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曲亭柊太郎
2024年3月4日 00:37
霧隠才華は両目を閉じ、両手で刀印を組んで一心不乱に摩利支天の真言を唱えている。 その背後に一人、ゆっくりと忍び寄る者がいた。手には細身の刃物を握っている。(クラウディアさんはじっとしてろって言ってたけど、どう見ても隙だらけだ、やってやる、あたしだって役に立つ所を見せてやる……!) 才華はやおら目を開き、振り向くと虚空に向けて手を伸ばす。「ひっ!」 何も無いように見えてい
2024年3月29日 12:08
一連の襲撃があった翌日。瀬田谷区の清城。この区にいくつか存在する、高級住宅街として知られる場所の一つである。 ここには、附属の幼稚園から大学まで、一貫した教育を提供し、良家の子女が通うことで知られる学校があった。 その高等部の授業がそろそろ終わるかという頃合いの時間帯、学園の周辺には、普段の清城に似つかわしくない、なんというかガラのよろしくない女子たちの姿がそちらこちらにあった。 い