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日本のトロリーバスは何故滅びるのか

こんばんナマステ❤️Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ✨

昨日に引き続いての立山黒部アルペンルートネタということで、ガルべと比較したら個人的にはそこまで名残り惜しくもないのだけど、一応乗り納めしてきた日本最後のトロリーバスについて。

名残り惜しくない理由としては隣国中国🇨🇳・ロシア🇷🇺をはじめ世界中で走ってるわけで、別に日本にないから何なんだって。

ぶっちゃけTK(旅行業界における立山黒部アルペンルートの略称)行くより、北京の方が行くの楽じゃないかとも思うし。それは流石に無いか💦

広島のスカイレールの方がずーっと希少価値があって、無くなったことが悲しくてしょうがない。

営業運転は無くしたとしても三菱系の博物館などで残せないのかよ。

日本にしかない乗り物ってあとはDMV(デュアルモードヴィークル)、須磨のカーレーターかな。

それだけにZippar(自走型ロープウェイ≒ロープモノレール)や上野動物園のエコライドには期待がかかる。

そーいったものと比較したらトロリーバスなんて世界的に見たらまたおまでしかないよ。

逆に言ってしまうと、世界的には珍しくないのになんで日本では滅びてしまうのか。そんな話をしていきたい。

一応大前提を書いておくとTKには元々自然環境保護の観点からふたつのトロリーバスが走っていた。

トロリーバスっていうのは電車と同じように架線から電気をもらって走るバスのことね。日本語では無軌条電車ともいう。法律的には鉄道なんだな。

TKにおいては立山を貫いて室堂と大観峰を結ぶ立山トンネルトロリーバス、扇沢と黒部ダムを結ぶ関電トンネルトロリーバスのふたつのトロリーバスが走っていたけれど、

関電トンネルは2018年に廃止されてEVバスに代わり、以降は立山トンネルが日本唯一のトロリーバスになったけど、これも今シーズンをもって廃止になり、来シーズンからはEVバスになる。

なお立山トンネルは富山地方鉄道系の立山黒部貫光、関電トンネルは関西電力の直営となっている。

トロリーバスをやめる理由は設備更新にあたって架線コストが高いから。日本の他にないからどーしてもコストが嵩んでしまう。

EVは技術が進んで、10分間の急速充電が可能になった。

関電トンネルに関していえば、関電直営なのに電力会社のエリア制が杓子定規で適用されて中部電力から電気を買っていたのも嫌われた可能性がある。どーせ電気買うなら蓄電しとこってさ。

なおトロリーバスは制度的に鉄道になるということから、室堂は日本一標高の高い鉄道駅でもあったけど、今年をもって返上することになる。

ところで関電トンネルは1964年開業という古い歴史を持っているけど、立山トンネルは1996年開業とそんなに昔でもない。

TK以外で最後に廃止されたのは横浜の1972年。したがってそこから1996年まで四半世紀近く関電トンネルが日本唯一だった。

それにしてもTK以外では相当昔にトロリーバスがオワコンになってしまったという現実がある。そこには日本の交通史が関係している。

トロリーバスはドイツ発祥で1900年代のうちにフランスやアメリカでも開業している。

同じ頃には内燃機関によるバスも普及し始めてきていたけれど、その当時はまだ1880年代から普及していた路面電車のノウハウがあり架線集電の方が効率的だった。

トロリーバスの方が路面電車より導入コストが安いのと、ゴムタイヤのため急勾配に強いというメリットがあり、欧米や共産圏で波及していく。

日本初の路面電車は1895年の京都でそんなに遅くはないけれど、初のトロリーバスとなると昭和まで待たなければいけなかった。

日本の都市交通は路面電車が主で、少しずつ内燃バスが増えてくるといったところ。戦前に定着したのは京都と名古屋だけ。

だけど戦後になって路面電車より導入コストが安く、内燃バスより大型化がしやすいトロリーバスに注目が集まり、前述の横浜のほか東京・川崎・大阪でも開業した。

だけど結局これらは1972年までにすべて姿を消すことになる。

その理由はふたつに大別できる。トロリーバスそのものの欠点と日本ならではの事情。

前者は道路の交差部分で右折車とか入ってくると、内燃バスのように自由に避けれないということ。

路面電車よりは可動域大きいんだけど、大きくズレると架線との接触が外れてしまい動けなくなってしまう。

そのため交差点など接触が外れやすいところでは減速を余儀なくされ、これが交通渋滞を引き起こす。

そのため自家用車が普及してくればくるほど(モーターリゼイション)、トロリーバスはどんどん肩身が狭くなってくる。

このような事情に加えて日本の場合はトロリーバスの導入が遅く、そして路線網も路面電車と内燃バスの間に阻まれるかたちで貧弱であり、規模の経済が働かず部品コストが高くついたのも大きな理由。

