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こんなに違う?言語格差を見える化しよう

みかんが美味しい季節になってきました。

果物はむくのが面倒になりがちなのですが、
みかんはその煩わしさがない。

怠け者に最適な果物です笑


共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


人を励まして前に進む力を与えてくれる。
人に恐怖を与え行動する勇気を奪ってしまう。

このような使い方1つで
真逆の現象をつくり得る「言葉」

幼少期から
どのような言葉の環境で育ってきたかで、
教育効果の大小に差が生まれるのは
いう間でもありません。

しかし、
どれぐらいの量の言葉が必要なのか、
どのような声掛けが適しているのかなど、
具体的な内容が分からなければ
なかなか実感が湧きません。

そこで、
言葉に関する具体的な調査の結果も含めながら、
様々な分野の視点を多角的に使い、
言葉について深めていきたいと思います。

参考になるものがあれば幸いです。



「言葉」は刃物?

よく、言葉は人を傷つけると言います。

使い手次第で、
言葉は薬にも害にもなり得る。

だから、
どんな言葉を発するか
気を付けなければならない、と。

実は、
そのようなことは、
現代人だけではなく、
古来の人々も考えていたようです。

言葉の「言」という漢字。

下の部分の「口」は、
漢字通り「人の口」を表しています。

では上の部分は、
何を表しているのでしょうか。

実は、これは「刃物」を表しています。

口をスパッと切ってしまうほど
切れ味のよいもの。それが「言葉」です。

よって、
言葉というものは凶器になり得る
昔の人も考えていたことが分かります。

「〇〇は絶対にしなければならない」
「あなたは愛されていない人間だ」

そのような
厳しい言葉や非道な言葉は、
場合によって
その人の人生を縛る呪縛となり得ます。

だからこそ、
どのような言葉を発するかは
非常に大切。

それと共に、
どれだけの言葉を発していたのかも
同じくらい意味をもちます。

まずは、言葉の数に注目してみます。


3000万語の格差

生後から3歳の終わりまでに、
家庭によってどれだけの言語環境が異なるか
調査した研究がありました。

調査を行った期間は
生後13か月から36カ月。

ずっと追跡をして調査しました。

親が専門職に就いている家庭
労働者層の家庭
生活保護世帯の家庭とを比較したのです。

その結果、
1時間あたりにふれている言葉の数の平均は
以下のように分かれました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

専門職・・・487
労働者層・・・301
生活保護・・・178

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これを専門職と生活保護家庭に限って、
1年間に換算すると、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

専門職・・・1100万語
生活保護・・・300万語

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

となり、
生後から3歳の終わりまでを想定すると、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

専門職・・・4500万語
生活保護・・・1300万語

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まで広がり、
その差は3200万語となります。

そして、
実際に3歳の時点で子どもの語彙数を測定してみると、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

専門職・・・1116語
生活保護・・・525語

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2倍もの差が生まれていました。
3歳の時点で。

当然、
言語環境はIQにも影響を与えます。

1分、1時間、1日の
やりとりの差が、

塵も積もればで
ここまでの影響力をもつようになるのです。

では、次は
言葉の質について見ていきます。


言葉の質の格差

言葉の内容に着目する上で、
当然ながら否定的な言葉掛けよりも
肯定的な言葉掛けの方がよいことは
ほとんどの人が分かっていることだと思います。

しかし、それは、
恵まれた家庭環境で育ってきた人や、
教育について学んできた家庭が中心。

実際に
言葉の質の数に注目して計測すると、
そこにはやはり如実な差が生まれます。

先の調査では同時並行で、
「肯定的・応援」の声掛けと
「否定・禁止」の声掛けの数を
家庭ごとに調査しました。

1年間単位で比較した結果は
以下のようになります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【専門職】
肯定的・応援 → 16万6000回
否定・禁止 → 2万6000回
【労働者層】
肯定的・応援 → 6万2000回
否定・禁止 → 3万6000回
【生活保護】
肯定的・応援 → 2万6000回
否定・禁止 → 5万7000回

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これを、
4歳まで行われたと想定すると
専門職と生活保護家庭の差はどうなるのでしょうか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【専門職】
肯定的・応援 → 66万4000回
否定・禁止 → 10万4000回
【生活保護】
肯定的・応援 → 10万4000回
否定・禁止 → 22万8000回

