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インドの候補は東の詩人と南の王朝❗️どうなる❓今年の世界遺産委員会

はじめに

こんばんナマステ🧡🤍💚Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

今日は恒例といえる昨夜、 #Clubhouse#インドの衝撃 ( #インド大学 )』で話した講義をテキスト化していくよ‼️

いつものように音声版もあるのでこっちも聴いてね〜(約26分)

んじゃあ早速やっていこ〜✊

世界遺産はどーやって決まるのか

夏の風物詩、 #UNESCO #世界遺産委員会 が今年も近づいてきた。

第45回世界遺産委員会は6月19日から30日まで開催される予定。

世界遺産委員会は #世界遺産 について各国が集まり話し合う場で、世界遺産の価値保全だったり世界遺産委員会そのものの議事運営についてとかも議題に上がるけれども、最大の目玉は何と言っても世界遺産の新規登録審議。

去年なんか「北海道・北東北の縄文遺跡群」の登録審議をわざわざLIVE配信で関係者が固唾を飲んで見守ったというくらいで。

では、世界遺産はどーやって決まるのかを見ていきたい。

世界遺産とは、1972年にUNESCO( #国際連合教育科学文化機関 )総会で採択された #世界遺産条約 に基づき「世界遺産リスト」に記載された「顕著な普遍的価値」をもつ建造物や遺跡、景観、自然のことで、文化遺産、自然遺産、複合遺産がある。

文化遺産はもちろん京都、奈良、あと首里城とか人の造ったもの、

自然遺産は小笠原、屋久島、知床などかけがえのない自然、

複合遺産はその両方の価値を持つもので、残念ながら日本にはない。マチュピチュとかね。

インドでいうと代表的な文化遺産は結局こいつになるんだろうなぁ。

自然遺産は国立公園系がいくつか、

複合遺産としてはカンチェンゾンガ国立公園がある。ヒマラヤの大自然は当然としてシッキム人の文化・信仰とも関わってくるので文化的な価値も認められている。

世界遺産になるにはまずUNESCOの世界遺産条約に批准する必要がある。現在はほぼすべての国が締約国になっているけれど、最初は40ヵ国程度で、特に日本は1992年と先進国のなかでは大幅に批准が遅れた。だから日本は主要国のなかでは世界遺産が少ない。

次に国内の暫定登録リストに物件を登録する。日本はそんなに多くはないけれど、インドは異常に多い。

各国は暫定登録リストの中から物件をUNESCOに推薦する。第45回世界遺産委員会で登録審議される物件はこちら。

推薦された物件のうち文化遺産は #ICOMOS (国際記念物遺跡会議)、自然遺産は #IUCN (国際自然保護連合)という国際NGOが事前審査をしたうえで、登録/情報照会/登録延期/登録不可の4段階をUNESCOに勧告する。複合遺産は両方の審査が必要。

ICOMOS、IUCNの勧告を受け、実際に世界遺産委員会で物件の登録を審議するんだけど、情報照会・登録延期勧告が逆転登録される事例も出ていて、実際昨年の第44回世界遺産委員会ではインド・テランガーナ州のラマッパ寺院がICOMOSの登録延期勧告を覆して逆転登録された。

さて、第45回世界遺産委員会に向けて、インドからはウエストベンガル州の #シャンティニケトン とカルナータカ州にある #ホイサラ朝 の聖なる建造物群の2件の文化遺産候補を推薦している。

なお、日本は新型コロナウイルスにより一昨年予定されていた第44回世界遺産委員会が1年延期になったことを受け(昨年、オンラインで開催)、第45回分の物件推薦を行わなかったため、今年は審議がない。そして来年開催の第46回に向けて佐渡金山を推薦中。

佐渡金山の登録については韓国が反対の意を示していて、どーなるのか何とも言えない状況がある。

シャンティニケトン~タゴールの学び舎~

では第45回世界遺産委員会に向けて、インドが推薦している2つの物件について簡単に紹介していくね。

シャンティニケトンはウエストベンガル州中部、州都コルカタからは約160km北西に離れたボルプルにあり、

詩作『ギタンジャリ』で1913年アジア初のノーベル賞(ノーベル文学賞)を受賞し

インド・バングラデシュ両国の国歌を手掛けたベンガル人ラビンドラナート= #タゴール (1861-1941)が拓いた学園都市で、元はタゴールの父が開いた道場。

アジアで初めてノーベル賞を取ったのがタゴールであることは割と日本人にも知られているけれど、その次もインド人だということを知っている日本人は少ない。湯川秀樹だと思ってるんじゃないかな。