路面電車もモーターリゼイションに負けて多くが廃止になったけれど、それでもかなりしぶとく残った。

路面電車が怒濤の如く廃止された1960〜70年代を乗り切った以降で全面的に廃止されたのは岐阜くらいじゃないかな。

その理由はなんといっても規模の経済がまだまだ働いているからなんだよね。

そして生き残ったところは欧米のLRTの流れを受けて大なり小なりブラッシュアップをはかり、宇都宮が新設を果たしたことは記憶に新しい。

諸外国のトロリーバスを見ていてもUK、ニュージーランド、シンガプーラといった島国で全廃になっているのはそーゆーことなのだろう。

因みにインドはエゲレス様が敷いてくれなかったからトロリーバスが存在しない😝

欧州では環境意識の高まりから路線の新設もあったりするけど、それだって結局規模の経済が働いてるから。

ただしEVの技術が進んだことで、トロリーバスの欠点のひとつである交差道路への弱さは克服されつつある。

交差点だけ架線を外してしまえばいいんだからさ。

実は昔から内燃機関を搭載したバイモードのトロリーバスは存在していて、都心では架線から電気をもらい、郊外ではエンジンで走るというようなことをしていた。

実は東京がそーで、電車と交差するところで架線を交差させられないために踏切だけエンジンを使った。

だけどこれ2種類の動力を使うからコスト嵩むし、煙吐いたら環境保護にならない。

現代では交差を避けるためや景観保護の観点から逆に都心で架線を外してEVで走るというようなことをやっている。

そんならぜーんぶEVでよくね❓と思うかもだけど違うんだなぁ。

EVは充電が必要。通常は終点での折り返しでそれをやるので、折り返しに時間がかかる。

トロリーバスが部分的に架線レスのEV走行になるのなら、架線走行中に充電できるためその心配はいらない。

TKにおいてはトロリーバスの置き換えとしてEVが出てきたけれど、本来はトロリーバスとEVはお互いを補える関係にある。

そこを踏まえたうえで、日本でトロリーバスの復活があるとしたらここだ、という路線を挙げる。

それは茨城県の土浦ーつくば間。

都市間需要は多く、「土浦の首都高」と呼ばれる土浦ニューウェイや、花室トンネルは将来の新交通システム導入を考慮した造りになっている。

新交通システムはお台場のゆりかもめや神戸のポートライナーなどのゴムタイヤで走る列車だけど、今からそれを建設するコストは正直いって払えない。

だけどEVトロリーバスなら可能性はあるんじゃないのかと。

土浦ニューウェイ及び花室トンネルを含む花室交差点ーつくば駅間は自家用車を締め出し、交差点もないので架線を張る。

土浦ニューウェイ出口から花室交差点までは4車線の一般道路を共用し架線は張らない。

6車線になる花室交差点からは内側2車線をトロリーバス専用にしてそのまま花室トンネルに突っ込む。ここはまた架線を張る。

つくば駅隣接のつくばセンターはちょっとしたバスターミナルになっているけれど、花室トンネルからの乗り入れに適した構造ではないため、トロリーバス用のバス停をつくば駅及びつくばセンターから乗り換えしやすい位置に置く。

ここから筑波大学までは架線レスでEVで走行すればいい。

朝夕はすべてを筑波大学まで走らせるけれど、日中は筑波大学附属病院折り返しが中心にするのが妥当か。

土浦からつくばまでは現状30分弱だけど、20分弱かつほぼ定時で走れればかなり便利。

現在茨城県ではつくばエクスプレスをつくばから土浦まで延伸することを掲げているけども、順番的に東京駅に乗り入れたその後になることを鑑みても何十年先になるかわからない。

トロリーバスならば工期は数ヶ月じゃないかな。車両を揃える方が時間かかりそう。

これを内燃バスでなくトロリーバスにする理由は花室トンネル内にある吾妻バス停の排ガス問題。

折角将来は新交通システムの駅にできる設計で造られた吾妻バス停がほとんど使われていないのはそーゆーことだろーと。

ここだけだと規模の経済が働かないので、同時期にいくつかをまとめて開業させる必要がある。

都心直下を貫通する地下道が開通した秋田、県庁・金沢港に向かって将来の新交通システム導入を見込んだ道路と都心部がJRの線路に阻まれて直結できないでいる金沢あたりが候補になりそう。

近年日本でも路面電車が見直されてきているのは旧態依然ではあっても存続しているインフラがあったからであって、

それすらも無くなってしまう日本でトロリーバスが復活する可能性はだいぶ低い。

ただ、日本唯一のガイドウェイバスである名古屋のゆとりーとラインが法律上無軌条電車として残り続けることは制度上まだ救いがある。

ってゆーか、土浦ニューウェイと花室トンネルにガイドウェイ付ける方が現実的だよね。

ということでガイドウェイバスは今後も増える可能性があるけれど(沖縄の米軍基地跡に向いてると思う)、ホンマもんのトロリーバスが日本に戻ってくる可能性はほぼないだろう。

さっきも書いたように失われた乗り物や日本にはない乗り物を集めた博物館とかあってもいいと思うんだけどなぁ。

アーカイヴを残しておくことは将来の研究にとっても有用であり、昔高知にあったロープモノレールのアーカイヴがあれば、事実上そのリバイバルであるZipparの研究ももっと進むだろうし。

UKはトロリーバスを全廃しているけれど博物館で残しているから、大陸ヨーロッパの影響で将来復活が取り沙汰されてもすぐに導入できる。

関西電力が土地のある扇沢にトロリーバス博物館を建てるとかはやれそうだし、トロリーバス廃止以後もこんなサイトを残してるくらいだから

やるような気もするけど、観光地よりは都市でやってほしいなと思う。

大阪市内の関西電力の用地を上手く使うのがいいのかな。

といったところで、名残り惜しくなった人は是非あの2ヶ月弱の間にTKへ行ってほしいし、その時はガルべにも乗ってみてほしい。

それじゃあバイバイナマステ❤️暑寒煮切でしたっ✨


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