ベテランデザイナー達が語る業界キャリアアップ術【イベントレポート】
長年デザインの仕事をしながらも、ここのところは自分が何を目指して仕事をしたらいいんだろう?と、若干方向を見失い気味のkyomiyaです。
そんな私の悩みを知ってか知らずか、ご縁あってお知り合いになってから、個人的に彼のキャラクターのファンになっているiCAREの中野さんより、「ベテランデザイナーが、キャリアアップについて語るイベントあるんですけどどうですか?」とお声がけいただきました。
まさに今、キャリア迷子になっている私にとっては、学びや発見があるイベントなのでは…?! と思い参加し、そこでの気付きをまとめてみました!
イベント概要
2020年7月15日(水)19:00〜
ベテランデザイナー達が語る業界キャリアアップ術 UI/UX Designer Meetup #11
【テーマ】
「UI/UX デザイナーの働き方について」
中々表には出てこない、UI/UX デザイナーの働き方について
経験年数10年超えのデザイナー達からご自身の経験を元に、それぞれの立場からLTをして頂きます。
キャリアアップや様々な働き方に興味があるUI/UXデザイナーの皆さんの参考に必ずなると思います。
【登壇者プロフィール】
青木隆之
株式会社iCARE所属:UIデザイナー。
BtoB向けのSaaSを中心にUIデザインを10年以上手掛ける。フリーランスデザイナーなどを経て2018年iCAREに入社。
自社プロダクトのデザインを一手に担う。仕事のスピードに定評がある。
高垣 弘樹
Goodpatch Anywhere所属:UI/UXデザイナー
江口 太郎
ユニオンテック株式会社所属:UI/UXデザイナー
島田 真寿美
フリーランス:UI/UXデザイナー
LT1:受託からインハウスに転職してわかったこと
トップバッターは、イベント主催でもあるiCAREのリードデザイナー青木さん。
以下のような内容のお話をしていただきました。
インハウス/受託デザイナーの違い=求められるものが違う
インハウスデザイナーのメリット
・社内競合が少ない
・経営層に近いところで働ける
インハウスデザイナーのデメリット
・スキルがつかない(案件数が少ない・経験がつめない)
関われる領域が違う
インハウスデザイナーは事業領域以外にも、社内文化へのコミットも求められる(という会社もある)
チーム作りやカルチャー作り、それに関わる制作物などにも関わる
どんな人が受託/インハウスに向いているのか?
技術を磨いてスーパープレイヤーになりたい→受託デザイナー
文化を作りたい→インハウスデザイナー
この方向性が間違っているとストレスになってしまう
私自身も、ずっと受託でのデザインをしてきましたが、現在はインハウスデザイナーとして働いているので、色々共感する点も多かったです。
ちなみに私の場合は、受託だとデザインが使い捨てされてしまうことと、いくら頭を絞っていいアウトプットをしたとしても、結局それはクライアントのものなので、コアの部分にはなかなか関われないことにモヤモヤを抱えていたために、中から事業の成長に関われるインハウスデザイナーになったという感じです。
確かに、コスト感覚や様々な業界・テイストのデザインはできないかもしれませんが、やりたければそれは個人でやればいいと割り切っています。
それよりも、ひとつのサービスに深く関わり、その成長に携われる喜びの方を体験したいという思いで、今まさにインハウスで頑張っております!
