ハムスターの四コマ(ZACKYさん)
これは小2くらいの話で
うちは自営業だったんだけど、
その兼ね合いで父親がよくアメリカに行っていた。
それで、今度は家族で行こうという話になって、
家族でカリフォルニアに行ったことがありました。
せっかく行くのだから、いいホテルに泊まろうということになり、
クイーンメリー号?だったけな、海に浮かんでいる昔の客船がホテルになっている、みたいなところに泊まった。
そして僕は、そのホテルに日本から持ってきた
「ハムスターの四コマ漫画」を忘れて、
そのままチェックアウトしてしまった。
その後、僕は旅行中ずっと泣き叫んでいた。
もう何をしても楽しくない、何を見ても楽しくない。
ハムスターの四コマ漫画をホテルに忘れてきてしまった事がただただ悲しい。
旅行のためにわざわざ日本から持ってきたハムスターの四コマ。
旅行の最中に読もうと思って、たくさんの本の中から選んだハムスターの四コマ。
父親は良くアメリカには来ていても、別に英語が堪能流暢と言うわけではなく、そのせいもあってかホテルに電話して、
部屋に忘れたハムスターの四コマについて言及してくれる事はなかった。
いや、今にして思えば日本に帰れば数百円で買えるようなコミックに、わざわざ旅行先でそれだけの労力を割く事が見合わなかっただけかもしれない。
だけど、当時の僕にはそれがわからなかった。
「日本に帰ったら同じの買ってあげるから」
そう親に何度言われても、
僕の心に鳴り響く悲しみの鐘は鳴りやまなかった。
お気に入りだったんだ。大好きだったんだ。
ハムスターの四コマ漫画が無くなってしまった。
その事実が、僕の心に暗い影を落とし、
何処までも続くカリフォルニアの晴天が、
僕の目にはには絶望の曇り空に見えた。
(終わり)
※この内容はインタビューのメモを再構成したものです。