『LAST LETTER』を観て

命の終わりが始まりの物語。姉妹。憧れ。恋。嫉妬。後悔。哀愁。手紙。小説。田舎。涙。大切。
好奇心から始まる文通と思い出から始まる手紙のやりとりの中で、もう居ないはずの美咲が生きてるかのように手紙の中で言葉を綴る。
小説家になった乙坂鏡史郎が愛する人へまた書き始めた手紙は少し美しすぎるけど、それは小説「美咲」の続きを想わせた。手紙から始まった思い出が現在と優しく交わっていきながら哀しい現実と向き合っていく。
誰と一緒に居れたら幸せか?不幸せか? 謎の男 阿藤(豊川悦司)と何故一緒になったのか?自らの命を絶った理由は解らないけど やっぱり美咲は好きだったんだと思う。好きになる人、惹かれる人がなぜその人なのか理由は言葉で説明出来なくて、心の焦点が勝手に向いてしまうのだと思う。端から見ると暴力的だったり嫌な部分ばかりが目立つ男でも美咲にしか解らない愛が在ったからこそ苦しかったのかなと考えたりした。
優しい乙坂ではなく阿藤に惹かれた事が周りから見たら不幸でも、美咲本人にとってはどうすることも出来ない、もどかしくも不幸であり幸せだったんじゃないか?と感じた。
阿藤に会った乙坂が言われた台詞が印象的だった。
“影響を与えたかどうか”
のやりとり…自分の存在が、愛した人の心の中に居ないかもしれない寂しさに傷付いた場面からの、小説になった手紙の存在が美咲とその娘の心の支えになっていたことを知った時、乙坂の心は救われたんじゃないかな。

美咲は卒業生代表の原稿に想いを寄せて乙坂との想い出、時間を一番大切なものとして最後の手紙にしたんじゃないかと思う。美しく本当に大切な想い出だったんだと思う。

手紙を書きたくなった。

(ラブレターで共演してた豊川悦治と中山美穂が出てたのも、小林武史が音楽を担当してるのも良かった…またラブレターも観たくなった(*^^)赤いスイトピーのエピソード場面が好き。そこだけで泣ける)

#アートーク