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教員採用試験に合格して教諭になったけれど教育実習とはちがうと感じるのはなぜかという話(教育法規)

教員採用試験合格を目指している方々は、想い描く教師像がきっとあるはず。
教育実習でも、よいイメージをもった方も多いのではないでしょうか。

今回は、教育実習と実際に教諭になった時に、ギャップを感じてしまう理由と、それに関連する法規の話です。


教育実習とは違うと感じるワケ

教育実習では楽しかったのに、実際に教諭になったら、こんなはずではなかったと感じる理由。
それは、教育実習、インターン、学校ボランティアで経験することは、「職務」ではないからです。
教育実習、インターン、学校ボランティアなどは、学校により異なる部分はありますが、いずれも教職課程の一部で、体験を通した学びの場、「教員体験」であるからです。

たとえば、教育実習中に、学習発表会当日とそれまでの練習に関わったとします。
学年で実施する学習発表会。
計画し実施されていることはわかると思いますが、一見、児童生徒が計画しているようにみえても、それまでに、学年で話し合い、学校全体に実施計画案を提出するなどの準備が必要です。
さまざまな許可をとったり、用具を手配をしたり、保護者への声かけをしたりといったところは、すでに学習発表会に向けて練習している段階では、わかりません。

教育実習などでは、その部分がみえないため、教員になってから、しなければならないことが多さに圧倒され、教育実習とは違うと感じてしまいます。

教育実習について

教育実習、インターン、学校ボランティアは「職務」ではないということは、文部科学省、中央教育審議会それぞれで「教職課程」に位置づけられていることが示されていることからもわかります。
学校ボランティアは、ボランティア活動のひとつです。

教育実習は、学校現場での教育実践を通じて、学生自らが教職への適性や進路を考える貴重な機会であり、今後とも大きな役割が期待される。教育実習は、課程認定大学において開設される教職課程の科目であるが、学校現場を中心に学修が行われるという特性を有している

(「文部科学省ホームページ」より引用して一部抜粋)


学校インターンシップの導入
教員養成系の学部や学科を中心に,教職課程の学生に,学校現場において教育活動や校務,部活動などに関する支援や補助業務など学校における諸活動を体験させるための学校インターンシップや学校ボランティアなどの取組が定着しつつある。 これらの取組は,学生が長期間にわたり継続的に学校現場等で体験的な活動を行うことで,学校現場をより深く知ることができ,既存の教育実習と相まって,理論と実践の往還による実践的指導力の基礎の育成に有効である。(中略)
学校インターンシップについては,各学校種の教職課程の実情等を踏まえ,各教職課程で一律に義務化するのではなく,各大学の判断により教職課程に位置付けられることとする

「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について ~学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~ 答申」 中央教育審議会より引用して一部を抜粋)

職務とは

それでは、職務とは何でしょうか。

「職務」とは、学校の「校務」のうち、職員に与えられて果たすべき任務・担当する役割のことをいいます。(※文部科学省ホームページ中の記述を参照しています)

職員それぞれ違っています。

職務に関する法規

教員採用試験に合格し、受験自治体において「教諭」となった場合は、公務員として地方公務員法の規定に則ることが求められます。
教員採用試験にもよく出題されています。
以下、水色の枠内は、すべて地方公務員法です。

(服務の根本基準)

第30条 
すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

(地方公務員法)

(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)

第32条 
職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

(地方公務員法)

(秘密を守る義務)

第34条 
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

(地方公務員法)

(職務に専念する義務)
第35条 
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

(地方公務員法)

この記事のまとめ

これまでに、児童生徒としてみてきた「先生」。
そして、教育実習などで体験した「先生」。
自分の理想や想いとのすり合わせの中で、よい部分がクローズアップされることもあると思います。

仕事にはいろいろな側面があることを、心づもりして働き始めるというのは、ある意味自分の心を守ることにもつながるのかなと感じています。

どのような仕事でも同じかもしれません。

ですが、こんなはずではなかったことを、すべて受け入れなければならないということはありません。

もっとシンプルに

もっとわかりやすく

もっと手際よく
できるかもしれないことが、学校にもきっとたくさんあります。

そこを変えていくことができるのは、これから新しく入っていくみなさんではないかと私は思います。

そういった力が必要ではないかなと。

社会は大きく変わってきています。


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