、大地を司る妖精“ノーム”のような出で立ちで、子供たちの躍進も大人たちの行き詰まりも、はじまりからおわり、そして新たなはじまりまで、島のすべてを見守る存在です。バラバンは、スピルバーグの『未知との遭遇』(1977年)に出演していますが、アンダーソン監督のヒーローである映画監督フランソワ・トリュフォーとも共演経験があり、その経験を記したバラバンの書籍をアンダーソンは愛読していたとか。

◉ジェイソン・シュワルツマン as いとこのベン

友情出演したジェイソン・シュワルツマン演じるいとこのベンは、まるでトム・クルーズのような恰好で、サムとスージーの心の恩人となります。そして、彼女たちの切迫した願いを汲むベンの姿は、突拍子もないけれど、優しくて愚直で純粋な心をもつ『天才マックスの世界』のマックス・フィッシャーの姿をどことなく想起させて、なんだかうれしい再会を感じさせます。

◉ジャレッド・ギルマンとカーラ・ヘイワード as サム・シャカスキーとスージー・ビショップ

大人の好演はもちろん見どころですが、やっぱりこのふたりがいないと…!本格的な映画出演は『ムーンライズ・キングダム』がはじめてというジャレッド・ギルマンとカーラ・ヘイワードでしたが、互いにまったく違うキャラクターのふたりの息のあったやりとりが本作のかけがえなさに繋がっているように感じます。深い寂しさを背負ったサムの姿は『ダージリン急行』のフランシスを、そして感受性が高くタフなスージーには『ロイヤル・テネンバウムズ』のマーゴの姿を思い浮かべてしまいます。またスージーのまぶたに塗られた水色のアイシャドウは、同じ色のワンピースを身に纏った『ピーターパン』のウェンディも彷彿とさせます。魔法の島“ネバーランド“の入江と、“ムーンライズ・キングダム”の入江はそっくりですよね。ふたりは、のちに『パターソン』(2016年/ジム・ジャームッシュ監督作)で友情出演も果たしていますが、ジャームッシュは『ムーンライズ・キングダム』が大好きで、成長したふたりに出演をオファーしたとか。

以上、キャストにまつわるあれこれでした。

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きょうとシネマクラブとは?

映画館・京都シネマと配給会社・Gucchi’s Free Schoolが、規模や知名度、新作、旧作にこだわらず、いまこそ見たい映画作品を上映する企画です。
vol.1では、特集「女性と映画」と題して、4作品を毎月1作品上映しました。vol.2では『ムーンライズ・キングダム』、そしてvol.3では『アンソニーのハッピーモーテル』を上映します!今後の上映もお楽しみに。

きょうとシネマクラブ:hp
https://kyoto-cinemaclub.com/

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