いまだにワーケーションなんて言葉を使っていること自体が現実を見えていないと思う
先日より、Twitterのタイムラインにこんな情報が流れてきました
ホテル(宿)でのリモートワークで重要なこと
宿泊する場所での、ネット・デスク・椅子というワーク環境が保障されているというのは、かなり画期的だと思うのです。
で、実はこの情報が流れてきた時、僕は自宅を離れて作業をしなければならない必然性に迫られていたのです。二月末から三月初旬にかけて、僕はかなり忙しかったのです。ライターとしての締切、書籍の入稿、そして確定申告。これ全部あわせるとかなりの作業量となります。去年の年末くらいから朝方になっていたので、だいたいAM7:00から仕事を始めて、19:00くらいまで、ずっと作業をしていたわけですが、そこで大きな問題が発生しました。
隣の部屋でリフォーム工事が始まって、騒音が半端なかったのです。
Web会議をするにしてもヘッドフォンがないと声が聞きとれず、マイクでドリルの音声を拾ってしまう状況。これはきつい。
かつて、このような状況に陥った場合の選択肢は2つ
①契約していたコワーキングスペースで作業する
②ワークスペースがあるサウナに篭る
①のコワーキングスペースは、安くて知り合いも多くて、そこそこ居心地がよく、数年にわたって利用させていただいていました。ただ、コロナ禍で利用頻度が減って、去年に解約しちゃったんです。まあドロップインは使えるので、たまーに使ってます。
②のサウナも、数年通っていて、コワーキングスペースを持つサウナってのがかなり貴重で、なおかつサウナとしても最高だったりするので、週3で通っていたりしました。ちなみにこちらです。
以前であれば、どちらでも問題はなかったのですが、このご時世だと、「マスク」をした状態での作業が義務付けられます。これはもうしょうがないのですが、やっぱりマスクをしながらの作業は効率が落ちるし、長時間の作業は辛いんですよ。
となると、選択肢は個室の部屋、つまりホテルやら旅館やらしかないわけです。
実は、2月の末まで、川崎市ではホテルでのテレワークに最大で5000円の補助が出ました。僕も、これは物凄く活用させていただきました。結果、宿泊施設としては文句ないが、ワーク環境(特にデスクと机)という点では微妙というケースが多かったんですね。
ということもあり、このOtellに関しては、かなり期待していたんです。ちなみに、僕がテレワーク環境として最低限必要だと思っているのが以下です。
・ある程度の回線速度(最低でも30Mbpsは欲しい。あとできたらWPA以上)
・机と椅子(たいていのホテルにあるデスクと椅子は長時間の作業に耐えられない)
・デスクライト(間接照明なんかじゃなく、ガッツリと手元を照らして欲しい)
・電源(ベットの横や洗面所に電源あっても、仕事には使えない)
デスライトや電源の延長コードは、フロントで貸し出してもらえるケースもありますが、回線速度、机、椅子が揃っている宿って本当に少ないんです。
長時間のデスクワークに不向きなデスクと机。一般的なホテル備え付けの椅子だと、2時間と座っていられません。なかには、椅子に座った正面にでかい鏡があったりする。自分の姿を目の当たりにしながら、仕事が捗るわけないです!
バケーションに注力している宿は、デスクは別にしても、椅子は結構いいものなので、まあそれなりに長時間の作業も可能ではあります。でも、ネットは「繋がればいいでしょ?」レベルなのがいまだに多い。4〜5Mの回線速度で仕事したい人が、どれだけいますかね? さらに、地方のホテルだと、ネットは回線速度が遅いだけじゃなく、パスワードいらずのフリー接続だったりするケースも多いので、セキュリティ面で見ても仕事で使える環境じゃないんです。
そういう意味では、事前に回線速度とデスク環境が提示されている「Otell」は、非常にありがたいです。まあ、中には、その辺りの理解ができていないのか、どう見ても長時間作業に不向きな机や椅子を正々堂々と提示している宿もあるのですけどね(笑)。
さて、僕が泊まったホテルは以下です。
今回は、あくまでも仕事で「缶詰になる」ことが前提でした。仕事はすごく捗りました。一方でバケーションについては、ほとんど何もしていないので、語ることはないです。
(海が近いので、夏場に行けば、また話は別なのかもです。ただ、僕は暑い夏が大嫌いなので、夏なら北海道にでも行きます)
なかなか便利なOtellですが、何点か不満はあります。
①選択肢が少ない:最初は、サービス自体が始まったばかりだからかと思いました、調べてみると半年くらい経過しているんですね。それでこの数は、ちょっと少ないかなぁと。
②条件検索ができない:例えば「温泉」「禁煙」「朝食」みたいな感じで、最初の選択時に条件検索ができないのはかなり手間です。現状は掲載している宿の数が少ないので、あまり影響はないのですが、掲載数が増えたら、かなりめんどいです。
