産業の規制と寄生。パラサイトの受賞に寄せて。
2020年2月10日、ポン・ジュノ監督の『パラサイト』がパルムドール&アカデミー賞を受賞という、正直予想しなかった快挙を達成することができました。韓国はもちろん、日本の多くの映画ファンも喜び、またアメリカの人々にとっては作品賞の受賞ステージに髪の毛の黒いのがウジャウジャとしている光景はさぞ奇怪に映ったことでしょう。(ざまぁみろ
そんな中、ぼくが愛するモビリティサービスの타다(Tada、日本の皆さんにはミトニトでお馴染みかも)が、“刑事告訴”に対する最終陳述()を行うという、スタートアップにとっては辛い出来事がありました。罪状は輸送法違反とかっていう形だが、法務検討および行政にも確認を何度も取ってからのサービスローンチなので、後出しジャンケンに近い。
こちらのリンクはTadaの代表であるJakeがFBで公開した最終陳述の内容ということです。基本的には「技術を使ってユーザーの便益のために頑張ってきたのに、こんな結果になって残念です。よく考えて判決を下してほしい。」という主張です。詳しくはGoogle先生に。
今日は、個人的にこの2つの出来事が、とても対照的な出来事に見えたので、このNoteを書こうと思いました。一応Twitterでは韓国スタートアップおじさんとか言ってるので、時事ネタにあやかって我田引水的に韓国×スタートアップぽい話に落としますのでちょっとだけお付き合いください。
こちらの写真は2006年、今から14年前ほどの韓国映画業界の人たちがこぞって参加した「スクリーンクォーター制度死守」のためのデモです。最前列から数名、映画でよく顔を見る人がいるかと思います。(アン・ソンギさんとか最近何してるんだろ)
スクリーンクォーター制度、韓国では「韓国映画義務上映制度」と呼ばれており、名前がすべてを語っている通り、映画館では一定期間かつ一定本数の韓国映画を上映しなければならない、とする制度です。もともとはイギリスでできた法律らしいですが(さすがブリティッシュ!)、いまでもフランス等欧州では活用されているようです。
そして、スクリーンクォーター制度は米韓FTAでアメリカ様によく怒られる条項でもあるのです。上記のデモは故盧武鉉大統領の時期、アメリカからの圧力に対し忠武路(チュンムロ、韓国映画界の代名詞)の人々が立ち上がってデモやハンストを行ったものです。
そう、韓国の映画はアメリカに潰されそうになったのでした。しかし、冒頭の如くざまぁみろ(ry
さてここに、韓国映画産業の成長に関するグラフがあります。2006年、約1,300億円程度だった韓国の映画関連産業は現在、約2,000億円に達しており、緑の部分である海外売上は約27億円から約63億円と2倍以上成長しています。(青は劇場売上、赤は周辺市場)
一応比較として日本のものも出しておきます。興行収入のみでみたとき、大体2,000億円程度で韓国とほぼ変わりません。(結構意外)多分日本はグッズを買う文化が強いので、周辺市場は韓国より大きいでしょうが。
そう、あり方や他にも要因はいろいろあると思いますが、韓国の映画業界は着実に伸びてきており、さらに海外売上の比率があがってきています。そして、この傾向は今回のパラサイト以後も変わらないでしょう。
さて、方や国による(国を上げての?)保護政策が奏をなして産業として一躍拡大した映画界、方や国による規制で息も絶え絶えな、第4次産業革命の本命と言われるモビリティ・MaaS産業。
個人的には外資であるウーバなどを規制するならまたしても、国内産業を育てずに潰すというこの判断が、韓国の未来に暗い影を残しているようにしか思えません。がしかし、答えは市場が知っているし、10年後にはある程度、結果が物語るでしょう。
日本は? Japan TaxiとMOVの連携が先週あったばかりですが、日本は着実に外資に対して規制をかけ、上手く守ってきていますね。ここまでは。DiDiあたりが猛追撃&札束で殴りまくってますが。
もちろん、規制などで保護障壁を作り、国内産業を作るのは大事ですが、それにあぐらをかいて寄生してしまう古い体制というのもいかがなものでしょう。保護障壁は産業にとって成長するための時間稼ぎでしかなく、結果はたゆまぬ技術への投資と、それを正しく評価する市場がなくては意味が無いと思っています。
そのへん、韓国のTaxiは最低最悪のUXなので、Tadaには頑張って欲しいと思っています。
さて眠いので今日はここまで。
基本しょうも無いことしか言いませんが、たまにはまともなこともつぶやいてます
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