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スイスは何故レールの峠を越せたのか

こんばんナマステ💛Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

12月11日からスイス🇨🇭で走っているゴールデンパスエクスプレスが結構話題になっている。

幅の異なるレール同士を直通できる、という点ではスペインをはじめとして先達はたくさんいるのだけど、

スタンダードゲージと呼ばれ、新幹線などで採用されている幅1,435㎜のレールよりも狭いレールとの間を直通したのはこれが初めてだった。

そしてそれは昨年部分開業した西九州新幹線でも導入を目指したものなのに、日本は開発に失敗して武雄温泉で乗り換えることになったのに対して、スイスは直通できる列車を見事に営業運転に乗せた。

なお、日本の在来線のレールは1,067㎜のケープゲージといってケープの名の通りイギリスが植民地を中心に広めていった規格で、

フランスの山岳鉄道のレールは1,000㎜のメーターゲージといってメートル法にこだわるフランスがローカル線を中心に広めていった規格。

メーターゲージの方が狭い分だけ直通運転の難易度は高い。

日本が衰退していく論が喧しいなかで、ショックを受けた人が多いのかなぁと。

それぞれの中身を知ってれば別にどーってことないんだけども。

日本のフリーゲージトレインがなぜ失敗したか。

新幹線は台車にモーターがついてるんだけど、これが異なるレールの幅に対応できる軌間可変装置とぶつかっちゃう。

それでだいぶ無理をした結果、走行試験で亀裂が見つかって西九州新幹線の開業までに克服できないとわかってやめてしまった。

じゃあスイスはどーなの❓

答えは簡単。

車両に動力なんかついてない客車で、機関車を連結しないと動かすことができない。

だから軌間可変装置を障害なく付けれる。

機関車は軌間可変装置を付けれないので、レールの幅が違う路線に乗り入れる際は、他の機関車を連結し直す。

目指した速度にしても日本の270km/hに対して、スイスは100km/hとのこと。

つまり日本はスイスよりも遥かに難しいイノヴェーションに挑戦していたことになる。

それができればかっこいいけど、失敗して何も残らなかったら意味がない。

軌間可変列車の元祖であるスペインはどーだったのかといえば、

まずそれに必要な基礎技術自体はタルゴ社によって1950年に登場している。

両輪の間に車軸を持たず、左右の車輪がバラバラに動くのね。

この時は軌間可変なんて発想はなかったのだけど、これを応用すればそういうことができるんじゃね❓ってことに気がついてフランスのスタンダードゲージとスペインのイベリアゲージ(1,668㎜)の間の直通運転が実現したのが1968年。

しかしこの時点ではまだ客車でしか実現しなかった。また高速鉄道で使用するなんて話もなかった。

そもそもスペイン初の高速鉄道であるマドリードーセビージャ間の高速線は1992年にできている。

スペインは将来のフランス直通を考えて、高速鉄道は在来線とは異なるスタンダードゲージを採用、開業時は高速線のみを走行する列車しか走らせていなかったけれど、

翌1993年には早くも軌間可変装置をつけたマドリードーマラガ間の直通運転が実現している。

それは在来線のレールを新幹線に合うように敷き直して実現した山形新幹線の翌年のことで、日本人は大いに打ち拉がれた。

この時から軌間可変装置へのコンプレックスが始まる。

しかしこの時もまだスペインのそれは客車。

モーターをつけた電車タイプの登場は2005年を待つことになる。

では何故スペインでは台車のモーターと軌間可変装置を両立できたのか。

これも単純な話で、軌間可変装置の幅を狭い方のスタンダードゲージの幅に合わせればいいので、そのなかにすっぽりとモーターが入るのね。

日本のフリーゲージトレインはケープゲージに合わせた軌間可変装置のなかにモーターをはめ込むので難易度が高い。

それでもスペインだって軌間可変装置を始めてから随分時間がかかった。

それも現状、軌間可変装置つきの車両は250km/h止まりで、300km/hを出せる車両の開発を発表してから十数年音沙汰がない。

軌間可変装置なしの車両は350km/hを出せるはずなのに、軌間可変装置ありの車両が邪魔なので310km/hに留まっている。

やっぱり軌間可変装置にはどこか無理がある。

日本は幅の狭い、それも可変幅がスペインより大きい直通をモーター付きで、かつスペインより速い270km/hでやろうとした。

また、当社の設計では在来線でこれまでのようなきめ細やかな運転ができず、その設計変更も追加になったのは不幸なことだった。

これまでも日本の鉄道は幾度となく無理難題を乗り越えてきたけれど、それは戦前は外国人技師による経験とノウハウの移転があったからだし、戦後は積み上げた基礎技術があった。

リニアに関してはまさに新技術で、戦後のほとんどの期間を費やして、ようやく営業運転の手前まできた。

それに対してフリーゲージトレインはどうかというと、スペインの協力を得てはいるけれどスペインの経験を遥かに超える難易度だし、日本側の技術の蓄積はせいぜいミニ新幹線くらい。

そーは言ったって、結果論だけどね。

実現してたら、日本の技術はやっぱりすげー、の拍手喝采だったわけで。

近鉄への転用が決まって、これまでの開発投資が無駄にならないのはよかったけれど、最初から近鉄でやってたらとっくに実現した可能性がある。

段階を追うということもやっぱり必要なんじゃないかなぁと。

まずは近鉄で150km/h未満で走行する技術を確立させることで、

ミニ新幹線と在来線を繋ぐ山形ー秋田間、南海と近鉄や阪急、西鉄から熊本方面といったことが考えられる。

過密ダイヤとはいえない上越新幹線の越後湯沢以北でもできそう。

150〜200km/hが確立できたら、新幹線にちょびっと乗り入れたり、成田スカイアクセスから鹿嶋といったことができる。

200km/hを超えれば、仙台ー博多間、大宮ー高崎間以外の新幹線には大概乗り入れ可能になる。

佐賀県は200km/hのフリーゲージトレインなら可能だと主張していて、自分もそれを支持しているのだけど、

国の考えは真逆の様子。

佐賀県としては県境ギリギリを走る西鉄に協力を仰いで、走行実験をしてみるのがいいんじゃないのかな。

武雄温泉には国が置かせてくれそうにないし。

天神ー佐賀直通特急もそれなりに魅力あるよね。

結論としては日本は素晴らしい技術開発力はあるけど、プランニングがヘタクソということ。

それによって日本の衰退を象徴するかのようなムードになってしまっているのは不幸なこと。

フリーゲージトレインの開発はまだ何も終わってないのだから、まずは近鉄で成功してプライドとロマンを取り戻してほしいと思う。

それじゃあバイバイナマステ💛暑寒煮切でしたっ✨

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