タゴールがシャンティニケトンに私学として1921年に開設した大学は現在は国立タゴール国際大学となり、インドの首相が学長を務める慣習がある。タゴールは岡倉天心などとも親交があったことから日本文化に関心も強くて日本科もある。

これは『インドの衝撃』のリスナーさんから教えていただいたんだけど、インドにおける日本語教育の嚆矢でもあるらしい。

タゴールは『ギタンジャリ』の功績から詩人と紹介されることが多いけれど、実際には音楽や絵画の創作も行うハイパーメディアクリエイター


というか総合芸術家かつ思想家だった。インドの独立運動に繋がる政治的な動きに加担していたこともあり、マハトマ=ガンディーとは盟友。というかマハトマって呼び名はタゴールがつけたと言われている。

特にベンガル地方では英雄とされ、老若男女問わずタゴールの遺した歌が歌い継がれている。というのをこの映画で初めて知った。

シャンティニケトンという呼び名もね、日本語表記では英語綴り #Santiniketan  をそのまま読んだ #サンティニケタン などとの揺れが目立つし、自分もずっとサンティニケタンって呼んでたんだけど、『タゴール・ソングス』の佐々木監督がシャンティニケトンと呼んでいたのでそれに改めた。ベンガル語と日本語の両方がわかる人がそう書いてるんだから従った方がいいと思って。

さて、シャンティニケトンが世界遺産登録されると、ウエストベンガル州では南のスンダルバンス国立公園、

北のダージリン=ヒマラヤ鉄道という2つの世界遺産の中間にあたり、

「インドの昭和レトロ」州都コルカタ、

ダージリンヒマラヤ鉄道の終点で避暑地・紅茶の生産地として名高いダージリン、

さらにその先のシッキム州などのチベット文化圏も併せた一大観光ルートが形成される。

自然と文化の両方が多様だし、シャンティニケトンやダージリンの植村直己など日本との関係性もあるから日本人にも絶対人気が出る。

あとはコルカタ直行便が復活すればねー。日本から6時間台になってインドは遠いってイメージ自体が覆されるんだけれど。理想は那覇ーコルカタ線。これができれば宮古・八重山と北東7州を除けば日本とインドのどこからどこへでも無駄なく移動できる。

ホイサラ朝〜分断される現代インドへの問いかけ

「ホイサラ朝の聖なる建造物群」というのはまだ正式な和訳ではなくて、「Sacred Ensembles of the #Hoysala 」の仮訳なんだけれども、ホイサラ朝の首都だったカルナータカ州中南部 #ベールール と

 #ドーラサムドラ (現 #ハレービードゥ )に残るホイサラ朝の遺跡が新規世界遺産にノミネートされてるということ。

ホイサラ朝は1022-1346年に今のカルナータカ州とほぼ重なる版図を拡げていたヒンドゥー王朝だけど、ジャイナ教を保護した。今でもカルナータカ州に結構ジャイナ教徒が多いことに繋がっている。

ちなみに現在のカルナータカ州の公用語はカンナダ語だけど、ホイサラ朝もカンナダ語の王朝だった。

ホイサラ朝の寺院は当時この地で対立を繰り返していたヒンドゥー教のシヴァ派とヴィシュヌ派、それにジャイナ教の融和、また南北インドの建築様式の融合が図られている。

日本の神道でも天津神(伊勢系)と国津神(出雲系)の争いって実はあるんだけど、今となってはそんなに知られていない。よく多神教は一神教と違って喧嘩しない、とか言う人いるけど実に薄っぺらい主張だから相手にしない方がいいよ。

さて、ベールール・ハレービードゥは成田からの直行便も飛ぶ州都ベンガルールから約3.5時間、宮殿が有名なマイソールから約2時間とアクセスは比較的良い。

ベンガルールというのもベンガルと紛らわしいので、自分はずっと旧称のバンガロールと呼んできたのだけど、JALが成田直行便を飛ばした際に「ベンガルール」を採用したので以降はベンガルールと呼ぶようにしている。

現在もベンガルールから州北部のハンピなどと結ぶ観光のカルナータカ州のゴールデンルートにベールール・ハレービードゥが含まれているけれど、世界遺産になればよりベンガルール周辺の観光需要が伸びる。


