見出し画像

手紙(ソンバサウナさん)

小学校3年の時 いや、2年生の時だったかな

私のクラスでは空前の手紙メモブームが到来していた。
授業中にノートの切れ端に手紙を書いて、授業中に回すというのが流行っていた
隣の人に渡す時、腕を振るふりをして渡すとか、
消しゴムを貸すふりをして回すとか、
今考えると、麻薬の密売人みたいな、趣向を凝らした技法が発展していた。

教師の目を盗んで回す手紙は格別で、中身なんて対して意味のあるの事書いてなかったよね。

その日も私は手紙を回していた。
いつも通り、大丈夫!
私の思いは次の瞬間打ち砕かれる。

担任の小林先生の目光った。
小林先生はヒステリックな熟年の女性教師で、絶対にばれてはいけない。
その先生に・・・ばれた!!!
なんで今日に限って!!!

激高した小林先生が授業終了後に私を呼び出す事は容易に想像できた

階段の一番下に呼び出される。
階段の一番下は、半分地下みたいになっていて、
その奥には資材倉庫の入り口がある。
普段は使う事のない、その薄暗い半地下の階段下に呼び出さた。

口の中が渇く、小林先生の目が見れない。 先生の怒声がリノリウムの床に反響する。 その声が、ワンテンポ遅れて私の頭に届く。

「手紙の内容はなんだ!!どうせ先生の悪口だろ!!!授業を何だと思っているんだ!!」

え!!悪口なんて書いてない!!
手紙の内容は「今日学校終わったら何して遊ぶ?」って書いてある。

小林先生の被害妄想は続く、永遠に思える逆切れのお説教が続き、
次第に私の目は色を失っていった。

悪口なんて書いていないのに・・・
みんなで楽しくしたかっただけなのに・・・
しかしその心の叫びは小林先生に届く事は無く、
今でも心の中で反響している。

いつか本当の事を小林先生に伝えられたら、
まだ階段下でうつむいている心の中の私が顔をあげてくれるかもしれない。


※この内容はインタビューを元に、加筆修正を加えて作成しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?