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ミュージカル: 「オペラ座の怪人」より、"The Music of the Night"聞き比べ(日本版)

このミュージカルの概説とこの歌と歌手の位置づけについては、海外版で書きました。

ちょうど劇団四季のストーリー紹介動画をみつけたので、私の下手な紹介より、こちらのほうがいいでしょう。リンクします。

では、日本版を書きます。

(1) 市村正親氏
言わずと知れた元劇団四季のスターで、ミュージカルキングです。日本初演時のファントムです。
まあ、もうちょっとお年なのと、ちょっと前に離婚されたので、スキャンダルばかりで、劇場に行かない人はこの方がどれほど名優かたぶん理解されていないと思います(いやまあ、「テルマエ・ロマエ」でローマ皇帝やってるから、皆さん、知ってるか・・・)。日本で、和楽でもないのに勲章2個ももらってる人、まずいません。数々の演劇賞を受賞されています。アメリカ公演や英国公演もされています。
私は「Cats」のときから、劇団四季のミュージカルにはまってしまい、市村さんと山口さんと沢木さんを見るために、何十回と公演にいったのだった。劇団四季はスターシステムでないので、ローテーションで当日の配役が決まるので、好きな俳優さんに当たるかどうかわからないのですな。
まあ、御託はおいておいて、聞いていただければいいと思います。CD持っております。はい、もちろん。名盤です。
市村さんの声質はハイバリトンでテノールでないので、高音部が辛い時があるが、華やかなスター性のある歌なのであります。洞窟みたいなオペラ座の地下にいるのに、輝いているってのが、ファントムが作曲や建築の天才っていうのにぴったり。

NHK紅白歌合戦に、ミュージカルが出たのはたぶんこれが初めてでしょう。
ちなみに、役作りで市村さんはまさかの能楽の「黒塚」を思い出したのだそうです。すごい発想ですね。あきらかにヨーロッパなのに、黒塚だしてくるのすごい。
(黒塚は、中世日本で老婆が人を食い殺すのですが、そんな所業を悲しむのです。そして、旅の僧侶に悪行がばれて死ぬほど恥ずかしく屈辱的なのです。昔は飢餓がひどくて、食べるものがなく、人を殺して食べるという地獄にいたのですが、心の底では救いを求めていたのです。ファントムにたしかに似ています。)
そして私がすごいなと思うのが、最後の場面でひどい目にあって、ヒロインに対して、怒るのですが、このとき、市村さんのファントムだけは、海外俳優に比べてより演技が複雑でして、肩を震わせ、足を引きずるほどのショックでうちひしがれるという二重の演技を見せてくれます。だいたい外国人俳優のは、ただ怒りに任せて怒るという単純演技か、ただ怒りに震えるだけなのです。いやあ、これがまた、「本音と建て前」の日本人らしい演技だなと思いました。演技が二重構造になっているのです。怒っているが、ヒロインが大好きなので怒れない、悲しい・・・とても悲しい・・・苦しい・・・という演技なのです。

ちなみに、「劇団四季のジュリー」と呼ばれてました。

ついでに、「オペラ座の怪人」には続編がありまして、順番通りにやった役者さんは、市村さんだけのようです。ついでに、そういう意味では、現役世界最高齢のファントム役者になります(初演のマイケル・クロフォードさんのほうが少し年上なのですが、ミュージカルは続けておられますが、本公演にはもう出ておられません。コンサートで歌われる程度のようです)。

(2) 沢木順さんです。
市村さん 70歳過ぎよりさらに年上なので、もう引退されているかもしれません(80歳くらい?)が、歌うま度では、ぜんぜん沢木さんは市村さんに負けていません。実は、Wキャストなので、沢木さんは市村さんのWキャストだったのです。
市村さんが40歳前なのに、沢木さんはちょうど45-50歳くらいで、むしろ役柄的にはあっていたような気がします。声の伸びがめちゃすごいです。

初演時の沢木さんの録音らしいものをみつけました。ただし、曲は「オペラ座の怪人」でタイトルと同じほうです。この声の伸びやかさをお楽しみください。
(映像は映画のだと思います。なぜか、後半に芥川英司(鈴木壮麻)さんのも入ってます。マニアの方ですね!)

