【Jリーグ】サポーター論:理想のサポーターとは?
愛するクラブの為に、雨の日も、風の日も、遠くのアウエイの試合も、声を張り上げ、レプユニを購入し、スタグルを食べ、クラブの愛を語る。
クラブの成績が良くても悪くても、監督が理解不能な戦術を取っても、相手の外国人ストライカーに無慈悲なゴールを決められた時も、決してクラブを諦めること無く応援し続ける存在、それが『サポーター』。
野球の『ファン』でもなく、バスケットボールの『ブースター』でもなく、サッカーの『サポーター』について、記事を書いてみようかと思います。
また、サポーターの範囲はどこまでなのか?という議論がよくされますが、このブログのサポーターの定義を決めておくとすれば、「クラブのためにスタジアムに通う・お金を落とす・クラブの布教のいずれかをしている人」と落としてみたいと思います。相当長い議論の中で、自分はここがサポーターのラインじゃないかと思います。サポーターは、応援集団の中で声を張り上げる人だけではないという所がポイントだと思います。
ー 理想のサポーターとは
サポーターという存在は、いくつかの視点によって理想の姿は変わってきます。
その視点には、
①「クラブ側の視点」
②「サポーター側の視点」
③「選手側の視点」
以上、三つがあります。それぞれの立ち位置によって理想のサポーターという考え方は変わってきます。
①クラブ側の視点
クラブからしてサポーターという存在は、「顧客」です。コンビニがクラブだとしたら、常連の買い物客がサポーターです。クラブからしたら、サポーターを含めた観客がいなければ経営が成り立たない訳です。
観客がほとんど来なかったらどうなるでしょうか。平均観客動員数が1,000人代のJ3のクラブの経営状態を見てみましょう。Jリーグの公式サイトには、2016年の決算報告がありますのでそちらを見ていきましょう。
(2016年度のJリーグのクラブ決算表)
営業利益という、本業の仕事でどれだけお金を稼いでいるかを知ることが出来る項目があるのですが、J3リーグの平均が赤字の2,100万円ですね。盛岡が平均を引き上げている感じはしますが、それでも殆どのクラブが赤字となっていることが分かります。
観客が来なかったら経営なんて成り立たない訳です。現在では様々な企業が利益を社会に還元する動きがあるので、J3のクラブにでも出資をする企業もありまが、各クラブの経営状態はボロボロです。
観客が多いか少ないかでの広告収入という面では、J1の広告収入(スポンサー収入)の平均値は約17億円、J3の広告収入は約2億2千万円程度。7.7倍ほどの差があることが分かりますように、観客が多くなればそれだけチケット収入費はもちろん、資金提供をしてくれるスポンサーがつきやすくなるのです。(ちなみに、J2のスポンサー収入の平均は約6億7千万円)
このように、クラブにとって「観客」とは非常に重要なのです。この観客の中でも常連がサッカーサポーターな訳ですね。Jリーグサポーターという存在がスタジアムの非日常的な世界を演出してくれる訳ですし、試合中にチームを鼓舞してくれます。チームにお金を落とす存在であると同時に、スポンサーを引き出す為のお金を生み出してくれる存在でもある訳です。
よくインタビューで「ファン・サポーターの皆さんのおかげ・・・」といった文言がありますが、それは本当だった訳ですね。
それから、サッカーというスポーツは他のスポーツに比べて、実は結果が安定しにくいという特性を持ちます。昨年までJ1上位にいたけど、補強に失敗したり、監督の戦術が研究されたりして急にJ2に落ちたりすることは、戦術が研ぎ澄まされてきた近年では珍しくないパターンです。そこで、スタジアムに足を運ぶサポーターや観客を満足させるために重要となってくるのが、「利便性」と「イベント性」という部分です。「利便性」につきましては、スタジアムアクセスだったり、スタジアムの土地、チケットのとりやすさといったクラブでは手の突けることが難しいことの問題が大きいので、ここでは各クラブが手を加えようがある「イベント性」が特に重要になってきます。Jリーグで特に優れたイベント性を持つのは、川崎フロンターレが筆頭で、様々なアニメとコラボしたり、面白い企画を打ち出したりしています。結果が安定しないスポーツだからこそ、結果以外の部分でサポーターを満足させるということが非常に大きな意味があります。このイベント性にはスタジアムグルメを含めた、スタジアムでの雰囲気作りも当てはまります。安全で安心というスタジアム作りもそれの一つではあるでしょう。
