10年先を見据えると「教育」は変わる
寒いっ!!
半袖半ズボンで寝ていたら
急に寒くなってきました。笑
そろそろ夏服にも飽きが来ていたので
丁度良い衣替えのタイミングですね♪
共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨
教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌
どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。
共育LIBRARYりょーやん、元教師です。
教科書通りに進める
単調な知識だけの授業。
人間の内側の何かが揺さぶられるような
脳裏に焼き付く授業。
なぜ、
同じ教科書を使ったとしても、
これだけの違いが
教師によって生まれるのでしょうか。
その答えの1つに、
「どれだけ先の未来を見通しているか」
という指標が
あげられる気がします。
1ヵ月先を見越しているのは、
次の単元への足掛かりを
考えていると言えるでしょう。
1年先を見越していれば、
次の学年に上がったときに困らないように
自立した力を付けることまで考えるはずです。
その日だけをやり過ごすことしか
考えていなければ、
教える内容は当然無味乾燥なものになってしまう。
どれだけ先を見通せるかで、
授業も、生活指導も、言葉掛けも、
何もかもが全て変わって来る。
じゃあ、10年先を見据えていたら・・・?
今回は、
そのようなテーマで
語っています。
楽しんでいただけると幸いです。
教育の究極の目標
あなたは、
教育の目標をただ1つあげるとすると、
何に設定すべきと考えるでしょうか。
筆者は20代の頃に、
以下のように教えてもらいました。
「教育の究極の目標は、意欲を引っ張り出すことだ」
と。
意欲こそが、
全ての出発点なのです。
意欲とは、
すなわち生きる力です。
生きていくために
心を燃やすことができる
エナジーの稼働量です。
いくらお金があろうとも、
いくら優れた能力をもっていようとも、
生きていく意欲が湧かなければ
非常に乏しい人生になってしまうかもしれません。
何かしらの障壁に出会い、
挫かれる経験があったとしても、
生きる意欲さえあれば、
再び生命エネルギーを宿して
立ち上がることができます。
アメリカの教育学者
ウィリアム・ウォードの言葉も、
そのことを表していると言える。
10年後、
教師や親許を離れた子どもが
自分の足で立って、
心を燃やして生きて行っている。
その姿を実現していくためには、
今目の前にいる子どもに
どのような言葉を掛ければいいかを考える。
どのような授業を行い、
それによって何を伝えるのかを見定める。
そんなことを考え続けていくと、
日常を構成する全てが
変わり始める気がします。
道徳授業は生き方指導
教育における結果とは何か。
ある中学校教師は、
次のように述べます。
「成人式に行って、その子どもたちと再会した時に、自分の教育が成功だったか、そうでなかったかが分かる」
もちろん、
成人になるまでには
様々な大人たちが関わっているので、
一概に教師が要因とは言えないかもですが、
これが1つの指標とも捉えられるようです。
そんな10年後の子どもたちへ、
生きる原動力となる何かを残すために
学校教育の中でできること。
その内の1つが、
道徳の授業であると言える。
筆者の所属するNPOでは、
道徳の授業を以下のように表現します。
「道徳の授業は生き方指導である」
子どもたちの
心の奥底に炎が宿るような生き方を
道徳の授業を通して伝える。
生きる気力そのものを伝える。
では、何を通したらそれを伝えられるのか。
それは、人の為に
自分の人生を懸けて闘った人物の
生き方を演出し、伝えること。
例えば、
インドの緑の父と呼ばれる人物。
インドには、
独立の父ガンジーと肩を並べる、
緑の父と呼ばれ
同じくらい尊敬される人物がいるのです。
その人物は、杉山龍丸。
彼は、16歳の時に、
父親と祖父の2人を亡くしています。
その祖父が最期に残した言葉が、
「アジアを救いなさい」
だったのです。
その当時は
インドには広大な砂漠が広がっており、
現在の緑が生い茂る景色の
面影すらありませんでした。
それによって、
3年間で500万人が餓死するような
状況だったのです。
そこで、
その地に赴き
手作業で1本1本植林をしていったのが
杉山龍丸です。
始めは協力を呼び掛けても、
誰一人手を貸してくれませんでしたが、
毎日毎日インドの人の為に
自らが率先して木を植え続ける姿に、
インドの人たちは心動かされ、
それが大きな大きな運動となって
広まっていきました。
