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記憶を辿る54

『 ハロウィン 』

この日の計画は朝イチでグレイハウンドバスを使ってキーウェストへ。
夕方の同じバスでマイアミのダウンタウンに戻るという計画。

バスに乗り込んでくる多くの客は、私と同じようなバックパッカーのような薄汚れた者も多く、荷物を全く持たないユニセックスなパーティ軍団が何組か乗り込んでもいて、お世辞にも安心して乗れる交通機関ではなかった。
マイアミからキーウェストまでは約4時間。

途中のトイレ休憩で立ち寄った公園で、パーティ野郎達が何度も”楽しもうぜ”のような言葉を投げかけてくる。理由をバスの運転手に聞くと「お前知らないの?」といった感じで説明をしてくれた。
そう、この日はハロウィンだったのだ。

そしてこのキーウェストのハロウィンは、盛大なパレードが執り行われることが有名で、全米から観光客が押し寄せていたのだ。
今でこそ色々な店がハロウィンセールだとか、仮装をした若い子が渋谷だ道頓堀をジャックしているが、20数年前の事である。

馴染みのない祭りに興味はゼロ、10月の最終日自体ノーマーク。
なるほど、荷物を持たないパーティ野郎達は、時間に縛られない、その日のパレードだけを目当てに楽しみたい御一行様。これでテンションが異常なほどに高い訳に納得がいった。

そして帰りの最終バスは、混雑を避けるよう着いてすぐ戻るという。
宿を見つけられないままパレードを楽しむかUターンするかの2択。
時間はたっぷりあるのだ、もう開き直るしかない。

キーウェストのバス停に着き、ハロウィンに馴染みのない私にとって、ハロウィンとは何ぞやを教えてくれるには充分すぎるほどの装飾や人のオンパレードだった。何度も言うが20数年前である。

全裸同様の露出をした女性や、バイキングの仮装をした男性、様々な仮装をした人間が入り乱れ、それに加えパレードの参加者と山車が、キーウェストのメインであるデュバルストリートを練り歩く。

今の日本のように仮装が定番化し、何でもありの仮装というよりは、洋のポップで不思議な世界をコンセプトにした仮装が多かったと思う。イメージはフランケンシュタインや吸血鬼、魔女に代表されるアダムスファミリーといった感じ。

町はオープンテラスの飲食店が最も賑わっていて、パレードに参加する者が、キーウェストだけで使えるクーポンをバラまきながら練り歩くものだから、クーポン目当ての見物客も加わってごった返すどころではなく、デュバルストリート沿いは人種も様々、仮装も様々、正に酒池肉林状態というべきパレードだった。


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