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曲亭柊太郎
2024年1月5日 23:29
ここは真田大輔の通う高校 朝のホームルームか始まる頃合いだ。 昨夜は交代で仮眠を取りつつ真田家での護衛を行った三好伊三美(みよし いさみ)と犬塚信(いぬづか しのぶ)の二人は、大輔を高校まで送り届けると何処かへ姿を消してしまった。(どこか見えない所から見守っているんだろうか……) などと大輔が考えつつ、校庭の方をぼんやりと眺めていると予鈴がなり、担任の教師が入ってくる。 担任教師
2024年1月12日 23:28
真田家の近くにある小さな公園、犬川 荘(いぬかわ そう)と木子 中心(きね まなか)の二人が向かい合っていた。 白木の棍を構える中心に対して、荘は素手のままだ。「良いんスか?得物を使わなくて」 中心の問いかけに荘が答える。「要らん、これくらいでちょうど良い」「……手加減はしねーっスよ」 中心が棍を振るい襲いかかろうとした、まさにその瞬間、荘が手を上げた。「ちょっとまて
2024年1月20日 01:54
10年前、アメリカ合衆国、テキサス州エルパソの郊外で、かねてから誘拐と人身売買の容疑のあった人物に司法当局による捜査の手が入った。 肉屋を経営するその人物が所有する古い建物は、郊外でも人気のない地域にあった。強制捜査のため突入した捜査チームは、そこで恐るべき光景を目撃した。悪臭。牢に閉じ込められた数名の幼い少年少女たち。壁にかけられた、拷問や性的虐待のためと思しき器具。バケツの中の肉片。
2024年1月26日 01:36
シスター・ルーが現れた翌日、大輔の高校の放課後を待って、現在護衛の任務に付いている十勇士と八犬士、その全員が集められた。場所は真田家のすぐ近くに完成したばかりのマンションの一室だ。 一階の入口に設けられた数字キーに暗証番号を打ち込み、中に入る。天井の高いエントランスホールを抜け、一階の一番端の部屋、ドアフォンのボタンを押し、少し待つとドアが開き、中からジャージ姿の三好伊三美(みよし いさみ)が
2024年2月4日 00:25
「犬山さんです、予定よりも早く着いたそうです」 犬塚信の一言で、その場の張り詰めた空気が緩んだ。 すごいなみんな、と大輔は感心していた。 ドアフォンが鳴った瞬間、つまり予定に無い来客があった瞬間に、その場にいた全員が立ち上がり、すぐにでも戦いに移れる姿勢になっていた。しかも、特に声を掛け合ったわけでもないのに、霧隠才華と三好清海は玄関の方へ、三好伊三美と犬川荘は窓の方へと、分担して注意
2024年2月17日 01:24
秋晴れの日曜日、緑地や公園が数多くある瀬田谷区でも有数の広い公園の一角に大輔は居た。 一昨日から、十勇士と八犬士を率いる者として相応しい力を身につけるための特訓とでも言うようなものが始まっていた。 休日には主に身体的な能力の向上のための訓練を行なうという事になり、朝食後に入念な準備体操とストレッチに始まって、自宅から公園まで、さらに広い公園内を一周するランニングを終えた所だった。 本
2024年2月24日 01:42
伊三美達の闘いから、時は少し遡る。 犬塚信は真田家へ向かう途上にあった。 八犬士の本部は警視庁内にある。そこへ立ち寄り、連絡事項を取り交わした帰りだった。 メールその他の電気的な通信手段では、どうしても盗聴や傍受といったリスクをゼロにできないため、直接会って話す、結局のところ、これが一番確実な防諜対策だった。 駅近くの表通りを歩く信の前に一人の少年が立ち、話しかけてくる。「僕
2024年6月17日 17:54
真田大輔は武藤松凛と名乗った女と並んで歩きだしながら、考えていた。(武藤……松凛……顔も名前も、どこかで覚えが……あ!) 記憶がよみがえると同時に、言葉が口をついて出た。「まつりん!あの、まつりん!?」「懐かしいな、その呼び方……知ってたの?」「知ってるもなにも、新日本女子プロレスのトップアイドルレスラーだったじゃないですか!」 大輔の記憶に残る武藤松凛は、ひらひらしたア