読者に対する「やさしさ」のある文章
「おあとでーす」
店内に響き渡る声に私は「ん?」と首を傾げました。
先々週から働き始めた、某コーヒーチェーン店での出来事です。
私がオーダーの入ったコーヒーのソーサーやスプーンをかちゃかちゃと
音を立てながら準備していると、鳥の巣みたいなふわふわな髪の毛を
帽子で覆い隠した年下男子の店長が、突然冒頭の発言をかましてきました。
(おあと??おあとって何の後?)
(「おあとがよろしいようで」と落語家が話している光景しか思い浮かばないんですけど??)
混乱した私は一瞬動きを止めて、店長に視線を送りました。
そして、店長の視線の先で2人連れのシニア世代のご夫婦が自動ドアをくぐる姿を見てようやく気づきました。
(あ、お客さんが来たって言ってるんだな、、)
その後も、お客さんがくるたびに
「おあとでーす」
と注意を促す店長。
その日の勤務が終わるまで、私の中ではその言葉を言われるたびに
胸がモヤモヤしていました。
私が働く他の飲食店では
「ご新規様でーす」
と言うことはあっても、
「おあとでーす」
という言い方は聞いたことがなかったからです。
ただ、後日、他の飲食店勤務の方に聞いてみたところ、
「私は連続でお客さんがきたら、『おあと何名様』って言うよ」
と言われて、
(なるほど、それならわかる!)
と納得しました。
「おあと何名様でーす」を略して「おあとでーす」ってことなんですね、きっと。
他の店員さんも突っ込む様子はなかったので、
その言い方が少なくともその珈琲店では普通なのかもしれません。
ただ、私にとっては初めて聞く言い回しだったので、とっさに理解が追いつきませんでした。
このような「発言する側」と「受け取る側」のギャップは、文章でも同じように起こります。
発信する側がよく知っている言葉であっても
特定の分野の専門用語だったり、
特定の業界でしか使われない言葉だったり、
時には家族内でしか通じない言葉だったり、
することはよくある話です。
たとえば、
セッション、とか
(一般的には音楽を想像する人が多い)
プロダクトアウト、とか
(つくりたい商品をつくって売る戦略のことね)
あいやん、とか
(友だちが子供たちから呼ばれてる呼び名です笑)
(ママ、とかお母さんではないらしい)
業界内では〜
仲間内では〜
家族内では〜
普通に通じる言葉であっても、そこから一歩外に出ると全く通じない言葉になります。
もし、対面のコミュニケーションなら
「セッションって何?どういう意味?」と聞くことができます。
しかし、文章ではそう簡単に聞くことができません。
だからこそ、書き手は文章を届けたい人に対して、
「自分が使っている言葉は通じるのか?」
を常に意識する必要があります。
もし、通じないな〜と思ったら、
・言葉に説明を加える
・別の言葉に言い換えてあげる
のどちらかをしてあげることが、読者に対する「やさしさ」です。
その「やさしさ」があることによって、あなたの文章が最後まで読まれやすくなるというメリットもあります。
知らない言葉が出てくると、人はそこで思考が止まります。
スラスラと読めなくなるので、ストレスを感じて読み進めること自体がめんどくさくなりますからね。
あなたの文章に「やさしさ」を加えて、最後まで読まれる文章を目指してみてくださいませ。
ちなみに私は先日、
「コピーライターって、週刊誌の記事を書く人ですか?」
と初対面の方に聞かれました、、、
(あ〜コピーライターって一般的な言葉じゃなかったか〜)
と反省しているところです。
「それは芸能ライターや週刊誌ライターですね〜」
と返しておきました。
ではでは。
吉澤 香子
P.S
自分が使っている言葉が専門用語かどうか?
の見分け方については、こちらの記事をどうぞ↓
https://note.com/kyoko_yoshizawa/n/n67a1f61fe861
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