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プロテストレターフロムキャナダ😱
こんばんなまらステ🤍Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ⭐️
アルツァフ(ナゴルノ=カラバフ)🇦🇿のことで霞んじゃってるんだけど、いまインドとキャナダがめっちゃモメてるの知ってる❓
ここまで少なくとも欧米からはモテモテ💕でやってこれたインドとしては結構ヤバい事態だと思うので、
ゆっくりじゃなく早口で解説していくね。
ハヤクチシテイッテネ…
6月にキャナダのブリティッシュコロンビア州ヴァンクーヴァー🇨🇦の郊外にあるグルドワーラー(シク教寺院)でスィク教の指導者が射殺されたことに対して、
キャナダのトルドー首相が先一昨日、議会でインド政府の関与の疑いを示唆、インド政府としてはふざけんな、無関係だ💢って抗議してる状況。
印加両国はお互いに外交官を1人ずつペルソナノングラータ(外交官の国外追放)して、インド外務省から「キャナダは治安が悪化してるから気をつけて」という注意喚起まで出た。
すぐに断交、戦争というような話ではないけれど、一塁にランナーを出してしまった感はある。
これは日本も含めて両国との同盟を強化してきた国にとっても頭痛の種。
一体なんなんだ、この事件😱
こんな時、安倍晋三前日印協会会長がいたら😭
では、スィク教の指導者がなんで殺されたのか、そしてどーしてそれにインド政府が関与している可能性があると疑われるのか、そのへんをサクッと書いていきたい。
スィク教と言われてピンと来るだろーか。
男性がみんなターバンを巻いてる宗教といえばなんとなくわかるかな。
基本的にはインドのパンジャーブ州を中心にした宗教だけど、世界中にコミュニティがあり、インド人といえばターバンというイメージすら持たれている。
信徒数は2,400万人で仏教に次いで世界5位と言われるけれど、道教や神道の方が多いと思うな。世界5位と言ってる奴は東アジアのことを勉強しやがれってんだ。
相対的にどーのこーのよりも、世界的には無視できない数がいつつも、インドではキリスト教を下回る少数派、という状況をひとまず押さえておきたい。
1500年前後に、今のインドとパキスタン🇵🇰に跨がるパンジャーブ地方に生きたグールーナーナクという人が開祖である宗教、という解説だと浅くて、
本当はスーフィズム(イスラーム神秘主義)を知らなきゃいけない。
それを超簡単に説明すると、
ムハンマドは釈迦やイエスとは違い、単なる宗教者ではなく政治・軍事指導者であり、商人でもあったことから、イスラームは単なる宗教というより政治経済をひっくるめた社会システムというかたちで機能した。
つまりイスラーム世界は常に政治的に動くのだけど、それを嫌い「アッラーのことだけ考えようよ、イスラームは宗教であるべきなんだよ」って人達がスーフィー(神秘主義者)と呼ばれ、常にイスラーム世界の端っこに居続けた。
北インドにイスラームの波がくれば、当然スーフィー達もそこに来る。
するとスーフィズムとヒンドゥー教が不思議と融合していき、イスラームの影響を受けたヒンドゥー教改革が試行されていくようになる。
ナーナクはそんな思想的潮流をもとに、イスラームとヒンドゥーの独自の止揚としてスィク教を立ち上げ、ナーナクの地元であるパンジャーブを中心に教えが広まっていった。
次第に教団として大きくなっていくと、時の北インド・パキスタンの支配者であるムガール帝国にとっても無視できない存在になっていった。
第3代皇帝アクバルもまた、スーフィズムによるイスラームとヒンドゥー教の融和を信奉しており、スィク教に対しても暖かかったけれど、アクバルの死後、スィク教はムガール帝国の目の敵にされるようになる。
それは政治との関わりを嫌って宗教にのみ生きようとしたスーフィズムから生まれたはずのスィク教が皮肉にも政治主体になった瞬間。
そして1801年、彼らはラホール🇵🇰を首府として自分達の国を立ち上げる。
日本ではスィク王国と呼ばれるけど、英語だとSikh Empireなのでスィク帝国の方がいいんだろーか。
既に弱体化していたムガール帝国から、総本山のハリマンディルサーヒブ(黄金寺院)のあるアムリトサル🇮🇳を奪還したことにはじめ、パキスタンを中心に北インドからアフガン🇦🇫に勢力が拡がり、
新たなインド亜大陸の支配者である英国🇬🇧にとって最後の抵抗勢力になるも、1846年のラホール条約によって英国に下り、一度リベンジを仕掛けるもボコされて1849年には英領に完全併合される。
被支配者になったスィク教徒達だけど、ここからがしぶとかった。
1857年、被支配者側の民衆や旧権力者達が英国に蜂起するセポイの乱が起きると、彼らは英国に協力したことで、ひと頃流行った言い方だと「上級市民」イギリス人と「下級市民」インド人の間の「中級市民」になる。
