上海ボーリングストーリー(ジュリア)
幼少期は上海に住んでいた。
そのころの記憶なんだけど 、
当時の上海はまだ混沌としていて色々な情報が錯そうしていたし、
アメリカをはじめ西洋の文化はまだまだ見る事が少なかった。
小学校に上がる前の私にも、なんとなくそれが解かっていて、
だからといって、何か特別に思う事もなかったんだけどね。
その頃、私のおじいちゃんは出版社に勤めていた。
多分その関係でなんだろうけど、 当時上海ではすごくレアで珍しかった「アメコミ」を入手してきた。
おじいちゃんはすごいものを手に入れたぞって感じで、
私にそれを話して、 子供だから漫画すきだろ!
みたいな安直な発想だと思うんだけど、
私にアメコミをどうしても見せたいみたいだった。
おじいちゃんに連れられて、私はアメコミを見るために おじいちゃんの出版社が入っているビルに行った。 そこで、アメコミを読みながら、なんかつまらないなーって思って、 ふと窓の外に目をやると、 地面を掘るボーリングマシンが、ゴーンゴーンと大きな音を立てて動いている 街から煙がもくもく出ている。
この映像と音が、鮮明に記憶に残っていて、
私は今でも巨大工業施設をみると、怖いと感じる。
それはあの時みた映像が、アメコミの街とリンクして、
別の世界に引きずり込まれてしまうように感じるからなのだろうか。