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傷だらけのティアラ

こんばんなまらステ🖤💛Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨

昨夜、山口きらら博記念公園で行われたキンプリことKing & Princeのイヴェントで千人にものぼる帰宅難民が出たという話。

議論が百出しているけれど、一体何が問題だったのか考えてみたい。

キンプリはSTARTO ENTERTAIMENT、つまり旧ジャニーズでは今一番勢いのあるsnow manより一世代前のグループだけども、当初6名でデビューしたのち1名が脱退、そしてエース格の子を含む過半数の3名が滝沢秀明氏率いるTOBEに移籍してNumber_iを結成しており、2名しか残っていない。

そーはいったって平日の山口県に3万人を集めるほどの人気があるのも事実。

山口きらら博記念公園はその名の通り2001年に開催された山口きらら博という地方博覧会の会場だったところで、現在は山口市に併合されたけども、当時は阿知須町という独立した町の干拓地であるきらら浜に整備された。

敷地面積は非常に広く、とくに夏季は大規模なイヴェントが開かれる場所だけれども、今回の事件はアクセス面での不安を残すことになったといえる。

今回の事件は新山口駅へのシャトルバスが渋滞によって遅れて新幹線などの終電に乗り継ぐことができず、千人もの帰宅難民が駅構内の団体待機スペースで夜を明かすことになったという話。

山口きらら博記念公園の大規模イヴェントとしてはワイバンことWILD BUNCH FEST.という音楽フェスがよく知られている。

ワイバンにおいても当然ながら多数のシャトルバスが運行され、また徒歩20分ほどの阿知須駅があるJR宇部線でも臨時列車が運行される。

ワイバンは岡山にある夢番地というイヴェンターがやっていて、フェスの名前にも反映されているけれども、今回のキンプリについても夢番地が取り仕切っていた。

当然ながらワイバンの実績があるからこそ夢番地に任されたわけね。

だけども、それが仇になったのではないかと自分は考えている。

まずワイバンの動員は1日2.5万人で、キンプリは3万人。そしてフェスなので、最後の方のアーティストに興味のない人は先に帰るということもある。基本的には終わりに近づくほど大物が出るからそんなことする人は少数とはいえさ。

次にワイバンの終演時間は20時、キンプリは20時30分。この差も大きい。

またワイバンに来るのはほとんどが広島から福岡あたりの人、キンプリは全国からやってくる。

ワイバンは休日、キンプリは平日。このあたりは宇部を中心に工業地帯でもある。

こうしたことをどこまで頭に入れていたか。

ワイバンのシャトルバスはそれほど渋滞しないらしいのだけど、これは上記に書いた動員数の差や退場時間の集中度合いの低さなどがすべて関係してくるといえる。

ワイバンのときはうまくはまっていたキャパシティが、キンプリのときは崩壊してしまったのだろう。

恐らくワイバンのときの輸送計画をそのまま3万人に当てはめるだけの輸送計画だったのだと思う。

輸送計画がどんなものなのかを推測してみたい。

動員数と最寄り駅からの距離がよく似ているエスコンフィールド北海道において輸送分担率はJR4割、自家用車3割、シャトルバス2割だという。

山口きらら博記念公園には9000台の駐車場があるというけど、関係者車両などもあるわけで実際に販売された駐車券は8,000枚程度じゃないかと推察される。

一般に自家用車1台には1.3人乗っていると言われているので、それを当てはめると10,400人。

3万人の3割以上のキャパシティがあるのでここはエスコンフィールド北海道と同等の分担率だとしたら事足りている。

シャトルバスは販売サイトによると山口県内のバス会社を中心に51社の運行会社が示されているので、最低でも51台を確保している。当然ながら地元の防長観光バス、サンデン交通などは複数台出すだろうから、全部で100台はあったんじゃないかと。

