「怪人」
其58「あなたの身の周りに、『怪人』はいますか?」
おはようございます。エリンギ炒めが食べたい私です。
「怪人」って言っても、ドルゲがルロルロしてるような、マジでアクの強い人でもなく、タバコを40本まとめて喫いつつ10人分の炒飯を3分で仕上げるのが上手な、あふれすぎる阪神球団への愛が原因で、何度も警察沙汰になったことのある中華料理屋のおじさん(架空の人物です)でもなく。
ごくささやかな、電柱の脇に咲くたんぽぽのような怪人が、怪人としての位が、実は高いんじゃない?と思うのです。
私鉄の駅のすぐそばで働きだして、もう10年にはなる私ですが。
店には当然、様々なお客様がこられます。
その人は、私と同じくらいの年回り。そこで働きだしてから、ほぼ毎日のように、見かけるお客様です。
いつも、某珈琲連鎖展開店(コーヒーチェーン喫茶店)の、少しおんぼろな紙袋を持っています。身だしなみは小ぎれい。どこかの会社に、決まった時間に勤めている。そういう雰囲気です。たいがい、なにか思いつめたような顔をして、こまごまと買い物をしていくのですが。
商品移動や、その他のお使いなんかで、沿線の店舗や本社に行くために、電車を使って2~3駅ほどを移動する機会がよくあるのですが、他の駅でも、その人を見かけるのです。電車に乗るところだったり、あるいは降りて駅の外に出ようとしてるところだったり。
その時間帯は決まっていません。この10年くらいの間でとてもよく見かけるので、あれ?と思いました。
あの人、日中はずっと、この沿線の駅と駅のなかをうろついてるだけなんじゃない?
そう思い始めてから、駅や店のでその人を見かけたりするたびに、その疑念がどんどん膨らんでいくのでした。よく見ると、沿線のチラシや情報誌を、珈琲店の紙袋にいくつも突っ込んでいたりします。
そういう仕事があるのでしょうか?駅と駅の間をうろついて、チラシを集める仕事?
真相はまだ謎のままです。聞くわけにもいかないし。
でもこないだ、モノ買って「領収書ください」とも言われたな。
派手な怪人さんより、こういういくらでも想像の翼を広げられる怪人さんの方が、私は好きだな、と思うのです。
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