見出し画像

旅行業界化する衆議院

こんばんナマステ🧡Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ✨

今回の衆議院総選挙は本当に大変なことになった。

政権与党は過半数割れするも、野党もバラバラで連合政権樹立は難しい。

連立を拡大しようとしても、組めば過半数を維持できる議席を持つ野党はいずれも現段階では連立入りを拒否している。

最後の最後まで何があるかわからないけど、このままいけばどのような組み合わせでも過半数に満たない政権ができることになり、法案毎に協議が必要になる。

ハングパーラメントってやつね。

こうなってくると与党ないし内閣提出法案ばかり審議されるということもなく、少なくとも単独での法案提出権のある野党が3つある以上、その3党もガンガン議員立法を仕掛けてくる。

今まではまずもって野党提出法案が議決までいくこと自体は少ないけれど、今後はトンデモ法案でさえなければ少なくとも議決まではいかざるをえない。

その都度、どの政党が提出したどの法案にどの政党あるいは議員個人が賛成した、反対した、という話になってきて、勢力図は万華鏡のように変わる。

多くの人にとっては見たことのない展開ということになるのだろう。

だけどうちら旅行屋はそれを不思議に思わない。だって旅行会社ってそーゆーものだから。

今は店頭販売をしている旅行会社自体が少ないし、みんな行かなくなって久しいからピンと来ないかもしれないけど、2000年代までは旅行会社の店頭で他社ツアーのパンフレットが並んでいるのを見たことがある人も多いはず。

JTBさんの店頭でKNTさんのツアー売ってたりとかさ。

大手同士だと類似商品も多いからそこまで他社のツアーを売る数は多くないけど、中小なり今では廃れてしまった電鉄系と呼ばれる大手私鉄がやっている駅併設の旅行会社に行くと色んな旅行会社のツアーが百花繚乱で販売されていた。

今だとホームページでさも自社商品のように他社のツアー売ってることはザラよ。

サイト内をよく見ればそのツアーを実際どこの旅行会社がやっているのか明示してあるけど、探すのが難しい。

昔時々あったのが、自分とこの旅行会社のサイトでそのツアーを知ったんだけど、リンク先に迷い込んで企画旅行会社から直接予約。

後日人数変更か何かで自分とこの旅行会社に電話かけてきて、そんな予約記録ないよ❓って????

他の業界の人にっては不思議に思うみたいだけど、旅行業界ではこんな感じで競合相手のツアーを売り合っている。

これは旅行業法でも規定されていることなのね。

(企画旅行を実施する旅行業者の代理)
第十四条の二 旅行業者は、他の旅行業者が実施する企画旅行(参加する旅行者の募集をすることにより実施するものに限る。)について、当該他の旅行業者を代理して企画旅行契約を締結することを内容とする契約(以下「受託契約」という。)を締結したときは、第三条の規定にかかわらず、旅行業者代理業の登録を受けなくても、当該受託契約の相手方(以下「委託旅行業者」という。)を代理して企画旅行契約を締結することができる。

2 前項の規定により委託旅行業者と受託契約を締結した旅行業者(以下「受託旅行業者」という。)が、当該受託契約において、当該受託旅行業者を所属旅行業者とする旅行業者代理業者のうち当該委託旅行業者を代理して企画旅行契約を締結することができるものを定めたときは、その受託契約において定められた旅行業者代理業者(以下「受託旅行業者代理業者」という。)は、当該委託旅行業者を代理して企画旅行契約を締結することができる。

3 委託旅行業者及び受託旅行業者は、受託契約において、委託旅行業者を代理して企画旅行契約を締結することができる受託旅行業者又はその受託旅行業者代理業者の営業所を定めておかなければならない。

なんでこんなことするのかって❓

バスツアーで考えてみればわかりやすい。

大型バス1台につき補助席入れなければ49席。4×12列で最後部は5席だからね。

旅行業界やバス業界ではよくロクマルという言われ方をするけれど、これは最後部を除く11列につく補助席を含めると60席あるから。

自社の販路だけで49席埋めれたらいいけど、埋めれなかったらどーする❓って話。

色んな会社にお願いしてできるだけ満席に近付けた方がいいのよ。

もちろんこれは持ちつ持たれつなので、A社の箱根ツアーにB社、C社が協力したら、B社の秩父ツアー、C社の日光ツアーにもA社が協力する必要がある。

旅行会社の多くは企画と販売を両方自社でやるから、こーなる。

隣接業界である交通、宿泊、イヴェントといったところは企画と販売は分離されていることが多いけど、旅行会社は一体のことが多いので。

ところで、2016年に起きた軽井沢スキーバス事故では、そのツアーを企画していた旅行会社は廃業させられたけど、受託販売していた2社も54日の営業停止処分を下された。

元々、首都圏発着スキーバスの世界では原宿組みたいな言われ方をしていた3社で、当時の大手3社は新宿と池袋、他に東京駅近くから出す独自路線の会社があるというなかで、原宿発着の代わりに他社より安いのが売りだったとこ。

代々木公園の入口で受付してたんだよね。バスを代々木公園に沿ってずらーっと並べてさ。

3社それぞれでスキーバスを用意していたけれど、実際には3社まとめて席を融通し合っていた。

そんななかで受託販売業者も運行事業者の把握や行程確認、旅行者への事前明示が欠けていたとして、旅行業法違反ということになったのだけど、これは運用的に難しいと言わざるを得ない。

スキーバスって間際予約、つまり出発の前日や当日に申し込むような人もいて、ギリギリまで席の調整しているからさ。

それだったらもう規模の大きな会社に任せた方がいい、ということで翌シーズン以降は原宿発のスキーバス自体がなくなってしまった。

例え受託販売であっても、マネジメント体制をきちんと精査しないといけない時代に入ったってことだね。

恐らく政界もそうなっていくだろう。

各政党並びに個々の議員がなぜその法案に賛成するのか、反対するのかを説明する必要が出てきたということ。

官僚も今まで以上に色んな議員に説明に行かなければいけないし、議員個人や政策秘書の仕事も増える。

味をしめた野党は共同で議員立法の提出権緩和を訴え出る可能性もある。

ということで国会議員、官僚、秘書のみなさん、旅行業界の面白さと苦労へようこそ。

それがわかってくれたら、今後再び人々が行動を自粛しなければいけないときに旅行業界を見捨てたりできないよね❓

今回の総選挙の結果は旅行業界による国政へのささやかな逆襲ってことにしておこうかな。

それじゃあバイバイナマステ🧡暑寒煮切でしたっ✨

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?