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アーセナル連覇に沸くロンドンで、女性から見た酔っぱらいの怖さを擬似体験した話

アーセナルがFAカップ2連覇…4発完勝で歴代最多12回目の優勝果たす
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150531-00317564…

昨夜ジョギングに出かけると、ロンドンの街には酔っぱらいが溢れ、どこのパブも満員状態だった。あぁ、そうか。アーセナルが勝ったんだ。

私はロンドン都心のちょっと北、ちょうどArsenal駅のあたりに住んでいるので、試合が終わった後には、アーセナルのユニフォームを着たサポーターたちをいつも見かける。でも、スタジアムからは少し離れているし、いつもは閑静な住宅街だし、「ここまでは大した影響は無いだろう」とタカをくくっていた。でもそんな予想を裏切って、昨夜の狂騒は、ちょっとすごかった。

車が走る道路を、無理に渡ろうとする酔っぱらい。
けたたましくクラクションを鳴らす車。
走る車の窓を叩いて"Shut Up!!!"と叫ぶ酔っぱらい。
ジョギングしているのを見て"Run, Run, RUUUUUUUUNNNN!!!!!"と大声で叫ぶ酔っぱらい。
すれ違いざまに突然飛び出してきて、大声でハイタッチを求めてくる酔っぱらい。

すぐに気がついた。
・・・しまった。今日はジョギングに出るべきじゃなかった。

酔っぱらいは、怖い。顔を見ればみんな楽しそうだけど、それでも怖い。
アルコールを飲んだ人間は、飲んでいない人間よりも凶暴になりがちだし、
何をするかわからない、怖さがある。

そんなこんなで結構ビビりながら走っていたのだけど、隣を走る彼女のコメントを聞いて、自分が”本当は何を怖がっているのか”がハッキリした。

『女の人から見ると、日本でも、酔っぱらった男の人は怖いよ。体が大きくて、もし何かされたら敵わない』

酔っぱらいは確かに怖い。でも考えてみれば、日本じゃ、酔っぱらいを怖いと思ったことは無かった。

・・・なんでロンドンの酔っぱらいは怖いんだろう?
「何をしゃべってるかわからない」という言葉の問題もあるけど、それよりも、『体の大きさ』の違いのせいなんだと気が付いた。

私の身長は日本の平均より少しだけ高いので、日本で誰かを「見上げる」という事は少ない。でも、ロンドンに来て街を見渡せば、「こんなに首に角度をつけて誰かを見上げるなんて、日本じゃ滅多に経験しないな」ってぐらい、身体の大きな人たちにあふれてる。たっぷりとした大胸筋が、彼らのTシャツを押し上げているのが、ハッキリと見てとれる。

昨夜の自分には、「もしも酔っぱらいに襲われでもしようものなら、ほとんど抵抗できずに負けるだろう」という、100%を超える確信があった。

彼女は走っている間も、私よりもずっと落ち着いていて、余裕があるように見えた。『わたしから見れば、相手が日本人でも外国人でも、自分より大きいって意味じゃ変わらないし。こういう怖さには、男性の君よりも、女性の方が慣れていると思う』

日本でも、サッカー日本代表が試合に勝ったような日には、渋谷駅が大変なことになる。

みんなが楽しいなら、それは何よりだと思う。自分も普段、迷惑を受けている人には申し訳ないと思いつつも、幸せそうな人々の笑顔を、微笑ましいと思って眺めていたりする。(言うまでもなく、マナーを守ることが前提の話だ。)

でも、それを見て怖がる人もいるんだということも、頭の片隅に入れておかなくちゃいけない。そういう狂騒に紛れて痴漢を働くような人がいたり、性暴力被害者に「もっと抵抗できたんじゃないか」とか言う人がいたりする、こんな世の中だからこそ、『弱者』側の視点を想像することを忘れたくはない。

ジョギングをすぐに切り上げて帰り、妙な汗に濡れた身体を拭きながら、そんなことを思った夜だった。

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