さて、以前は各国がいくらでも推薦することができたんだけど、2020年から文化遺産・自然遺産を問わず審議対象は一国一件に限られるようになって全体審議数も35件までとして登録数の少ない国を優先することになった。

だから世界で6番目に世界遺産登録数の多いインドは、仮に35件以上の推薦があった場合は弾かれる可能性が高い。

では今回シャンティニケトンとホイサラ朝の2件を推薦しているのはおかしいじゃないか、というかとになるんだけども、そこは別にインドもルールはわかっていて今回はシャンティニケトンを優先することを表明している。

なので、シャンティニケトンには昨年の秋にはICOMOSの視察も来ていて、順調にいけば今年新しい世界遺産になる。

ホイサラ朝は来年の第46回世界遺産委員会へスライドかな。佐渡金山と同期ということになりそう。

タゴールの哀しみ

ってなわけでいよいよ第45回世界遺産委員会が19日から始まるよー❣️

と言いたいんだけども、実はやりませーーーーーーーーーーん😱😱😱

というのはね、第45回世界遺産委員会はロシア🇷🇺の古都でタタール文化の中心地である #カザン での開催が予定されていたんだけど、

ウクライナ🇺🇦侵攻により各国から開催地の変更やボイコットを求める声が相次いだため無期限延期になった😢

これまでもSARSや騒乱を理由に開催地を変更する事例はあったけれど、それは開催国=議長国の同意があってのこと。

第45回世界遺産委員会の議長国はもちろんロシアで、予定通りやる気満々だっまでもちろん同意しなかった。

委員国の間でも意見が割れたこともあってUNESCOは無期限延期というかたちで棚上げにした。

ウクライナ侵攻は長期化していて、その当事者が国連安保理の常任理事国であることからしても国際社会から明確なペナルティを与えられないでいる状況。

こーゆーこと言う人はいるけれども。

このままいくとこの戦争が終わるまで当面世界遺産委員会が開かれないことになる。

インドのような自国で遺跡や自然を保全する能力の高い国はまだいい。せいぜい観光客の呼び込みが遅れるくらいだしさ。

でもね、世界には多くの存続が危ぶまれる遺跡や自然がいくらでもあるんだよ。

戦火のウクライナは7件の世界遺産が登録されているし、

今年1月に大規模な海底火山の噴火が起きたトンガは世界遺産登録はないけれど2件の暫定登録リスト入り物件がある。灰で埋もれてないか心配。

話し合いが遅れれば遅れるほど、物件の価値を保全・再生していくことは難しくなっていくよね。

臨時委員会が開かれることもあって、コロナ禍ではオンラインの開催が行われた。だけども、議長国であるロシアの同意なしに開くのは難しい。

危機遺産の保護など緊急性のあるものだけでも話し合う必要があるということをロシアと合意をしなければいけないと自分は考えている。

いま最も世界遺産をぶっ壊してるのはどの国なのか、とか言い出すことこそ棚上げしなきゃいけないでしょ。

国を超えて守るべき価値のある遺産を国際的に保護していく、という枠組みの前提には少なくともマクロ的には世界が平和であることが絶対。

今その枠組みは機能不全を起こしている。

諸民族の融和を願ったタゴール、諸宗教の融和を図ったホイサラ朝、インドが推薦した2つの物件の意味するところは偶然か必然か今の世界情勢への皮肉になってしまっている。

タゴールは今頃ガンディーと一緒に泣いてるんじゃないのかな。

しかしそれは我々が取り戻さなければいけない価値でもあり、2つの物件が世界遺産に登録されることで、戦乱と感染症という災厄を乗り越えた先の世界の象徴になることを願う。

おわりに

世界遺産委員会の無期限延期、案外知られてないからこういうサプライズを仕掛けてみた。

自分も過去に報じてるんだけどなぁ。

結局、日本からの推薦物件が今回ないので注目度が極めて低いんだよね。

因みに昨年の第44回世界遺産委員会では、日本語のニュースになったのは概ね5つのトピックで、

新規登録された北海道・北東北の縄文遺跡と奄美・沖縄、それに知床のトド駆除、軍艦島の強制労働展示の不足、そしてリバプール🇬🇧の登録抹消だった。

登録抹消は流石に外国のことでも注目を集めたけど、あとは全部日本のことだけ。

そんなもんなんだよねー。

もしかしたら世界遺産の存在そのものが覆る可能性だってある状況なんだから、もう少し日本語の報道も増えてほしい。

それじゃあバイバイナマステ🧡🤍💚暑寒煮切でしたっ✨







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