行ってはいけない北インドゴールデントライアングルツアー④なんで世界文化遺産のひとつ覚えになるのか
こんばんナマステ🧡🤍💚Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️
前回からちょっと空いちゃったけど、みんな大っ嫌い北インドゴールデントライアングルツアーについて4回目を書いていくよ❣️
元の話は『インドの衝撃(インド大学)』でtwitterスペースを使って話した「行ってはいけない北インドゴールデントライアングルツアー」についてだけど、
いつものClubhouseでの話とは違い原稿も音声も残してないから、終わりも特に決めずだらーっとしたシリーズで。
初回は他の国ではツアーに申し込まないような人が何故かインドだけツアーに参加して、そしてインドが嫌いになるという話、
2回目は、実質3日間で3都市を周るいわゆる無理ゲーで疲れ果ててみんなインドが嫌いになっちゃうという話、
3回目は詰め込んだ行き先の大半が世界文化遺産でウンザリだって話を書いてきた。
今日は3回目の続きとして、なんで世界文化遺産に偏ってしまうのかという理由を書いていきたいと思う。
根深い問題としては大手旅行会社にとってインドのプライオリティが低いから、あんまり勉強しないっていうことがあるけどね。
褒めるので実名出すけど、JTBさんはどの地域でも最低限の知識のクオリティを担保するよう徹底してると思うし、
クラツーさんのインド担当者は異様に詳しい気がしている。ただ、会社の方針で詰め込みツアーばかり作らされているけど、担当者の知識と情熱はいつも感じている。
それはそれとして何で北インドゴールデントライアングルツアーが世界文化遺産ばかりになってしまうのかの直接的な理由について書いていく。
唐突だけどインドは社会主義国だったっていうと多くの人に驚かれるんだけどもそーなんだよ。
政治的には東西どちらにも属さなかったけど、ソ連とは仲良しだった。
今のウクライナ情勢でインドがロシアを叩かないのもそのため。
ソ連や東欧、中国などと同様社会主義経済自体が行き詰まりを迎えていき、そして後ろ盾であるソ連の崩壊が現実的になってきた1980年代の終わりにはインドの経済もだいぶヤバいことになっていた。
それで観光で外貨を稼ぐということを考えて目をつけたのは当時世界一イケイケだった日本だった。
1980年代はNHKの『シルクロード』と沢木耕太郎『深夜特急』が当たったこともあって、インドに来る日本人は仏跡巡礼者とヒッピーだけ、というそれまでの状況ではなかったけれど、それでもやっぱり日本人はなかなかインドに観光に来なかった。
忙しい日本人にとって気軽に行ける国じゃなかったというのが大きいと考え、政府観光局ととある大阪のインド専門旅行会社が組んで80年代の終わりに打ち出したのが5日間で周るゴールデントライアングルツアーだった。
これがウケたことで、大手旅行会社が次々と参入してきて、いつの間にか定番になってしまう。売れるからね。
アーグラーとジャイプールの行き先はチャンドバオリが無かったくらいで今とほとんど変わらない。
だけど、デリーの訪問先は今と違っていた。国会議事堂とかガンディーが眠るラージガートなんかが定番で今みたいに世界遺産3本セットではなかった。
それもそのはずで1972年にUNESCOで採択された世界遺産条約に日本は1992年まで入らなかった。日本人にとって世界遺産何それおいしいの❓だった。
それは言い過ぎだけども、日本人にとっては国宝と重要文化財が大事で、世界遺産はそれの海外版みたいなイメージはあったにしてもピンとくるものではなかった。
それがいざ条約に締結して翌1993年に法隆寺、姫路城、白神山地、屋久島が世界遺産になると一気に日本人の関心は世界遺産に向き始めることになる。
そしてこの1993年というのはクトゥブミナールとフマーユーン廟が世界遺産登録された年でもあり、日本人の関心がくっつくわけよ。
定番のもうひとつであるラールキラー(レッドフォート、赤い城)はずーっと後の2007年に世界遺産になるけど元々それと関係なく定番だったので残った。
アーグラーのタージマハール、アーグラー城、ファテープルシークリーは既に世界遺産だったので、それじゃあゴールデントライアングルに行けば世界遺産を5つも観られるんだね✨
ってことで定番が固まることになった。
遡ること1985年にはアーグラーとジャイプールの間にありルートに盛り込んでもおかしくなかったはずのケオラデオ国立公園が自然遺産として登録されているけれど、多忙なスケジュールのなかで都市を基準に組まれたためゴールデントライアングルツアーに含まれることはなかった。
日本人にとって世界遺産はそれまでの国宝、重文の代わりというか進化系みたいなイメージがあることも大きいかもしれない。
だから自然遺産は軽視され、文化遺産が持て囃されるというのは国内旅行でも海外旅行でもあんまり変わらない。
いわゆる名所旧跡ってやつね。
その考え方が踏襲されているのでケオラデオ国立公園は2軍落ちなんだ。
無理矢理詰め込んで小一時間バードウォッチングしたところで満足度が低いってこともあるよね。
白神山地や文化遺産ながらエコツーリズム寄りの石見銀山もそう。奥入瀬渓流や出雲大社みたいにわかりやすくないから、バスツアーで行っても満足度が低い。
こういうところは時間かけて自然を味わう気持ちがないと。
そのゆとりはゴールデントライアングルツアーとは対極だからさ。
ということで、
そもそものインドツアー担当者の勉強不足、
世界遺産ブームのタイミング、
元々の名所旧跡好き、
ゆとりがないのでエコツーリズムと親和性がない、
といったところがゴールデントライアングルツアーが世界文化遺産一辺倒である理由ということになる。
ニーズに沿ってはいるんだから、そこを皮切りにもっともっとインドの遺跡に興味を持ってくれて、次はエローラやカジュラホを見てみたい、って思ってくれたらいいんだけど、
そーはならずインド嫌いを量産し続けるのがゴールデントライアングルツアーというもの。
その理由の大半はこれまでも説明してきたハードスケジュール、それに食事がワンパターンなうえに重い、ということではあるけれども、他にも欠けている点はある。
そのあたりを次回は書いていこうかな。
このシリーズは気まぐれなのであんまり続くとは思わないでね😜
それじゃあバイバイナマステ🧡🤍💚暑寒煮切でしたっ✨