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JATA経営フォーラム2023インプット①世界の構造変化~大中華圏、大英帝国、ダビデの星

こんばんナマステ💚Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

ずーっと後回しになっていた😅、JATA経営フォーラム2023のインプットを昨年に引き続き今日からやっていこうと思う。

JATAこと日本旅行業協会は2つある旅行業界団体のひとつで、JTBをはじめ大手が中心となっている協会。もうひとつのANTA(全国旅行業協会)は中小が多い。

そこで毎年年初に旅行業界の今後を考えるJATA経営フォーラムが開かれており、毎年なかなかの豪華メンバーを集めて結構有意義な議論がなされるんだけど、

今年は昨年に引き続き、コロナ禍を受けてオンライン開催になっており、3月31日まで無料で公開されていた。

昨年はこんな感じでインプット記事を上げていったよ🌟

そこでまず今回は基調講演『2023年 世界の構造変化の中で』をインプットしていくことにする。

講師は一般財団法人日本総合研究所会長 寺島実郎氏。

早稲田大学で政治学の修士号を取った後、三井物産に入って調査系のキャリアを歩み、今はシンクタンクだったり多摩大学の学長とかやっていて、よくTVに出て辛口な評論を飛ばす人。

この講演も多分あのノリで激辛なんだろうけど、辛さが怖くてインドの仕事ができるかってんだ🌶🌶🌶

ってなわけで早速みてみようじゃないか。

寺島「JATAには大変にお世話になっており、100ヵ国以上を訪れ、コロナの前は年に15~16回海外渡航をしていたので色んな人に支えられてきた。今日はみなさまの経営戦略に役に立つ話をしたい。今的確な時代認識をできていない経営はうまくいかない。これは人生も国家経営も一緒だ。

今回は2枚のアタッチメントの紙を配った。ひとつが「IMF 世界経済の見通し」、もうひとつが「日本人としての歴史認識のプラットフォーム」

IMFは3か月ごとに世界経済見通しを改定していく。今配っているのは2023年1月版。これをベースに経済を考えていくのは重要。昨年の経済成長は4.4%と見ていたのが実際にはウクライナ侵攻などがあり3.4%。

ロシアは昨年マイナス2.2%だったのが、今年に入りプラス0.3%と意外なほど持ちこたえているが、ロシアの衰亡は世界的なキーワード。ロシアに対する信頼感は20年経っても戻らない。ロシアの産業基盤点はこの数字以上に弱体化している。

中国は昨年4.8%の予測に対し3.0%だが、今年はゼロコロナ政策解除で5.2%となる予測。

ここで注目してほしいのは除く中国のアジアのダイナミズム。インドとASEAN5だ。インドは昨年6.8%成長し、今年も6.1%の成長が見込まれている。インドの時代到来だ。ASEAN5は昨年5.2%、今年4.3%の成長が見込まれており日本にとっては大きい。また、資料にないが台湾も成長しており日本にとってはプラスになる。

TOKYO MXで毎月第3日曜日に『世界を知る力』というひとり語りの番組をやっている。放送大学でもあるまいし民放としては異例だ。

第4日曜日には対談篇をやっており、YouTubeで過去のアーカイヴ視聴が可能。第5回にニトリの似鳥さん、第10回にファーストリテイリングの柳井さん。柳井さんは大学の同期で親友。あるいは第13回でヤマトホールディングスの山内さん、第7回でDX分野の第一人者である東洋大学の坂村教授などある分野に集中して学んでみたら必ず得られるものがある。

ひとり語りではロシアについて集中的に深堀りしてきた。ここにいるのは旅行業界の経営者の方たちだと思うが、一度大学ノートを持ちながら自身のメモランダムを作成してほしい。

『世界を知る力』のYouTubeは今朝現在821万回のアクセス。体系的に世界を考え直そうという人がアクセスしてくれていると確信している。

それを視聴する時に「日本人としての歴史認識のプラットフォーム」を手元に持ってもらうと見方が深まるという意味でお配りした。

明治維新から敗戦までが77年、敗戦から昨年までが77年、そして次の77年という見方。驚くことに岸田首相も77年周期を口にしていた。

我々は2023年から始まる未来圏の入り口に立っている。

ここから日本経済の話をしていく。ネガティヴな話でなく健全な危機感を持ってほしい。

日本も上手くいってるんじゃないかシンドロームとして、アベノミクスで金融ジャブジャブにしたことで株価が上がり円安で輸出がしやすくなったというところで経営者のなかに安堵感が出てきていたが、真実を話すと血相真っ青になった。

世界のGDPシェアの推移を見てほしい。1950年は日本の比重が3%、昭和最後の1988年は16%、工業生産の優等生。中国・インド・ASEANをかき集めても6%。2000年は14%。日本以外のアジアは7%とほぼ変わらず。

ところが2021年は日本は5%に圧縮され、日本以外のアジアは25%に。2000年から2021年へのパラダイムシフトに経営者の頭がついていっていない。まだ日本がアジアのトップランナーだと思い込んでいる。

