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街に溶け込む感覚になれたイベント「国立ノミノイチ2024」

 国分寺から2つ目の国立駅でイベントが開催された。「国立ノミノイチ2024」だ。


 ノミノイチだからフリーマーケットと思いきや、飲みの市。「クラフトビールをより楽しめる食や雑貨が集まる市」だそうで、駅北口はクラフトビールが中心、南口にはフードや雑貨が集まるとのこと。今回、知人が出店しているので行ってきた。

 国立は一橋大学や桐朋学園など名だたる学校が集まる文教地区。昔から多摩エリアの中でもインテリの象徴のような街だが、娯楽施設の建設が制限されているので地味ぃぃな街並みで別に好きでも嫌いでもなかった。とはいえ、中高時代は大変お世話になった街である。もう今は無いボロボロの安いカラオケ屋に足繁く通い、友人とSPEEDを歌いまくっていた。

 冴えない街と思っていたが、2006年の新駅建設や駅前再開発によってじわじわと垢抜け、穏やかな街並みはそのままにハイソな雰囲気を纏う街に生まれ変わった。

nonowa 国立 SOUTH


 今春にはJR東日本グループ初の木造商業施設「nonowa 国立 SOUTH」がオープン。新しいランドマークもでき、今ノリに乗ってる街と言える。

改札を出てすぐ目の前にあったポスターとチラシ

 駅に着くとまず向かったは南口。知人の店舗「みんなのコンビニ」へ向かった。

南口エリア
遊び心ある品揃え!
食品サンプルのようなマグネットと
前日行われた音楽イベントを記念して作った
缶バッヂ。
それぞれ一つずつと
オリジナルブレンドコーヒーを購入した。

 みんなのコンビニは「色んなお店の人たちが棚をシェアして、みんなで一緒に作り上げる」という新しい形態のコンビニで、実店舗は富士見通りにある。まだ行ったことはないが、出店の品揃えから実店舗はさらに楽しい店に違いないと確信した。こじゃれた文具や雑貨、ワンランク上のコーヒーや蜂蜜がひしめくおもちゃ箱みたいな陳列は見ているだけで楽しくなる。

 知人に会い、かわいいアイテムもゲットしたところで北口へ。クラフトビールの店が立ち並んでいた。

 クラフトビールは全6店、国立と立川のブルワリー以外には早稲田・神楽坂のブルワリーも出店していた。どこにしようか迷ったが、迷った時こそ地場のものを選べば間違いないと自分を律し、「KUNITACHI BREWERY」のビールを頂いた。

 選んだのはLULUというビール。トロピカルなのにしっかり苦味とのこと。そんな味わいある?と思いながら一口飲むと、あらそのまんまの味。フルーティーな甘みとビールの苦味がベストマッチで爽やかにぐびぐび飲める。あーこりゃ美味いや。

 何も食べずに来たのでお腹はペッコペコ。目についたのはサバサンドだった。サバサンドを初めて知ったのは、かつて通っていた料理教室。パンとサバというショッキングな組み合わせは想像を遥かに超えた美味しさで、度肝を抜かれた記憶がある。

選んだのは辛いサバサンド。
辛党の私にはちょい辛。
サバがドーンと入っていて食べ応え◯。
ミニレモンがついて絞って食べるスタイル。

 その辺のベンチに腰掛けて、行き交う人を見ながらゴクゴクもぐもぐ。普段ならこんなことは絶対にしないが、周りもみんな同じ振る舞いだ。躊躇なくできる気持ちよさ、気楽さ。これこそ、こういうイベントの醍醐味だろう。

 開放感が溢れる中、公共のベンチが尊く思えた。いつもは何とも思っていない物がここぞとばかりに役に立ち、貴重な憩いの時間をもたらしてくれる。公共空間のありがたみも噛み締められた。

 公共空間の活用と同時に、街に溶け込む感覚が分かったのは目から鱗である。この場、ここにいることだけに無意識に集中でき、雑念が飛ぶ。ぼーっとしているのに目の前の一瞬一瞬の変化を楽しんでいる自分を知って、街と一体化しているようだった。とても心地良いけどなんか不思議な気持ち。瞑想に近い気がする。

 地域活動に参加していると、街との関わり方に興味がある。理想は街自体が自分事と思える関わり方だが、細胞レベルでそう実感できた経験はなかった。それが今日ようやくでき、密かに興奮した。この感覚を味わえるイベントがもっと増えればいいのにと切に願っている。

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