Route 106 オワコン鉄道と勝者の代償
こんばんなまらステ💚🧡Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨
これね、岩手日報は徳島県でJR四国の牟岐線が徳島バスとやっている共同経営の岩手版だと思っているみたいだけど、多分違う。
本家はこちら。
徳島の場合は双方がある程度拮抗した競争状態にあったのを共創に切り替えたわけだけれど。
こちらにしても2018年まではバスが優勢であったにしても、ある程度は拮抗していた。
JR山田線は盛岡ー宮古間の路線だけど書類的には2019年まで、実質的には2011年3月11日までは盛岡ー釜石間の路線だった。
宮古までは山道を越えていき、宮古から釜石までは三陸海岸沿いを走っており、盛岡から釜石まで行くなら花巻経由の釜石線の方が近いため、基本的に宮古で流動は分かれており、前者を山線、後者を海線という呼び方もした。
海線の途中に陸中山田という駅があり、それで山田線といった。
そして海線はご想像の通り、津波でウォッシュアウトされてしまった。
当初JR東日本は気仙沼線、大船渡線と同様に山田線のBRT化を打診したけれど、地元がそれを拒否したため、紆余曲折の末に復旧工事はJR東日本が行うものの、運営自体は久慈ー宮古間と釜石ー盛間の路線を運営する第3セクターの三陸鉄道に移管することにした。
したがって現在の山田線は山線のみしか残っておらず陸中山田に繋がっていないのだけど、名前を変えるのも面倒なのかそのままになっている。
普通に考えたら、盛岡と宮古を結ぶ山線の方が海線より乗客が多いように思うんだけど、実際はまったくの逆だった。
というのも、岩手県北自動車(以下、県北バス)が1978年に国道106号線の改良を機として盛岡と宮古を結ぶ106急行バスを走らせると、これが大好評で山線から乗客を奪いドル箱になった。
そうはいっても、山田線の快速列車と106急行バスの所要時間はほぼ互角で、きめ細かいサーヴィスで106急行バスが優勢だったけれど、国鉄~JRが仮にやる気を出したらわからない、という感じが続いた。
しかし山田線は徐々にダウンサイジングさせられ、2018年に区界(くざかい)駅での行き違いをできなくさせたのが相当ヤバかった。
これにより52㎞離れた上米内と川内の間で行き違いが行えなくなり、概ね2.5時間が最小運行間隔になってしまった。
これじゃあ1時間毎に発車する106急行バスに勝てるわけがない。
そして2021年には宮古盛岡横断道路が全通して、これまで双方約2.5時間で盛岡と宮古を結んでいたのが、新しい道路を経由する106特急バスは2時間を切るまでになった。
速度でも完全に水をあけられてしまったかたち。
まあ宮古盛岡横断道路の全通を見越して、JR東日本は山田線に期待を一切持たなくなったということなのかもしれないけどね。
それでもJR東日本は大規模な自然災害が起きない限り今ある路線は維持していく、という考えをパンデミック前は持っていたけれど、それももはや昔の話。
JR東日本としては山田線をもう手放したくてやまやまなのよ。
今回の実験はまさに山田線なんていらないよね、という実証結果ありきでやっている。
だってJRの切符で106急行バスに乗れるけど、県北バスの切符で山田線に乗れないんだからさ。
表面的に見れば山田線は完全なルーザーであり、無くても別に困んないでしょって。盛岡市内の上米内までは渋滞対策のために残してもいいけれど。
だけれども106急行バスの方は安泰なのかといえば決してそーじゃない。
既に岩手県交通がドライヴァー不足で減便、一部路線廃止を発表しているけれど、トライヴァーが足りないのは県北バスだって同じなはずだから。
仮に山田線が廃止されるとなったら、県北バスこそ目の前が真っ暗になるんじゃないのかと。
これを機にJR東日本と県北バスはもっと協調すべき時にきている。
実は山田線沿線に細かく停車していく106急行バスは1日3~4往復にすぎず、ほとんどが106特急バスになっている。都市間需要を重視しているのと同時に、車両の回転をよくして必要人員を抑えたいのだろう。
それくらいの本数だったら、今の山田線でも賄えなくはない。
山田線は各駅停車オンリー、県北バスは106特急バスオンリーにして、双方の乗車券を共通にしたらどうか。
といっても途中駅からの着席保証という観点もある。
山田線の方が220円安いので、山田線の車内に県北バスがプロデュースする220円の指定席をつくればどうだろう。この収入は県北バスにいく。
これでお互いが強みを出して補える関係になれるはず。
さらに県北バスの人員不足が加速していけば、高速化や区界をはじめとした行き違い設備の復活や新設といった山田線のテコ入れを考えていかなければいかなくなる。
バスドライヴァーの不足を鉄道のリノヴェイションで補うべき、という社会的合意が国全体でできれば、そのための補助金も出てくるだろうけど、現時点では県がなんとかすることになるので、山田線だけでなく花輪線などもそうなると考えると、本当に少しずつしかできないけれど。
JR東日本、県北バスの母体であるみちのりホールディングス、岩手県で膝を突き合わせて考えを進めてほしい。
それじゃあバイバイなまらステ💚🧡厚沢部煮切でしたっ✨