かかった年月は約20年。
投じた私財は、140億円。
祖父が遺した農場を全て売り払い、
インドのために使ったのでした。
470㎞もの距離に植えた緑は生い茂り、
さらに、
砂漠化している地域を再生させるため
3000㎞に植林をしていくプロジェクトを
開始します。
丁度、日本列島の長さと同じぐらいでしょうか。
惜しくも、
その途中で亡くなってしまいましたが、
その意志はインドの人々に受け継がれ、
現地の人々が見事にやり遂げることで
現在の豊かな地をもつインドに変わっていったのです。
世界には、このような
自分の人生も財産も投げ売って、
ただ、現地で苦しむ人の為に
全てを捧げようと生きた日本人が
数多く存在します。
そういった人物のエピソードを
1つ1つ掘り起こし、
考え抜いた構成と演出で授業にする。
このような授業こそが、
直接生き方を教えなくても、
勝手に何かが刻まれていくような
生き方指導の道徳授業になると思っていました。
幼い頃に埋め込まれた
利他的な人物の人生を知った経験が、
何かしらの生きる気力を与えていたのならば、
これ以上にうれしいことはない。
そんな風に思えます。
教える<育てる<〇える
「教育」という言葉にある通り、
教育とは「教えて育てる」営みです。
しかし、時代と共に、
「育てる」の部分が
希薄になっていることを感じます。
育てるためには、
その子どもの未来を長期的に考え、
人生を乗り越えていくための力を
地道に地道に付けていく必要があります。
まさに、
5年先、10年先を見据えなければ
「育てる」はできない芸当なのです。
そして、筆者は
育てるよりもさらに先の世界があると
考えています。
それは、
「鍛える」
です。
厳しい修練を超えて、
強く優しい人間になれるように鍛え上げる。
鍛えるためには、
子どもたちにも厳しく接しなければなりません。
子どもたちがぶつかってきても、
動かぬ壁になることが必要です。
筆者は、
全ての授業において
「鍛える」ということをベースに
勉強を教えていました。
もちろん、
意欲を引っ張り出すことこそが
何よりも重要ですので、
楽しく鍛えていくのです。
例えば、
国語の物語の解釈などを作文にする
評論文の指導。
5年目の時に作った
教材研究のノートを引っ張り出すと、
表紙裏に以下のような言葉が刻まれていました。
たかが作文、されど作文。
しかし、作文はただの手段であって、
本当に付けたい力は
もっと先の先にあると考えていたことが分かります。
おそらく、
「この子たちが大人になっても価値があるような力を鍛えたい」
という視点を持ち、
色々と考えていたのでしょう。
当時の国語の研究ノートからも、
相当な時間をエネルギーを
「鍛える」ことに注いでいたことが分かります。
ボロボロになるまで書き込み、
使い込んだ上掲のようなノートが
1年のうちに国語だけで6~7冊です。
戦略、子どもの一人ひとりの変化、
誰に何の力がどれだけ必要なのかの分析、
そんな闘った証が刻印されています。
ただ、この年の筆者は
途中でメンタルバランスを崩してしまったので、
最後まではやり切りましたが、
子どもたちに迷惑を掛けてしまったなと
傷みある思い出となっています。
5年生の時に筆者が担任をし、
6年生ではまた別の担任陣が配属。
そして卒業式を迎え、
「迷惑ばかり掛けてしまい、自分ができたことは何もなかったな」
と、主である卒業生と6年担任陣の別れを
陰で見守っていました。
すると、
お母さん方が筆者の元に来て、
「先生、鍛えて下さってありがとうございました」
と伝えてくれました。
自分のやったことに、
何か意味があったのだろうかと
彷徨っていた時期でしたが、
ほんの少しだけ救われた気持ちになったことを
覚えています。
あの1年で過ごした時間が
子どもたちが「人生を生きる」ために
ほんの少しでも役立ったならと、
願ってやみません。
まとめ
子どもへの愛情をかければかけるほど、
1年先、5年先、10年先と
先の先の未来が見え始めます。
見えれば見えるほど、
まだまだやれることがあり、
勉強すべきことがあると分かってきます。
そうやって注ぎ込んだ想いが、
日常で発する全ての行為に反映するようになる。
子どもに掛ける言葉が
勝手に変わり始める。
目の前のことに一喜一憂せず、
長期的に見て意味があるのかを
冷静に判断できるようになる。
そう考えると、
ペースはそれぞれであっても、
日々勉強している親や教師は
全て尊い存在だと思います。
未来を見通せる目を、
お互いに鍛えていけるといいですね。
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共育LIBRARYりょーやん元教師