JATA経営フォーラム2023インプット②倫理と利益、攻防の旅
こんばんナマステ💜Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️
今日も昨日に引き続き、
JATA経営フォーラム2023のインプットをやっていくよ。
基本的に3月31日をもってJATA経営フォーラム2023の動画公開は終わってるんだけど、今日これから書いていくセミナーA.「具体的事例から学ぶコンプライアンス」だけはなぜか現在でも視聴できるようになっている。
コンプライアンスの話なので、全国の旅行業者に対してまだまだ知らしめたいのかな。
講師は御堂筋法律事務所弁護士 谷口和寛氏。
この方の経歴を見ていくと、
弁護士法人に入った2年後に国土交通省観光庁観光産業課勤務とあり、観光庁出向以降観光関連法務の専門家としてキャリアを歩んできた様子。
2018年11月以降は一般社団法人日本旅行業協会苦情調停委員会調停委員、つまりJATAにも関わるようになった。
JATAのお抱え弁護士というと三浦雅生弁護士が有名だけどね。何か旅行業法、標準旅行業約款その他の解釈に困った時資料を当たっていると大抵三浦弁護士の論稿が見つかる。
三浦弁護士は1975年に司法試験合格を果たしたベテランだから、今後を考えてまだ30代のホープとして谷口弁護士にも期待をかけているんだろうな。
ということで、早速谷口弁護士のセミナーを見ていこうか。
谷口「まずは自己紹介から。弁護士12年目だが、観光庁観光産業課に出向して旅行業界の行政に携わっていたのが特徴。それ以来旅行業界と一緒に仕事をする機会が多かった。
コンプライアンスの本来の意味は法令遵守だが、近年持つ意味も変わり企業に求められるのは法令に加え、社会倫理や社会規範を遵守し、社会やステークホルダーの期待に応えることが求められる。近時ではさらにインテグリティ経営として「誠実さ」「高潔さ」「真摯さ」が経営に求められるようになってきている。
コンプライアンス違反のリスクは社内調査、マスコミ対応、監督官庁対応、捜査機関対応、損害賠償請求への対応など各種対応を緊急に行う必要が生じ、企業が即座に危機的状況に陥る。不祥事の隠蔽行為はそれ自体がコンプライアンス違反であり、結果として企業のリスク・損害を拡大させる。
想定される法的責任・リスクの類型として、
企業の民事法上の責任(契約の相手方に対する債務不履行責任、被害者に対する不法行為責任、銀行から債務の即時返済を求められる)、役員の会社法上の責任(役員等の会社に対する任務懈怠責任、役員等の第三者に対する損害賠償責任)、従業員の責任(被害者に対する不法行為責任、会社に対する損害賠償責任、会社による懲戒処分)、刑事上の責任(企業、役員、従業員)、行政法上の責任(例えば旅行業法に基づく指導、業務改善命令、業務停止命令)、レピュテーションリスク・信用リスク(例えばSNSに一気に悪評が回る)、その他(役員引責辞任、報酬返納)といったリスクが発生してしまう。
昨年のセミナーではそういった体制構築として行動規範、経営者のトップメッセージ、内部通報窓口など一般的な見地から話したが、今日は具体的な事例を元に話したい。
まず、雇用調整助成金等の不正受給について。
コロナ禍において雇用調整助成金、GoToトラベルなどの補助金・給付金の不正受給が社会問題化。報道によると雇用調整助成金については2022年9月末までに920件、総額135億円程度の不正受給が発生している。
雇用調整助成金は当然として、GoToについても民泊事業者の不正受給で逮捕者が出ている。
不正受給の発生原因としては、コロナ禍における経営不振、企業の業績重視の姿勢、助成金の申請に対する内部統制システムの瑕疵。不正受給について厚労省への情報提供が増加している。不正受給に対する報道を見て従業員からの告発(従業員が内部告発せず行政に直接通報しており、企業の内部統制能力の欠如)、事業主からの自主返納の動きが起きている。
厚労省は雇用調整助成金の不正受給に対して厳格化を掲げており、事業所名等の積極的な公表、予告なしの現地調査、ペナルティつきの返還請求、5年間の不支給措置、捜査機関との連携強化といった対応を取っている。