最新は4%台、ひょっとしたら3%台に落ち込んでいる。

日本のピークは1994年の18%。GDPは付加価値の総和。経済活動のマグニチュードが急速に埋没している。このファクトをまず知るべき。

観光に関連する一人あたりGDPで、昨年は台湾に抜かれ、韓国に並ばれた。アジア5位、世界30位にまで落ち込んだ。今年は広島でG7サミットが開かれるが、豊かさでいえばG30入りすら危ない。

台湾に焦点を当ててみたい。春節期間の京都のホテルは台湾からの宿泊客で埋まっていた。

先日、沖縄で玉城知事と共に講演をしたが、台湾にできたことが沖縄にできないわけがない。台湾のGDPは九州+四国+中国を上回る。台湾がもし日本の県だったとしたら一昨年の時点で東京に次ぐ2位、昨年はもしかすると東京を追い越したかもしれない。

ロシアは世界の戦略核の過半数を持っているが、通常の軍備は極めて弱いことがウクライナ侵攻が長引いている原因。ロシアは資源大国だが、付加価値をつけて生産する力がない。台湾はロシアの0.2%の面積しかないが、GDPはロシアの半分。

台湾のGDPの15~20%は半導体。TSMCは世界の半導体の半分のシェア。日本のアンダーテイカーみたいに見ている人もいるだろうが、話がどんどんひっくり返ってきている。台湾最大の中国信託銀行は東京スター銀行を買収し、諏訪岡谷や三条燕、東大阪、大田区などの日本の技術を持った中堅企業を次々と買収し始めた。ニセコはつい最近までオーストラリア資本で占められていたが、今は台湾資本だらけ。

10年前に『大中華圏』という本を出した。

中国イコール中華人民共和国と考えていても意味がない。世界にはオーヴァーシーズチャイニーズがたくさんおり、華人・華僑とのネットワークで中国を考えなければいけない。

習近平はなぜ「中華民族の歴史的復興」という言葉を使うか。

中国と日本の決定的な違いは異民族支配を受けてきた歴史の有無。漢民族は自分たちこそ中華民族の中心だという自負があるが、事情がありシンガポール、香港、台湾などに散っている。華人・華僑が中国本土の経済成長を支えた。

ところが香港情勢が緊迫し、台湾を恫喝している現状では華人・華僑たちが中国を監視する目に変わってきており、そこで華人・華僑たちがどんどん僕のもとに集まってきている。

かつての赤坂プリンスホテルが中国資本に渡り、高層ビルに変わっているがその最上階にCPFの東京ヘッドクォーターがあり、今日本の食品流通はCPFが仕切っている。CPFはタイの華僑から始まり、タイでは通信企業として知られている。彼らからすると今の日本はかつての半額で展開できるバーゲンセール状態。

日本は大中華圏のバックファイヤーのなかに巻き込まれている。

5年前には『ユニオンジャックの矢』という本を出した。大中華圏に次ぐネットワーク型世界観の第2弾。

イギリスという国をグレートブリテン島だけで考えてもダメ。

ロンドンのシティからドバイ、インドのベンガルール、シンガポール、シドニーを貫く大英帝国の矢を見よ。イギリスの首相がインド系になるというダイナミック。

長い目線で見れば大英帝国は衰亡している。1ポンドはかつて5ドルしたのが、とうとう1ドル未満になりつつある。

英国は世界から影響力を残して後退している。英語、英国法、サッカーやコーヒーをはじめとした文化。対して日本は東南アジアに何の影響力も残さずに去ろうとしている。日本はポテンシャルでは負けていないが、多国籍軍を率いれる人材がいない。日本人はアジアソサエティを構築できない。

昨年12月末にネットワーク世界観の第3弾として『ダビデの星を見つめて』という本を出した。ユダヤネットワークの本だ。

イスラエルに張り付いていたり、ウクライナに通い詰めていた時期があるが、ユダヤのネットワークを理解しないと今の情勢を理解できない。

ウクライナにユダヤ人が多いのは、ポーランド時代にユダヤ人が増えたから。ソ連が崩壊し、ウクライナのユダヤ人の多くがイスラエルに移住した。

アメリカよりソ連が先にロケットを打ち上げた技術力はキエフ工科大学が源泉。なぜプーチンはナチスとの戦いを標榜するのか。

そしてアメリカ。なぜトランプはイスラエルを熱烈に支持しているのか。アメリカにおけるユダヤのファクターを見よ。

21世紀の勝ち組イスラエル。圧倒的な負け組は日本。

周辺のイスラーム圏を分断して弱体化させる。アメリカを利用するかたちで。

イスラエルはアメリカの強かな同盟国で、日本は従順な同盟国だ。

僕の日本総研が一生懸命観光のことをやっていた時期がある。

『新・観光立国論』という本も出した。

JTBの田川さんと一緒にIRの推進をやっていた。しかし誤解しないでほしいのはIRにおいて必ずしもカジノが重要なわけではない。あくまで選択肢のひとつにカジノがあるだけだ。

