透明な壁が今日も私の行く手を阻む
いつからだろう。私は、もっと自由になっても良いはずなのにそれを拒んだ。
「自由行きの切符を自ら手放して捨てるなんて勿体無いことするねえ」
紫煙を燻らせながら彼女は言う。
「だって今までみんなと同じ様にしなさいだの普通の人間になりなさいだの命令をしてきたのは、一体誰なの?!」
私は意味もなく喚き散らす。ただ喚き散らす。お気に入りの玩具を取り上げられた子どもみたいに。
私は子どものまま大人になってしまった。いや図体だけは大人になって、精神は未熟児並みといったところか。
惨めな私を誰が笑う?きっと誰も笑ってくれないね。あーあ気分悪いなあ。もう馬鹿みたい。いや馬と鹿よりも酷い存在それが私です。今なら諸手を挙げて賛成します。
「今日もまた逃げ続けるの?自由から」
遠くから彼女の声が聞こえた、ような気がした。
その声を聞こえなかったフリを、した。
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