LT2:社内と社外のデザイナーについて
2人目は、グッドパッチエニウェアにも属している高垣さんのお話し。
デザイナーとしてのキャリアップについてのお話をしていただきました。
デザイナーとして、理想は常に持ち続けていた。
デザイン会社では、自分の役割を与えられていたけれど、
自分のやりたいこととの業務のパワーバランスが崩れてきてしまったので、自分で会社を立ち上げた。
それが自分の中でのキャリアアップだった。
高垣さんを含め、4人のデザイナーのキャリアアップについての考えと、経験についてのインタビュー結果を発表していただいたのが、大変興味深かったです。
みなさん目指すものや経験してきた業界、これから経験したい業界などが異なり、本当にそれぞれの視点でデザイナーとしてキャリアを築いているんだなあと思いました。
正解は自分が持っているとでも言いましょうか。キャリア迷子の私にとって、いろんな人の視点を知れたのは本当に面白かったです。
お話の中で、特に印象的だったのが「上長に決断してもらうためにデザインするものもあるけれど、それはユーザー視点ではない。」ということ。
何度もリテイクを重ねていると、つい社内でのOKをもらうためにチェックする人の目線に合わせようとしがちになる経験、私もめちゃくちゃあります。
でもそれって本質ではないですよね。。反省😂
LT3:UIデザイナーが転職する際に気になる3つのこと
3人目の江口さんは、海外事情もふまえたお話をしてくださいました。
海外では、UIもUXも考える人=プロダクトデザイナーと呼ばれているとのこと。
以前、インテリアECショップ運営にも携わっていたこともあり、プロダクトデザイナー=製品デザインという印象が強かったのですが、そういう切り口もあるんだー!と素直に思いました。
プロダクトデザイナー=UI作れて、UX語れる人。そしてプロダクトを市場に最適な形に戦略的にしてくれる人。
UIデザインはUX(顧客体験)の大きな流れの一部であり、UXを理解しているかどうかは本質的なUI設計に欠かせないので理解しましょう、というお話しとともに、プロダクトデザイナーとして大切なこと3つを教えてくださいました。
1)情報設計
人は自分の欲しい情報しか見えないものである
受け取るユーザー側のコンテキストが重要
2)ユーザー調査の基礎
ユーザーは時に、忖度した答えをしてしまうので、行動や深層に眠る心理をつなびらかにできる知識があるかが大事!
(有名な、四角い黒いお皿の話を例に挙げてくださいました)
3)認知心理学
人間には認知バイアスがかかる(認知心理学を学んだ人であっても認知バイアスがある=ユーザーはもっと強い認知バイアスがある)
我々がユーザーのバイアスを理解しないとデザインできない
コンテキストごとのバイアスを読むことが鍵となる
江口さんが目指しているデザイナー像は、デザインの視点で、戦略的にリリースしていく、経営者と同じレベルで話せるデザイナーであるとのことでした。
企画段階からUXリサーチ、UIデザイン、開発等、デザインが介入する場面は多いと思うのですが、お話を聞いて、これら全てを個人で極めるのは正直厳しいなあと改めて思いました。
今所属している会社は、UI/UXデザイナーの他にも、UXリサーチャーやサービスデザイナー、UXエンジニアが属しているため、うまく役割分担をして業務ができているので、そういった意味でも、かなり恵まれている環境で仕事ができているんだなあと改めて感じました。
LT4:デザイナーのキャリアチェンジ
最後はLIFULLなどを経て、現在フリーランスとして活動されている島田さん。
これまで、ご自身がどんな意図や意思をもってキャリアチェンジされてきたかということを、包み隠さずお話しくださいました。
(個人的にはこのLTが一番刺さりました!)
数々の経歴と、なぜそのチャレンジをしようと思ったかなどの理由をきちんと持って行動されていたお話しは非常に興味深かったです。
デザインという枠の中で、これまで様々なキャリアチェンジをされてきた島田さんだからこそ言えるのではないかという、以下の言葉が私にすごく響きました。
デザイナーとひとくくりでいっても、それぞれ関心があるものが違う。
掛け算の数が多くなればなるほど、希少性があがるのではないか。
デザイン×○○という、掛け算の数が増えると希少性があがるという考えは、すごく斬新な考えで、目から鱗でした…!
私も転職回数は少なくなく、様々な経験をしてきたけれど、逆にひとつのことを突き詰められていないのではないか、という不安を抱えています。
これからどんなスキルを強みとして伸ばしていけばいいんだろう? どこに向かえばいいんだろう? なんていうキャリア迷子な私ですが、この「掛け算の数が増えると希少性があがる」という考えは、今までの自分の経験を肯定してもらったような気持ちになり、無駄な経験はひとつもないのではないかという自信にもつながる言葉でした!
まとめ
お誘いいただかなければ参加していなかったであろうイベントでしたが、非常に自分の悩みとリンクする部分もあり、有意義な時間でした!
キャリア迷子なんて言ってるけれど、物事の見方や角度を変えたら、もう少し違う側面が見えるよな、ということに改めて気付けた時間でした。
(それとともに、UXってやっぱり奥深いなあとも。。)
自分のキャリアを見つめ直し、これからどんな方向を目指そうか、改めて考えるいいきっかけをいただけたと思います。
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