今日本の観光産業を見ると高付加価値観光論が必要。

台湾の経営者と話していると、これからの日本に必要なのは産業ツーリズムだという。日本の産業プロジェクトの進捗を観に行く需要が必ずあるはず。

例えば、苫小牧の東に日本最後の超巨大工業団地を造ろうとしている。

僕が三井物産に入った頃、横浜・神戸は世界1・2位の港だったが、今や69位・70位まで落ちた。日本の港湾で一番上なのは43位の東京。トップ10はみな大中華圏。

日本は太平洋側の港湾が空洞化し、日本海側の港湾は大きく伸びている。例えば四国を見ればいい。かつて四国から世界に輸出するのに一度神戸を経由していたが、現在は釜山に運んでいる。日本海を介した米中貿易は増え続けており、米中を中継する苫小牧が非常に大きな意味を持つ。

日本の教育の間違いはメルカトル図法で教えること。地球儀で見れば日本海経由の方が米中の物流は2日早い。そこで津軽海峡の通行量がラッシュになっている。

今日本で一番伸びている港湾が酒田。仙台の物流を取り込んでいる。

日本海の比重が増し、関越道や東海北陸道が非常に重要になってきている。

観光地もいいが、産業ツーリズムをどう組み立てていくか。

物見遊山から意味のある観光にシフトさせるべく、歴史ツーリズムを推進していくべき。ニーズは潜在している。例えば三浦按針にゆかりのある按針サミットの運営をやらされたが、結構な盛り上がりを見せた。歴史をみせるハイエンドな高付加価値観光が重要。

ここで台湾に注目したい。

コレド日本橋に台湾の誠品が進出している。


元は本屋だが、高付加価値の知恵を使った商品群に驚かされる。無印良品や東急ハンズなどがモデルだったはずだが、今や台湾の方がうまく高付加価値を創っている。

四の五の言うより誠品を見てから議論したらいい。

日本がどうして台湾に抜かれたのか、それは日本が安きに流れたからに尽きる。

時間が来たので私の話はここまでとしておきたい。」

ここで会場からの質問。(JATA会員企業のみでリアル開催もしている)

ちなみに司会進行は我らがインド旅行業界を牽引するアショカツアーズの水野社長。

東武トップツアーズ高橋氏「視野を広く視座を高くしないと見えないものがあると気付かされた。自分が入社した1982年は今から見るといい時代で、日本に大きな力があった。今後、旅行業界なのか、観光業界なのかがさらに強くなるため、普遍的な存在価値を持つためにもっと必要なことがあれば教えてほしい」

この人かにゃ。

寺島「ひとつだけ言い忘れたのは人的パワーの中で日本に劣後しているものがあるのかというとMBAシンドローム。会社でMBA留学費用を出すのを控える動きになっているが、今の日本の弱体化はカッコつきのエリートの衰退。MBAに行った人は必ず選択と集中を言い出し、余分なものを削ぎ落とそうとしていく。

そして自分価値最大化を考え出す。日本の企業は2~30代で何千万の稼ぐことはできず、彼らは外資コンサルへ行ってしまう。そして転職を繰り返し、結婚も繰り返す人が多い。シンガポールなんかに逃げ込んでいく。

これからの日本に必要なのはリカレント教育。会社の戦力になってくれる人に課題解決能力を身につけさせなければいけない。コロナで専門値の限界が見えてしまった。専門家には課題解決能力がない。

今後日本はどこに進むのか。海外の連中と話していると日本はもう終わったと見られているのがよくわかった。MRJの挫折は日本の自動車産業一本足打法のツケ。最新の素材を創るはずがどんどんボーイングの既存部品に陳腐化していった。3年経っても国産ワクチンができなかったのはなぜなのか。みんなで力を合わせるということができない。

イノヴェーションが必要だとみんな言うけど、その中身はない。だいたいはDXかグリーンだが。日本で議論しているDXは産業のディジタル化。本来はDX自体を産業にしなければいけない。だからGAFAMのような企業が出ない。

日本総研では今ファンダメンタルズを掲げている。食と農業をどうするか。東京はついに食糧自給率がゼロになった。シンガポールは都市型農業が進んでいる。

いま道の駅を防災拠点にするプロジェクトを進めている。これはアジアからも熱い視線を浴びている。これが産業ツーリズムにも繋がっていく。」

ふーむ。

なんかすごい久々に寺島氏の話聴いたけど、やっぱり面白いなぁ。

特にユニオンジャックの矢というのはインドを考える上で重要な視点かもしれない。

日本がインドと組むメリットって何かってことをよく考えるんだけど、巨大市場だったり安全保障といったことじゃなくもっと大きな視座で見ることが必要だというのは常に感じているので、いい視点をもらえたなあと。

それじゃあバイバイナマステ💚暑寒煮切でしたっ✨



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