このイベント性が優れたクラブだと、観客に対して「負けたけど、楽しかった!」「勝ったし、楽しかった!」という感情に持ち込むことができます。また来たいと思ってくれるスタジアム作りや、クラブ作りはチームの成績だけではない部分に魅力を感じるサポーターを作り出すことができるので、成績に観客動員数が左右されにくくするというメリットもあります。
クラブ側の視点からすると、理想的なサポーターとは「毎回の試合に通ってくれるサポーター」「クラブの為にお金を落としてくれるサポーター」「クラブを布教してくれるサポーター」といったところでしょうか。(あとは、問題行為を起こさないといった部分も重要です)
こういったサポーターを作り出すため、活動を促進させる為に、クラブ側としても様々な取り組みをしていく必要がありますね。
②サポーター側の視点
サポーターの理想的な姿をサポーターの視点から見ていきましょう。まずは、サポーターとはいえど一般の人間であることを忘れずに。一般の人間からすればサッカーなんて、娯楽の一つに過ぎないのです。
それぞれの人間には、金銭的な限界、時間的な限界があります。それから、サッカー以外にも様々な娯楽の選択肢があります。
各個人の視点に入ってみると、毎年2万円のシャツを購入して、年間パスを4万円で買って、ホームだアウェイだの遠征費がかかってと、金銭的な限界にぶち当たります。それに、水曜日の天皇杯、ルヴァンカップなど平日の夜に平気で試合を開催してきやがります。
サッカーのサポーターは、どのように振る舞うのかという部分の話になるのですが、僕のサポーター論としては、「サッカー観戦はあくまで選択肢」という部分を強調していきたいと思います。
人間にはそれぞれ価値観というものがあります。バンドのライブの為に、毎月東京に遠征をする友達を見て、「バカじゃない?」と2万円のペラペラのユニフォームを着て言う自分を、「お前らどっちもバカだよ」という友達もいます。
サッカー観戦に価値を感じるのであれば、サッカーを見に来るべきであると思いますし、「サッカーなんてつまんないや!プレステ4(ゲーム機)を買おう!」でも全然良いと思います。だって、各個人では使える時間は限られているし、使えるお金も限られていますから。
話は少し飛びますが、人間は幸せになる為に行動しています。
大人の中でも多くの人が、生活の為にしぶしぶ行きたくもない職場に行き仕事をします。日本は税金があるので、息をするだけでもお金がかかるから働かなければいけないのです。飯を食べる為に、住む所の家賃を払うため、電気光熱費を払う為に働いているのです。
サッカーを見て、悲しくなる、辛くなるくらいならサッカーなんて見ない方が幸せというサポーターは理想的なサポーターではないと思います。美味しいものを食べて「うまい!」といえばいいと思いますし、素敵な観光地を見て「綺麗!」と言った方が幸せだと思うのです。
その中で、僕がいま手元にあるお金の中で、サッカーにお金を使うことが一番の幸せだというならば、それが理想のサポーターなのではないかと思います。
サッカーはあくまで娯楽なのです。僕の考えるサポーター視点の理想のサポーターは「サッカーにお金や時間をかける事が一番の選択肢である」という状態にある人こそ、理想的なサポーターなのではないかと思います。
③選手側の視点
選手からして、このようなサポーターが良いなと思う基準は
1)殺されない
2)殴られない
3)過度なブーイングをされない
以上、こんなところでしょうか。非常にネガティブですね。もう少しだけポジティブに条件付けをしてみると、
1.苦しいときに声で応援してくれる
2.アウェイ時の応援で孤独感を消してくれる
3.審判に対するブーイングで心理的な判定のホーム有利へ持ち込む
こんなところですかね。
サッカー選手はみな、パーフェクトを求められます。ミスをすればサポーターにブーイングをされますし、素晴らしいと思われるプレーをすれば、それが最善手ではないにも関わらず、拍手で迎えられます。
この風潮や文化が、選手の判断を恐縮させ、最善ではない判断を下す助長となってしまいます。
選手に対して甘くするのか、厳しくするのかといった部分に関して、サポーターがすべきことは、僕は甘くすべきだと思います(もちろん、適所ではブーイングもするものの)。
「怒られるのが嫌だから頑張る」よりも「褒められたい、自分たちで何か大きなものをつかみたい」という動機のほうが人間はより努力をしようと思うはずです。サッカーは単純であり、単純ではないスポーツです。
そんなサッカー選手にしてやれることは、負けようが勝とうが、全力で戦った選手に対しては拍手で迎えるのみです。
ーまとめ
これからサポーター論ということで、リーグ戦の中で数々起こるサポーター問題にも少しづつ言及していきたいです。