こういったリスクを避けるべく、ガヴァナンスを強化しなければいけない。
従業員による不正行為の事例。
上場旅行会社において営業担当の従業員が予算を達成するために架空の金券手配を行い、その支払いのために更に架空の金券を仕入れるという自転車操業を繰り返して財務諸表が膨張。
第三者委員会において発生原因として統括マネージャーとしての見栄に始まり、予約登録システムにおける不正処理の容易性、金券取得における承認・確認の不在、予約登録システムと請求書発行システムが紐づいていない、予約記録と顧客からの入金情報の関係は営業担当者の報告のみに依拠、各営業担当者が予約システムの登録から請求書発行まで第三者の目に触れることなく1人で担当することができたことが挙げられている。本人の自己重圧と監視システムの不備。
これに対して会社が採った再発防止策は、予約の実在性の確保、金券取得取引の実在性の確保、請求書の正確性の確保、債権の入金消込の正確性の確保、営業担当者と予約システム入力担当者の分離。
この事案には経営陣の関与が全くなく、従業員に不正行為を実施させない業務プロセス・組織体制・監査体制の構築が必要。規模が大きい会社では性悪説も必要という教訓。聴いていただいている方の中でも自社のそこは甘いと感じるところがあれば対策を練ってほしい。
本件の処分について公表はされていないが、不正関与者は社内規程に基づく処分が下り、関係役員は月額役員報酬を自主返納したと聞いている。また第三者委員会を設置したり、IR開示など負担が大きかったのだろうと思う。
次の事例として旅行業というわけではないが、東芝の不正会計事案について。
ご存知のことだと思うが、複数のカンパニーにおいて不適切な会計処理が行われていた。平成20年度から28年度までの税引前利益の累計修正額は▲2,248億円。
こちらは経営トップを含めた組織的関与がある。当期利益至上主義と目標必達へのプレッシャーとして予算の達成が厳しくなると「チャレンジ」という言葉が使われていたり、上司に逆らえない企業風土、経営者の適切な会計処理に向けての意識又は知識の欠如、内部統制が機能しない、人事ローテーションの固定化、内部通報制度が十分に活用されず、といった原因が第三者委員会から指摘された。
これに対し再発防止策として、経営トップの意識改革、関与者の責任の明確化、企業の実力に応じた予算設定、会計処理基準全般の見直し、内部統制機能の強化等が掲げられ、役員辞任、会社から元役員5名に損害賠償請求訴訟提起、金融庁に対して73億7350万円の課徴金納付、会計処理問題に関する個人株主からの会社・元役員に対する複数の損害賠償請求訴訟(基本的に和解金を会社が支払い)といった責任問題が発生している。
みなさまの会社はコンプライアンス遵守、内部統制が機能していますか❓」
さて。
営業担当従業員による金券の不正取得の件なんだけど、旅行業界に上場企業なんかいくつもないから💦
んで、この旅行会社はGoToの不正もやらかしているので、ガヴァナンス全然ないんだよなぁ。
GoToの件で創業社長が先々月から40代前半の女性社長にバトンタッチしたこともあり改革に期待したい。
実はこの旅行会社がインド手配を頼んでいた、弊社の競合に当たる会社がコロナ禍とは関係のない諸般の事情で廃業され、営業をかけるチャンスではあるのね。
ただ、コンプライアンスもそうだし、そうでなくてもオラオラな感じが好きになれない旅行会社だったんだけど、新社長による社風の変革が起き、参加したお客様がインドを好きになってくれるようなツアーを創ってくれるようになるなら、それはもちろん是非一緒にやりたい。
こちらが相手にされるのかどうかはまた別問題だけども💦
とりあえず今回のセミナーは目新しいものはないにしても、旅行会社の経営者なら必ず見なきゃダメだよ、って動画なのでこれは半永久的に公開してほしいし、旅行会社の社員研修資料にすべきだと思う。
谷口弁護士は旅行業界における法務のホープ、ということで今後も度々顔を見ることになるだろうし、直接関わり合いを持つことも出てくるだろう。
そういう意味でも見てよかった動画だね。
それじゃあバイバイナマステ💜暑寒煮切でしたっ✨
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?