(3) 山口祐一郎氏
怪人もやっておられて、CDもでていたのですが、ちょっとみつかりませんでした。CDは中古品などで購入できるかなと思います。劇団四季のロングランキャストで探せばあるかもです。
初演のラウルの”All ask of you"をご紹介します。

こっちの「エリザベート」のトート役のほうがご存じかもしれないです。

まあ、山口さんは65歳くらいなので、現役です。歌うまです。演技は謎の演技をされることがありますが(笑)、ファンにはそれもOKなのです。

(4) 佐野正幸氏
現役劇団四季の怪人役です。そして、たぶん世界一、怪人役をやったことのある俳優さんです。5千回以上だと思います(参考までに、初演のマイケル・クロフォードさんが1000回、市村さんがだいたい800回前後です)。歌ちょーーーうまーなのですが、佐野さんはいつみても安定演技です。そして、50代になられたので、演技が深化しているというか、ファントムというおじさん役の年齢になったせいか、しみじみというか、いや、ますますクールで狂人の演技が素晴らしいのです。

こっちの「美女と野獣」の「愛せぬならば」もよいです。

2022年11月30日までは、大阪で公演中です。一度も見たことがないかたは、ぜひ見るべきだと思います。

(5) 石丸幹二氏
たぶん、現在実力人気ともトップミュージカルの帝王は、石丸さんかもしれない。「オペラ座の怪人」はラウル役でデビューして、いろんな主役をされたが、ファントム役をしないまま、退団されてしまいました。しかし、CDなどではカバーされています。とりあえず、”The music of the night"はみつからなかったので、デュエット曲の"All I ask of you"をリンクします。ご堪能ください。

(ちなみに、映像のほうは映画のもので、パトリック・ウィルソンがラウル役だ(笑) ああ、パトリック・ウィルソンってば、このときは王子様だったのに・・・。→今じゃ、おっさん・・・アメリカ人だからな、ごついもんねwww)
「美の真実」これは「ラブ・ネバ―・ダイ」で子供に歌う歌ですが、ロック調で素晴らしいのです。ファントムの続編です。まあ、話はつっこみどころ満載なのですが、歌は全曲素晴らしいです。もちろん作曲はウェーバー卿です。

みつかりましたので、リンク追記します。

TVの「相棒」で切れてる天才ベンチャー企業社長をされてましたが、いやあ、面白かったです。TVにも映画にもコンスタントに出ていただきたいです。→年取ると劇場にチケット予約するのとかが面倒になるのです(苦笑)。値段もCD2枚買えてしまいますしね。

(6) 押川浩士先生

押川先生はたまたまYoutubeでカバーされているのを見たのだが、バリトンでめちゃーーーーー歌うまなのです。いや、歌うまいに決まってるううー。だって、本家のオペラ歌手なんですもん。おまけに、日本で有数の藤原歌劇団とかにも出ておられます。
個人的には今、一押しであります。藤原歌劇団とかに所属されていたり、大学で教えられたりしているので、劇団四季みたいにロングラン公演には出れないと思うのですが、素晴らしいです。
押川先生なら、世界に出れると思います。
佐野さんみたいな、クレイジー感が出ればいいのですが、押川先生、常識人だから、どこまでファントムのクレイジー感が出るかにかかってると思います。楽しみです。

芥川英司(鈴木壮麻)も入れたかったのですが、みつかりませんでした。大変残念です。声がきれいで、ちょークレイジーなのですが・・・。

おまけ
ミュージカルじゃないけど、羽生君も曲に使っていますので、リンクします。わかってるなあ。素晴らしい!!


劇団四季創立者 浅利慶太先生の生声が聞けます。
浅利先生が、それまでわりと小難しいフランスの戯曲ばかりやっていた四季に、ミュージカルを持ち込まれました。日本が世界No3のミュージカル大国になったのは、ひとえに浅利先生と多くの劇団四季のスタッフ、キャストのおかげだと思います。


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