銀塩とインクジェットについて担当者に質問してみたいと思う
こんにちは、AMSスタッフのほうきです。
今回は以前銀塩プリントについて書いてくれた
銀塩プリントディレクターのやまさきさんにいろいろ質問してみました。
(Xにて募集したときに送っていただいた質問(マシュマロ)にもお答えいたします)
※あくまでAMS内での対応についてお話ししております
他店では違う対応かもしれません。
ほ)よろしくお願いします。
や)お願いします。
ほ)まず、プリントディレクターってどういうお仕事なんですか?
や)基本的な仕事はお客様からお預かりした画像データをプリンターで出力していく作業がメインになります。またご希望があれば出力ペーパーごとに合わせた色調整や色見本に近づける為のレタッチ作業などもおこなっています。あとは今回のような専門的なご質問やご相談への対応も時折しています。
ほ)早速ですが、銀塩とインクジェットの違いを教えてください、写真の仕上がりは全然違うんですか?
や)銀塩とインクジェット(以下、IJと表記します)の明確な違いはその出力方法です。
用紙にインクを吹き付けてプリントするIJに対し、印画紙に光をあてて紙自体を発色させるのが銀塩プリントです。
写真の仕上がりとしてはどちらも綺麗にプリントできますが、それぞれに得意な色や表現がありますので作品にあったものを選んでいただけたら良いと思います。
ほ)では、銀塩プリントの特徴を教えてください。メリットとデメリットはありますか?
や)銀塩のメリットは大きく分けて2つです。
1.滑らかできれいなグラデーションによる深みのある表現
銀塩プリントはとにかく細かい粒子が発色しているため色と色の境目がほとんどなく滑らかなプリントが可能です。なのでグラデーションも綺麗に表現できますし、大きくプリントしても粒子感のない綺麗なプリントに仕上がります。
また深い色の中でも綺麗なグラデージョンが出せるため、重厚感のある表現が特に得意です。
2.100年もつともいわれる耐久性
最近ではIJもどんどん進化して良くなってきていますが、紙自体の劣化や水などへの耐性はまだまだ銀塩には適わないと思います。あまり表現とは関係のない部分ではあるのですが、もし記念写真や長期間飾りたいお写真をプリントするのでしたら銀塩を選ぶことをオススメします。
続いてデメリットですが、こちらは1つ。
赤の表現が難しい。
銀塩プリントで一番いわれるのが「赤がでない」です。
これはもうsRGBという色空間でしか出力できない仕様上どうしようもできない部分ではあるのですが、鮮やかな色をだすことができません。
特に赤系統色に関してはイメージよりもかなり落ちてしまう場合が多いかもしれません。このあたりは表現したいものによって選んでいただけたらと思います。
特に個人的な意見ではありますが緑や青系統は銀塩のほうが落ち着いた自然な色がでて好みです(自我)
ほ)私も銀塩は色の深みが感じられて好きですが、鮮やかさを見せたいのであればIJの方がいいかもしれないですね。
ほ)続いて、銀塩でプリントするのに適している写真ってあるんですか?
逆にこういう写真は銀塩じゃなくてIJの方がいいとかありますか?好みもあると思いますけど。
や)先ほどのメリット・デメリットを踏まえてですが、やはりグラデーションの美しい色は特に綺麗にプリントできるかと思います。
例えばほうきさんの写真をお借りして、
逆に赤の彩度が主役になる写真であればIJのほうが向いてる場合が多いです。また普段のレタッチをAdobeRGBで作業されている方はIJのほうが近いものになるかもしれませんね。(専門的なことなので気になる方は「色空間」で調べてみてください)
ほ)では、銀塩プリントで取り扱っている用紙を教えてください
や)光沢(グロッシー)・半光沢(ラスター)・クリスタルの3種類です。
わたしの所感ですが
光沢(グロッシー)
ごく一般的な写真用紙はこの光沢を指します。適度な光沢感と滑らかな質感でどんな作品にも合わせられ、使い勝手が良いです。
半光沢(ラスター)
光沢よりも光の反射率が低く、表面に凹凸のある質感が特徴のペーパーです。光の反射が少ないため柔らかい表現や表面の凹凸を活かした雪や砂などの表現が得意です。
クリスタル
フィルムに覆われたような表面が特徴的なペーパーです。高い反射とツルツルとした表面で水表現や夜景などと相性がよく迫力のある写真に仕上がります。
といった感じかとおもいます。
ほ)クリスタルは超光沢ともいわれますよね。
誇張するつもりはないのですが、鏡に映っているように見えるのも頷けるほどの光沢感ですので、興味のある方は一度は是非実際に見て、他の用紙と比べていただきたいと思います。
ほ)今回はここまで。
これ以上突っ込んだ話になると専門用語が飛び交って業務上の会話になりかねません……
やまさきさん、ありがとうございました。これからもnoteの更新お願いしますね。
や)ありがとうございました、がんばります。