コロナ収束もアメリカ脚本家ユニオンのストライキやハリウッド市場の投資家慎重等で停滞状況ーでも状況は必ず改善する
四カ月ぶりの記事となってしまいました。この間案件として本格グローバル化に向けて動き、それに備えるためグループ関係者に NDA(機密保持契約)の締結等を行ってまいりましたが、正直そのNDAをお願いする辺りからいろいろ雲行きがおかしくなってきました。この間さまざまな対策をとってきましたが、正直市場が停滞の関係で投資家が慎重になる等思ったほどの展開が見込めず悪戦苦闘しました。
そして3年間業界を苦しめてきたコロナが収束しつつあり、展望が開けるかと思いましたが、思わぬ暗雲がアメリカの業界にたちこめました。
全米の脚本家のユニオンのストライキです。
■ハリウッドで脚本家らがストライキを開始 その経緯と現状とは?
日本には役者は勿論、クルー関係でのユニオンというものが存在しないので実感がわかないと思いますが、実はその雰囲気が3月下旬くらいから感じられるようになり業界全体の動きが鈍くなり始めました。
アメリカはSAG(映画俳優組合)を始め、アメリカ四大スポーツ(MLB NBA NFL NHL)等に強力な組合があり、選手やクリエイター、アーチストの権利を守ってくれます。これは日本の連合のような財界との馴れ合いによるナアナアな組合ではなく、きちんとした条件闘争を行う組合で、いずれも知財等の権利の専門家の弁護士(通称エンタテインメントロイヤー)が介在しています。そこが日本と大きな違いですが、これはアメリカだけでなく欧米社会やアジアでもエンタテインメントのビジネスのスタンダード(いわゆるグローバルスタンダード)の一環になっています。正直日本だけがこのグローバルスタンダードの体制になっていません。
ですからこういう動き自体はかなり動きとしては重要ではあるんですが、これによって産業自体がストップする、もしくは限りなく停滞してしまうという面もあり、正直これは痛手でもあります。
ただ特にアメリカのような社会だとこうした組合が強くならないと個人の権利が思うように行使できない可能性もありますね。日本は周囲と同調することだけを考えていればいいですが、アメリカは自己主張をしないと存在すら認められない社会なので、その意味では日本人にはなかなか理解できないところがあるかもしれません。
ではしばらく海外に目を向けるのをやめるのか?といいますとそうではありません。私は筋金入りの海外志向という風に思われていますが、最近特にインデペンデント系のプロデューサーや監督の動向をみますと、いずれも海外映画製作チームとの合作、インターナショナルな映画製作の方向に動いている人が多いことがわかりました。映画製作がボーダーレス、でビジネスモデルがグローバルスタンダードに移りつつあることは現場で動いている人たちが一番実感している、というのが最近のさまざまな動きをみてもわかります。寧ろ国内市場中心という従来の発想に固執しているのがいわゆる「大手」や「メジャー」といわれている人たちであることが最近の流れをみて実感いたしました。
つまり私が今まで動こうとしていた方向性は決して間違っていない、という確信も得ることができました。
そのため少し予定よりは遅く進んでいるとは思いますが、私たちの狙ったような動きには必ず行きますので皆さんにはもう少しお待ちいただきたいと思います。
前出の脚本協会のストライキーこれが沈静化するまでにどのくらいに時間がかかるのかわかりません。特に今回のストは協会と映画メーカーというより協会とストリーミング会社(Netflix, Amazon Prime等)との間の交渉ですので、過去のストの交渉とはだいぶ内容が違います。(それこそAI関連の議題まであるので余計にやっかいです)そのため正直一筋縄ではいかないだろうな、と考えます。特に映画会社側なら組合との交渉経験がありますが、ストリーミング会社側はこうしたことに無経験ですので、時間がかかるかもしれません。前回のストは2007年~2008年で100日間続いたといいますから、今回もそのくらいは最低かかると考えた方がいいでしょう。ストが妥結したとしてもその騒ぎが収束するのに1-2か月はかかるといわれますから、向こう半年はかかると考えてよさそうです。
何にせよ、一刻も早い正常化を願いたいものです。必ずこの動きはまた活発化します。それまで我慢するしかないかもしれませんが…
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