彼らが西洋社会のなかで世界を股にかける商業ネットワークを築き、インド人といえばターバンのイメージになったのは実はこのことに起因している。
だから日本の戦前、インドにとっての英領時代は日本一の貿易港だった神戸にスィク教徒のコミュニティがある。
そして1940年代、インドとパキスタンの分離独立が決定的になると、彼らもまたパンジャーブにスィク教徒だけの国カーリースターンをつくりたいと訴える。
「清浄の国」パーキースターンに対して、「純粋の国」みたいな意味。
しかし彼らの訴えは却られた。
がっカーリースターン😮💨
1947年、いざパンジャーブがインドとパキスタンに分割されることになり、「ムスリムのムスリムによるムスリムのための国」であるパキスタンよりは、諸宗教の平等を掲げるインドの方がマシと考えてインド入りを選択する。
この時、パキスタン側に住んでいたスィク教徒やヒンドゥー教徒はパキスタンから出て行け💢ってことになり、多くの人が生まれ故郷を失い、そしてこの民族大移動に際しては多くの血が流れた。
そして新生インドはスィク教徒にとって決して居心地のいい場所ではなかった。
前述のように英領時代は優遇された立場にあり、独自の選挙をやれるなど特権があったけれどもそれが無くなってしまう。
当初のパンジャーブ州は現在のパンジャーブ州とハリヤーナー州、それに両州の州都を兼ねるチャンディガール連邦直轄領で構成されていたパンジャーブ州において、スィク教徒はマジョリティではなく意見が通らない。
かつてのスィク帝国の所領であるカシュミールではムスリムに配慮した州運営が2019年までなされていたことへの嫉妬もあっただろう。
経済的には、パキスタンと衝突した時に工業地帯を置いておくと危ないということで、パンジャーブは農業州と定められ、前述のようにパキスタン側から追われてきた人達にその仕事が充てがわれるものの、彼らは今日に至るまで貧しい。
ただ、夢野久作の息子の杉山龍丸がパンジャーブを緑化して、今日におけるインドの穀倉地帯と呼ばれるまでになったのも事実。
『VIVANT』の主要人物ノゴーン=ベキ(緑の魔術師)のモデルは「緑の父」と呼ばれた杉山龍丸ではないかと思っているけどどうかな。
スィク教徒といえば、世界中で商売している金持ち集団で、グルドワーラーへ行けば彼らの寄付でタダ飯にありつける(ランガー)というイメージがありつつ、
時折、ターバンを纏った農民が貧困を訴えるデモをしている報道を見かける二重性はこんなところにある。
このようなことでスィク教徒達は世俗国家インドのやり方に不満を持つようになり、
1950年代、ひとまずインド各地で言語ごとの州分けに再編する運動が起きていたところに加わって、パンジャーブ語の州をつくるよう訴える。
スィク教はパンジャーブ語による宗教だけれど、別にパンジャーブ語はスィク教徒の言語というわけでもなく、ヒンドゥー教徒もムスリムも使う単純に地域の言語。
だけど、パンジャーブ語だけの州をつくったらスィク教徒が過半数になるのは見え見えで、宗教による州をつくりたくなかった連邦政府は当初難色を示すも、
1966年にヒンディー語地域をハリヤーナー州として分割し、州都チャンディガールは両州共通の州都という立場から連邦直轄領となり両州どちらにも属さなくなる。
ということでスィク教徒過半数の州ができれば声も大きくなってくる。一筋縄ではいかず、国政与党に選挙で敗れるときもあったけれど、1970年代には急進的な声が強まり、カーリースターンの分離独立運動が激しくなってくる。
また、欧米のスィク教徒もカーリースターン運動に加わった。
インド弱体化のチャンスとしてパキスタンの関与もあったっぽいけど、元々が水と油なのでここの連携はうまくいかなかったみたい。
1980年代にはスィク教徒によるテロが頻発、1983年にパンジャーブ州は連邦直轄領に降格、翌84年は総本山に立て籠った急進派指導者を軍隊が殺害、逆にインディラ=ガーンディー首相も殺される。
1985年には新東京国際空港(現成田国際空港)で手荷物の爆破テロが起きているので他人事ではないし、ちなみにキャナディアン航空(現エアキャナダ)🇨🇦だったのでなんというか因縁を覚える。
1990年代に入りテロや運動は鎮静化したものの、別に終わったわけではないのよね、この話。
今年に入って突如この動きが蠢いてきている。
理由はフローライトの採掘権、ではないと思うけど、可能性があると思うものを書いてみる。
多分ひとつではなく複合的なものだし、的外れなものも多々あるだろうけど、あくまで可能性を挙げているだけなのでそこは許して。
まずはモディ政権への不満。
モディ政権は貧困層の期待を背負って、長きに渡る国民会議(コングレス)政権の閉塞感を打ち破るべく出てきたのに、前述の農民達が全然豊かになっていないということ。
