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記憶を辿る34
『 狂乱高校 前編 』
上には上がいる。
私が編入した先の高校は、正にその振り幅は青天井のような高校だった。一癖も二癖もある不良はデフォルトで、今でいうメンヘラ部隊も底なし。年齢も無制限だった。
真っ当な学校の入学は教科書を買い、運動着なども指定着を購入する。
しかしそれら一切がないから、制服などもっと無い。
校則や年齢制限というものがないからタバコもOK。
ありがたいことに、食堂や教室の横には喫煙所が併設されていた。流石に飲酒している奴は見なかったが、誰1人として授業でノートを出す生徒はいない。
人は自由や足らずを追い求めるが、そもそもこの高校に入ってくる奴は、行き着く所まで行った奴だらけなのだ。強制されるような事が起これば、制御不能なことぐらい百も承知で受け入れ、出来る限り矛先が校内に向かないようにだけ徹底されていた。
生徒もその見た目とは裏腹に、授業中は皆が大人しかったが、それは教師がいる授業中だけである。昼食を取る食堂では、動物的本能からくる弱肉強食の争いが繰り広げられる。
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ここの不良は、俗に言うメンチの切り合いなどなかった。
一様に目つきが悪い連中の掃き溜めである。
目は口ほどに物を言い、それが好戦的な目か、たまたま合っただけなのかを瞬時に把握、好戦的な目をした相手には有無もなくパイプ椅子が使われる。
まるで海外映画にある、人種同士で徒党を組む監獄と同じ有様だ。
1人だった私は去勢を張り、埋もれないようにしていたが、内心は「えらい所に来てしまった」と思っていた。救いだったのは、通学が週1あるかないかだったことと、たまたま後輩も通っていていたことだった。
奇跡だった(笑)
これに加え、体育のみを共にするドレッドヘアの2人組とも仲良くなった。
当時ドレッドヘアなど決めている者は、ラップをしているかダンスをしているかのどちらかで、ブラックカルチャーど真ん中の連中だ。お互いに興味が生まれたのか会話は弾んだ。
この仲良くなったこのコンビ、おしゃれなだけでなく体格も共に筋骨隆々で、着替えの際に見た一方の背中には「どうしたらそれだけ大きい裂傷痕がつくのですか? 」という程の裁ち傷があった。不慮の事故でついた傷であったとしても、彼らが放っていた雰囲気は、不良の定義である”強くて格好良い”そのものだった。
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