https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2450411

大型バスは補助席を使えば60名が乗車できるため100台なら6000名。3万人の2割は確保できている。

問題はJRにある。

3万人の4割ということは1.2万人。

もちろんこのうち宇部方面へ向かう流れもあるけれど、大半は新山口へ向かうだろうとすると1万人程度の輸送力は欲しい。

宇部線って基本的に2両編成で、イヴェント帰りに使えそうな電車は通常2本、臨時3本の5本。

電車1本につき定員の3倍近く載せたとして、700人くらいかな。だとすると5本で3,500人で全然足りていない。

JRは一応臨時電車は出したけど、あまり告知も積極的にしてなかったという。1万人が阿知須駅に殺到したら捌くことができないからね。

JRがこれなので数千人が浮いてしまう。

それは夢番地もよくわかっていて、JRに期待をかけようとはしてない。

そこでシャトルバスを2回転させて辻褄を合わせようとしたと考えられる。

シャトルバスは本来片道20分なので、21時に山口きらら博記念公園を出たバスは22時前にはもう一度観客を乗せることができるはずだった。

ところが渋滞で新山口駅まで1時間以上かかってしまったために、バスが戻ってきた時点でもうだいぶ遅くなっていたのだという。

このようなことをもう起こさないためにはどんなことが必要だろうか。

まずJRはがんばってあと1本増発、かつ4両編成にはできる。これで8,400人。

シャトルバスから5,000人近くが転移すれば事態はだいぶ良くなる。

JRを6両編成にできれば解決するけど、そんなに余剰車両が多いとも思えないし現実的じゃない。本当は繁閑の差に合わせて輸送力を調整できることこそが鉄道の強みなんだけど、いまのJRはどこも余剰車両をどんどん削っている。

それならば終演時刻を20時にすれば、電車をあと1本増やしてほぼ必要な輸送力にでき、シャトルバスも基本的に1回転で済んだのではないかと。

逆に終演時刻を20時とし、JRはほどほどの増発かつ2両編成存置というシミュレーションをしてみると、JRは最大4,200人。シャトルバスは1.5回転。これでも今回の惨事はだいぶ防げたんじゃないかと思う。

結局、開演・終演を巻けって話なのね。

今回は花火主体ということでこの時季暗くなるのも随分遅いけどさ、前半はキンプリのトークショーやミニライヴ、メンバーとの握手を賭けたじゃんけん大会なんかでもいいわけじゃん。

夢番地が一番見誤ったのはそこだろうと。

今回のケースだけでいえば山口きらら博記念公園と新山口駅を結ぶ県道212号線の車線の半分をシャトルバス専用にしてしまえばよかったのかもしれないけれど、今回だって福岡県などのバス会社がやたら多かったように、今後はシャトルバスそのものの手配が難しくもなってくるのだから、ますます遅い時間の開催はできないと考えるべきじゃないのかな。

これに限らずシャトルバスの存在を前提にして造られている大規模集客施設はどこも危ない。

例えば清水エスパルスのスタジアムを日本平から清水駅前に移そうとしているのは時流を読んだ政策といえる。

一方で同じ静岡市内で立ち上がりNPBファームウエスタンリーグに参加している野球チームハヤテ223の球場を駅近の草薙ではなく庵原に持っていったのは意味不明なんだけど。

ただ、野球は負けてる側のファンを中心に途中で帰る流れがあったり、試合が長引くと自然に帰る流れがあるので、ある程度分散される。フェス型というかさ。

エスコンフィールド北海道なんてそこを更に突き詰めていて、フードホールが充実しているから、試合終わっても帰らない人たくさんいるのよ。

一方でサッカーなどフットボール系(バスケ含む)のゲーム、コンサート、花火大会などは退場時間が一気に集中するので、モビリティのコントロールが極めてしづらい。

このようなイヴェント性の違いは例えばベルーナドーム(西武ドーム)で以前は渡辺美里くらいしか使ってなかったのに最近とみに増えているコンサートでよくわかる。

西武鉄道は野球の後、神業的な増発オペレーションを行なうことで知られているけど、コンサートの後はそれが全然通用せず駅前に人が溢れている。

もっともあれだけの人が滞留できるように造られている駅前も見事ではあり、コンサートのことも考えて造られてはいる。

こうしたことも考えていかないと、いまJ3でもJ1ライセンスを取るべく日本中で巨大なスタジアムを建設していて、そこの稼働率を上げるために旧ジャニーズなどを呼ぶという流れなんだけど、そこの足回りが崩壊しているのではないかと。

こーした流れに真剣に向き合わない限り今回のティアラの悲劇が繰り返される。ティアラはキンプリのファンのことね。

もうシャトルバスの幻想を信じるのはやめてくれ、ということに尽きるかな。

それじゃあバイバイなまらステ🖤💛厚沢部煮切でしたっ✨




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