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この差を見れば、
子どもの精神にどのような影響があり、
どれだけの格差が生まれるのかは
想像に難くないと思います。

単純に、
肯定⇔否定だけでもこれだけ違うのです。


具体的な言葉掛け

そうは言っても、
肯定語と否定語だけでは具体性はまだ低い。

ここからは、
効果があるとされている
言語によるアプローチを紹介します。

■ 提案と促し

調査でもあったように、
否定語や命令というものは
なるべく少なくした方がよいもの。

「玩具を片付けなさい!」

と、

「遊び終わったね。玩具をどうすればいいかな?」

という声掛けでは、
どのような影響の違いが生まれるのでしょうか。

後者のような「提案や促し」の形では、
子どもの自己制御実行機能
影響を及ぼす効果が高いことが
研究で明らかになっています。

感情のコントロールが
うまくなっていくことが分かります。

■ 行動と人格を分ける

「あなたは優しい人だね」
「あなたは優しい行動をしたね」

この2つでは、
どちらの方が子どもに与える影響が大きいでしょうか。

これは、前者です。

行動よりも、
人格自体を褒められた子どもは、
数週間後の実験において、
寛容な行動を取る指数が高かったことが分かっています。

よって、
人格を対象とした声掛けの方が、
影響が大きいことが分かります。

これを考慮すると、
「叱る」の時は逆にした方がいいと分かりますね。

人格ではなく、
行動に焦点を当てて叱った方が、
子どもの心が傷む割合を少なくすることができるでしょう。

■ 情動調律

発達心理学の中に、
情動調律という言葉があります。

親が乳児が表現する、
身振りや声の抑揚などの
感情が伴る行動を真似るのです。

そうやって、
同じ喜び、興奮を同時に味わうことで
感情共鳴を体験することができます。

オンラインでは無理ですが、
対面においては、
人間の脳というものは
他者と同期することが分かっています。

こうした共鳴体験を数多く積んだ子どもは、
感情表現豊かな子どもになり、
情緒も安定していくでしょう。

■ インリアルアプローチ

これは言語聴覚界隈で
効果的と呼ばれている子どもへの関わり方です。

ミラーリングといって、
子どものやっている動作を真似し、
それを継続していると
段々と大人の動作に注目するようになります。

すると、
子どもの方から大人の真似をするようになる。

他にも、
パラレルトークといって、
子どもの行動や気持ちを言語化してあげます。

すると子どもは安心する。

他にも様々
インリアルアプローチはあるのですが、
長くなるので別の記事で。

このような小さな技術を駆使すると、
言葉掛けはさらに効果的になるはずです。


環境を整えることも大切

日本で家庭環境について行われた調査で、
親が大卒である場合の家庭では、
次のような特徴が顕著に見られたものがあります。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

①習い事参加・テレビ視聴時間制限
②論理的な言語・豊富な語彙による
 「大人との議論・交渉の奨励」
③対外的な学校・地域コミュニティなどの
 組織との関わり・交渉

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

コミュニケーションを取る場が、
非常に豊富に用意されているのが分かりますね。

また、家庭環境では
中流以上の家庭では
次のような共通事項があがってきたそうです。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

❶テレビの視聴時間が少ない
❷家庭内での会話が多い
❸本の蔵書数・読書数が多い

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

両親とも大卒である場合と、
両親ともそうではない場合の家庭間では、

2~6歳の幼児期の間に、
合計574時間の差が生まれている。

食事中はテレビをつけない家庭が多く、
会話自体に非常に集中する環境が整えられている。

1日の食事時間を1時間とすると、
1年で365時間。

10年間で3650時間もの
コミュニケーションの時間に差が生まれます。

そして、
親が本を読む・所持している数と、
子どもが本を読む数は見事に比例します。

このような環境を整えていくことも、
大事なことだと言えるでしょう。


まとめ

知識として知っていることと、
実際にできるということは違う。

特に言葉に関しては、
無意識に発しているものも多いので、

肯定的、効果的な言葉を
たくさん浴びせてあげるためには
かなりの意識が必要になるでしょう。

「言葉」というものは、
「言の葉」と呼ばれ、

人間という「幹」から生まれる、
枝葉になります。

「幹」そのものが豊かであれば、
全ての「枝葉」が
豊かな生命エネルギー溢れる
ものになる。

言葉を磨くと同時に、
人間性も磨き続けていきたいですね。


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