2020年に農業市場自由化を目論んで新農業関連法を成立させようとしたことにスィク教徒の農民がデリーで大規模なデモを行い、廃案に追い込んだ。
これに加えて、イスラームと比較するとスィク教徒を弾圧してるようには見えないにしても、モディ政権のヒンドゥー教、ヒンディー語至上主義は脅威に感じているのかもしれない。
モディ首相の前任者がスィク教徒のマンモハン=シン首相だったという印象もあるだろうし、モディ政権はパンジャーブに隣接し、かつ昔はスィク帝国の領土だったジャンムー=カシュミール州を連邦直轄領に格下げさせてしまい、この流れが次はパンジャーブに来るんじゃないかって疑念もあるか。
ここまで抽象的な話をしてきたけど、ちょっと具体的な話。
パンジャーブ州はインダス川の支流にあたるサトレジ川の水を確保しているのに対して、ハリヤーナー州は水不足。
そこでチャンディガール近くで近接しているサトレジ川とヤムナー川(ガンガーの支流、デリーやタージマハール名前を流れている川)を繋げる、サトレジ=ヤムナーリンクキャナルという運河をもう何十年も掘ろうとしているんだけど、
パンジャーブ州のなかんずくカーリースターン運動家達がこれを止めている。
モディ政権はこの問題の早期解決に動いていて、連邦水資源相が今年に入って両州首相を呼んで話し合わせたりもしてるけれど、
パンジャーブ州的には命の水を一滴たりともくれてやるか、という怒りに満ちている。
世界中の紛争は水か地下資源が理由であることが多いのよね。
こういうことを理解してない奴らが、リニアという国益のために大井川の水なんて目をつぶれ、とかほざくわけ。
反モディ政権以外の理由として、パキスタン、さらに背後にいる中国🇨🇳が絡んでる可能性がある。
2019年にパキスタン側にあるグールーナーナクの墓廟のあるカルタルプールに、インド側のスィク教徒が巡礼に行けるようになった。
これ自体はインド・パキスタン両政府の長年の交渉の末に実現した画期的な合意であり、モディ首相がカーン前首相に感謝のメッセージを送ったほどの美談なんだけど、
この時パキスタンの陸軍参謀長とカーリースターン運動家が握手しているシーンが物議を醸した。
あの当時、両国がカシュミールを巡ってバチバチやってたし、パキスタンの行動は中国の意向でもある。
カーリースターン〜パキスタン〜中国というラインはありそーな気がする。
こーした様々な流れがパンデミックでそれどころじゃなかったタイミングを脱し、また来年はインドの総選挙があり、モディ首相率いるBJP(インド人民党、いやバーラト人民党と訳されるべきかな)の圧勝が予測されるものの、だからこそテロリズムが起きやすいともいえる。
そして今年3月19日、ロンドン🇬🇧の在英インド高等弁務官事務所とサンフランシスコ🇺🇸のインド総領事館がスィク教徒に破壊される事件が起きた。
以後、インド政府のカーリースターン運動指導者達への弾圧は厳しくなっている。
英米はインドに対してはあまり強く言わないけど、他先進国に先駆けた性的マイノリティ保護や大麻合法化をはじめ我が道をいくトルドー首相にとっては気にならないらしい。
中国に対しても歯に衣を着せず、ゼレンスキー🇺🇦ともすぐに会談し、広島G7サミットでは性的マイノリティを保護しようとしないイタリアのメローニ首相🇮🇹とバトった。安倍日印協会会長(当時)の国葬儀にもG7首脳で唯一出席の意向を示す(ハリケーン被災対応で中止)など、何かに群れたりせず常に自分の頭で考えて行動する人。
そして何よりも長らく閣僚にスィク教徒を迎えている。
盤石だと思われていたモディ首相にとって強力なライバルが現れたかもしれない。
本来であればインドとキャナダはバトるような関係性にはないし、
スィク教徒の閣僚がいるからこそ、カーリースターン問題に対しては有効な智慧を一緒に考えるパートナーであるべき。
モディ政権は従前から民衆対策でイスラームなどを弾圧し、国外からの批判を浴びると引っ込め、のサイクルを繰り返している。
今は選挙が近いから前者のスタンスを強めているけれども、こんなことやってたら選挙までの間にテロが起きかねない。
6月にオディーシャ州で起きた列車事故に関しても、政府はテロを疑っている。
テロなのかどうかもわかんないし、カーリースターン運動家によるものなのかどーかもわかんないけれど、テロをやられるような政治をしてることをもう少し考えた方がいいんじゃないの。
カーリースターンだけでなく、カシュミール関連を主にイスラームテロの脅威もあれば、マニプルやナガランドも混乱してるし、あるいはタミルナードゥでもヒンディー語押しつけ策に対して相当反感高まってるわけで。
誰もモディ政権にリベラルなんて求めてはいないけれど、もう少しバランス取れって話。
その意味ではいいライバルが出てきてくれたのかな、って。
それじゃあバイバイなまらステ🤍厚沢部煮切でしたっ✨