注目のOTC漢方薬(コエキュア®️、JPS桔梗石膏エキス錠N)
医師の処方箋が必要な医療用漢方薬は148処方しかありません。一方、医師の処方箋がなくても自分で選んで購入できるOTC漢方薬は294種類あります。医療用漢方薬よりOTC漢方薬の方が種類が多いので、知っていると便利なことがあります。今回は、最近注目の「コエキュア®️」と生薬製剤の「 JPS桔梗石膏」をご紹介したいと思います。
コエキュア®️(小林製薬株式会社)
小林製薬の「コエキュア」は響声破笛丸という漢方処方で、最大の生薬量を配合した満量処方になっています。声が枯れたときに服用する薬です。風邪をひいて気になる症状は取れて体調は回復してきたけど声だけガラガラ、カラオケで歌いすぎて声がガラガラ、冬に空気が乾燥すると声がガラガラになど声がかれる、声がだしにくいなどの声枯れの症状を改善してくれます。服用する際は、添付文書をご確認ください。製品のパッケージの中にも入っています。
響声破笛丸には、連翹(レンギョウ)、大黄(ダイオウ)、訶子(カシ)、桔梗(キキョウ)、縮砂(シュクシャ)、阿仙薬(アセンヤク)、甘草(カンゾウ)、川芎(センキュウ)、薄荷(ハッカ)の9種類の生薬が配合されています。訶子(カシ)と阿仙薬(アセンヤク)いう生薬にはみなさんあまり馴染みがないのではと思います。
訶子(カシ)はシクンシ科のミロバランの果実を乾燥したもので、漢方的には、止咳、止瀉、利咽の効能があり、咳や声の嗄れ、下痢などに用いられます。ウチダ和漢薬の「生薬の玉手箱 No.173」に詳しく解説されています。
阿仙薬(アセンヤク)は、アカネ科(Rubiaeae)のガンビールノキUncaria gambier Roxb. (U. gambir Roxb.) の葉及び若枝を水で煮て得た抽出液を乾燥させたものです。水製エキスは口腔清涼剤としても用いられているほか、小腸の蠕動運動を抑制し盲腸の逆蠕動運動を促進するため、昔から下痢止めや整腸薬として使用されています。主成分はフラボノイドとアルカロイド。フラボノイドには抗血栓作用があり、アルカロイドにはがん細胞の増殖を抑制するはたらきがあります。(漢方jpコラム参照:【漢方薬剤師が紹介】薬局で買えるノドの生薬と配合おくすり3選)
JPS桔梗石膏エキス錠N(クラシエ薬品株式会社)
この薬は、桔梗と石膏の2つの生薬からエキスを抽出し、錠剤にした医薬品です。去痰、排膿の効能があり、のどに痰が絡み、腫れや痛みがある時におすすめです。服用する際は、添付文書をご確認ください。製品のパッケージの中にも入っています。
医療用ではコタロー桔梗石膏エキス細粒という薬が同じ処方です。医療用では漢方製剤に分類されますが、OTCでは一般用漢方製剤製造販売承認基準にこの処方の記載がないことから、生薬製剤に分類されます。面白いですね。OTC漢方薬に加えて生薬製剤も有効に使える処方がたくさん発売されています。ドラッグストアの漢方コーナーも時々覗いていざ症状が出た時に備えましょう。医療機関がお休みの年末年始やゴールデンウィーク、お盆休み、土日祝日、場合によっては夜遅い時間でも漢方薬を購入できることがあります。営業時間とともにチェックしておきましょう。
かぜで喉の痛みによく効く処方として銀翹散も有名ですが、どのように違うのでしょうか。
と解説されています。この銀翹散も、一般用漢方製剤製造販売承認基準に掲載されていないため生薬製剤に分類されます。私は、喉の症状だけの時は桔梗石膏、頭痛や咳や熱っぽさもある時は銀翹散を選択することが多いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?