③申込から決定まで1日(24時間)かかる:個人的に、これが一番のネックです。僕の場合、すぐにでも予定を組みたかったのですが、申し込んで1日経ってから「満室で申し込みNG」との結果がでて、改めてスケジュールを変更して申し込みをしました。結果、こちらとしてはベストなタイミングでスケジュールが組めなかったのが残念です。システム上、しょうがないのかもですが。あと、土日は業務が休みなのか、24時間どころか48時間経っても返事がこなかったので、キャンセルして月曜日に再度申込をすることになりました。このあたりも、事前にわかっていたら助かりました。
こういう感じなので、まだまだ過渡期のサービスということを理解した上で利用した方がよさそうです。
Otell自体は、まだまだ発展途上ではあるものの、上手に使えば非常に便利なサービスだと感じております。
ワーケーションという言葉がむしろこの世界を狭めている
で、今回実際にワーケーション(と銘打ったサービス)を利用してみて感じたのは、「もうワーケーションなんて稚拙な用語を使うのはやめるべき!」ってことです。
海外の方々は、バケーションに慣れているので、そういうスタイルも許容できるのでしょうが、おそらくほんどの日本人は、ワークとバケーションを融合した働き方に馴染むまで、(人にもよるでしょうが)十数年はかかるでしょう。
それよりも、このコロナ禍を経て生じた、リモートワーク環境の変化について考えるべきだと思います。
こういう状況下では、以前のような喫茶店でのリモートワークやコワーキングスペースでのドロップインなどは、なかなかできなくなりました。
もちろん、人によって考え方は違うと思います。ただ僕は、不特定多数の人が集まる場所で感染リスクを負いながら、マスクを付けて長時間の作業することはできないのです。そして、そういう人はそれなりにいると思います。
結果、リモートワークを行う場合、共有スペースではなく個室であることが求められるようになると思うのです。
そうなると、不特定多数と接触する可能性が高い「バケーション」の部分って、そこまで重要視されないと思うんですよ。
むしろ、衣食住の部分、例えば
・長期滞在しても飽きず、コストも抑えられ、(それなりの)食事が採れる
・部屋着が用意されていて、かつランドリーがあるなど、多くの衣類を持ち込む必要がない
・それでも、お風呂は重要
今回利用した「ホテル京急油壺観潮荘」は、個人的には温泉も含めて非常に満足しています。ただ、「ランドリーがない点」、「近隣に飲食店どころか商店がほとんどない点」が、長期滞在のワーク環境としては微妙かなと思います。やっぱ、外食ばかりだとコストがかかりますからね。4泊5日で3食外食だと、食費だけで2万円以上になります。特に、今回の宿泊先は、まぐろが美味しいところなので、ついつい食べちゃうんですね。ってことで、宿代や交通費もふくめて、そのコストがプラスできるだけの作業効率アップが見込めるのかを考えるべきでしょう。あと、そんな生活を一週間続けたら、確実に太ります(笑)。
とは言え、飲食のコスパについては、事前にわかっていれば対処法はあると思います。次行けば、もっと効率のよいやり方もあると思うので、いろいろな宿を試すより、気に入った宿を繰り返し使って、利便性を自分で高めていくのがよいのかなと思いました。
最後に
僕は、「ワーケーション」という言葉が、あまり好きではないです。
いい環境で仕事をすれば、効率はあがります。でもその環境ってのは、バーーション環境ではなく、あくまでもワーク環境です。それは、声を大にして言いたい。
ワーケーションを広げたがる人が発信している情報をよく見てください。
それの多くは、バケーションに関する事業とのコラボレーションで発信されている情報です。はっきり言います。バーケーション環境がどれだけ充実していても、それで仕事の効率が上がるなんてことはないです。
今回、Otellを使ったのは、別にバケーションに魅力を感じたからではないです。ワーク環境を保証してくれる。そこが最大のポイントです。
ただし!
温泉とサウナについては、確実に僕の作業効率を上げてくれるアイテムなので、それは話が別です。
僕にとっての温泉やサウナにあたるアクティビティがあるのなら、それはバケーション環境ではなく、ワーク環境に含めてもいいとは思います。
ワーケーションってのは、あくまでも楽しく仕事をして効率を上げるためのものであって、遊ぶことが目的ではないんですよ!
4泊5日 税込 ¥21,780の部屋。缶詰の予定なので道路側の安い部屋を選択。プラス1万円で海側の景観がいい部屋が予約できる。右端にあるのがワークスペース。
部屋の回線速度。Otellのサイトでは88Mbpsってなっていたので、その半分以下。まあ、許容範囲かな。でも、川崎のドーミーインでも、これくらいは出ていたなぁ。
ホテルのレストランで食べた刺身定食¥1,850。味は文句なしなんだけど、さすがに、毎日だとコスパが悪いので、そこは要検討。
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