経理⇔事業部における信頼関係の壊し方
皆様、こんにちは。キョンくんです。
本日は経理と事業部の特殊性を元に、互いに信頼関係を構築する方法について語りたいと思います。
最近の私は以前よりも事業部から相談を受ける件数が増え、かなり経理マンとして会話をする機会を持つようになってきました。そうした中で、タイトルに有るような信頼関係構築についても考える機会が多くなってきました。
実際、打ち合わせの中で「ファシリテートがヘタッピやなあ…」という経理マンも見てきましたし、反対に「マジウマ!」な経理マンも見ています。事業部企画経験は10年以上有るので、事業企画マン目線でも上手い人達をたくさん見てきました。事業部としても経理としても、酸いも甘いも噛み分けつつ有るので、本日は少々破壊的なタイトルで皆様の耳目を集めつつ、とはいえ皆様の身になる内容を示していければと考えています。
では行きます。
経理⇔事業部の信頼関係とは?
まず最初に、定義付けを行っておきます。経理と事業部の信頼関係構築に必要なこととは何なのか。これを明確にすれば信頼関係の壊し方も維持管理方法も思いのままでしょう。今回は卑近な例として税務相談を事業部が持ちかけるケースを例に挙げて論を進めたいと思います。先に結論を申し上げておくと、
上記の定義内で意図的に ” ” を使いました。この修飾語が重要になってきますので、その点を意識いただきながら読んでもらえればと思います。
さて、本論に入る前に、税務相談とはどういったものなのかをおさらいしておきます。税務相談とは、仕訳処理や支払方法、拠点やグループ間における費用負担割合など様々なお金の移動について経理に意見を聞くことです。資金移動が絡むところに税金が絡みます。適切な処置をしなければ不正処理として本来払うはずだった額以上の税金を払う可能性が出てくるわけです。一般的には事業部の方は税法に疎いため、経理部へどうすれば良いか相談に来ます。餅は餅屋です。
ベストな専門家意見とは何なのか
さて、では修飾語の話に移りたいと思います。事業部は経理に”ベストな専門家意見”を求めてくると書きました。これは一体どういうものなのか、です。
それは一言で言えば「事業部が望む答え」となります。これだけだとナンノコッチャなので、例を挙げながら説明します。
本社が海外子会社と商品の取引をしていて、不良品が出ました。その際にその修理費用を海外子会社と本社のどちらが負担するべきか、というような相談が来ることがあります。大抵の場合、事業部は海外子会社のため、「お金を本社で負担できないか?」と聞いてきます。資金規模の差も有りますので、事業部の思いも真っ当です。しかしながら、経理的な目線だと「はいはい分かりました」とは簡単には言えないのです。
適切な事実情報とは何なのか
今回のケースですと事業部が望む答えとは「本社で負担OKです」という回答です。しかし様々な条件の確認なくして、経理は軽々に回答することができません。なので、経理は以下のようなことを確認します。例えば、
1.拠点間で結んでいる契約書にはどう書いてあるか
2.本社と海外子会社それぞれの会社機能はどういったものか
3.本件の金額規模はどの程度か
4.取引の実態と商流はどういったものか
等々です。こういった情報を確認したうえで、妥当な回答は何なのか、という事を積み上げるのが税務相談となります。この税務相談ですが、事業部と経理が互いに議論をするに当たり、互いに明示していない事が有るのです。これを意識しないままでいると、とある行動をしてしまうことで、事業部と経理の信頼関係は地に落ちるのです。邪推にまで繋がる危険もあります。
めちゃくちゃ当たり前のように聞こえるかもしれませんが、お互いに認識がない重要な背景を次で説明します。また、どんな邪推が発生するかも説明します。
事業部と経理が互いに意識すべきこと
この章が重要な点となります。普段働いていると相手を知る機会も得られないので、この章に記載している内容を吸収いただき、明日以降の業務に活かすべく意識してもらえればと思います。今回は税務相談を例に挙げているので、意識すべきことも税務相談をベースにした記載をしています。ただ、会計においても適用可能なので、税務に限らず意味が有る点は念押ししておきます。
まず経理側が明示していないことをお伝えします。それは、
税務リスクは0vs100(ゼロヒャク)ではなく、グラデーションだという事。
事業部側が明示していないこともお伝えします。それは、
本社は思った以上に権限が無い立場に居るということ。
です。これも順番に説明します。まず事業部の方々に知っていただきたいことは、税務リスクは100%安全な方法というのは存在しないということです。法律を読んでいくと分かるのですが、本質のみが記載されていて(言い換えれば具体的ではなくかなりあやふやに書かれていて)、明確に何をしなければならないかが記載されていないことが往々にしてあります。記載が何も無いので、「理論理屈ではこのはずだ」という判断の連続で数字をまとめていくことになります。
そういった背景があるからこそ、税務調査についても税務署と会社でグレーな判断となり物別れに終わるケースなども存在します。税務署も会社も、見かけ上合理的な意見で応酬しているということだってあり得ます。つまり、税務調査まで見据えたときのリスクコントロールが経理にとっては非常に重要なポイントとなるわけです。
そうなると、経理として安全サイドに立った判断を基本的には下したくなります。なぜなら、リスクをとっても良いことは無いからです。特に本社と海外子会社のどちらで費用を負担するか、というような相談の場合はどっちが負担しようが連結での費用というのはそんなに変わりません(税率の差分は変わりますが、税務リスクに比べれば微々たるものです)。
ここで1つ目の結論です。事業部が理解すべきは、経理が安全サイドに立った判断したい背景を知ることです。つまり「各種リスクがグラデーション」であるということです。
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