見出し画像

生物の人生から「死」を考える。

紅葉が美しい季節。

自然好きな筆者は、
比較的近場の紅葉が美しい場所に出かけてきました。

やはり自然の美しさには
心洗われますね!


共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


誰だって「死」には恐怖を抱くもの。

寿命。
病気。
不慮の事故。

予測していたにしろ、
ある日突然にしろ、
「死」が訪れてきた瞬間は

「なぜ自分が?」

となるのかもしれない。

きっとそれは、
周囲にいる人間の人生と
無意識に比較している中で抱く気持ち。

しかし、
その比較対象が、
人間以外にまで広がったとすると
私たちの認識はどう変わるのでしょうか。

人間以外の生命が
どのような人生を生きて、
どのように死を迎えていくのか

それを知ることによって、
死生観に変化が生まれるかもしれません。

楽しんでいただけると幸いです。



生き物の死に様に注目してみる

多くの生物は、
子孫を残すというプログラムを
遺伝子にもっていると言えるでしょう。

よって、
子孫を残すことこそが、
人生の意味であるとも言えます。

そのような生物たちは、
その「子孫を残す」という行為に対して、
どれだけのエネルギーをかけるのか。

例えば、タコ

タコの寿命は明らかではないですが、
1年~数年生きると考えられています。

そして、
タコはその一生に、
一度だけ繁殖を行うのです。

その一度きりにして
最大のイベントであるからには、
そこにかける想いはハンパではありません。

複数のオスが、
メスに求愛してしまった時には、
壮絶な戦いが始まります。

目まぐるしく体色を変えて激高し、
足や胴体がちぎれてしまうほどの
命を賭けた戦いとなる。

そして、
その戦いを経てメスに求愛し、
一度きりの交接を行います。

それが終わると、
オスは力尽き生涯を閉じていく

死ぬことが運命づけられていても、
子孫を残していくのです。

残った母ダコも、
卵を守り続けます。

自分の餌も取らず、
一時も卵から離れずに。

そして、
孵化する姿を見届けると、
母ダコも力尽きて死んでいく

もし、
自分が死ぬと分かり切っていたとしても、

それでも、
子孫を残すという使命のために
自分の命を使うことができるのか。

人間におきかえてみると
そんな問いが浮かんでくる気がします。


スプーン一杯に費やす人生

日本人に馴染みが深く、
働き者のイメージがあるミツバチ

数あるミツバチの中から
女王バチが選ばれ、

そうではないハチたちは、
働きバチへになっていきます。

そんな働きバチの人生は、
どのようなキャリアなのでしょうか。

働きバチの寿命は、
わずか一ヶ月余り。

その中でも、
色々なキャリアが変化していくようです。

まずは、
最初の仕事として、
内勤を命じられます。

巣の中の清掃や、
幼虫の子守りを行うのです。

次に、
キャリアアップをすると、
巣を作ったり、
集められた密を管理したりと、
より責任のある仕事を任されるようになる。

そして、
働き盛りも過ぎて終わりが近づいてくると、
今度は危険度の高い仕事を与えられるようになるのです。

巣の外で密を守る護衛隊

ついに外界と闘う選択肢をもつ
ハイリスクな仕事へとキャリアを積みます。

それも勤め上げると、
いよいよ最後のキャリアが用意されます。

それが、
花を回って蜜を集めるという外勤の仕事です。

寿命である一ヶ月余りの生涯のうちの2週間、
巣の外の危険な世界を飛び回るのです。

決して、
経験の浅いハチたちには任せられない仕事です。

これまでの経験を生かして、
リスクとチャレンジ精神のバランスを取り、
密を巣に持ち帰ります。

一匹のミツバチは、
働きづめに働いて、
やっとスプーン一杯の蜂蜜を集める。

日本のサラリーマンだって、
生涯年収である2億前後を札束にしてみれば、

1つのリュックにも
収まってしまう。

そんなことを考えると、
人間の人生と重なる部分を感じるのではないでしょうか。

確実にキャリアを積み重ねながらも、
最期は種の為に危険を冒して外へ攻め、
閉じていく生涯。

あなたはここから
何を感じるでしょうか。


5000年生きる生命

鶴は千年、亀は万年。

そのように表現されたりしますが、
実際は鶴は60年、
亀は200年余りの人生と言われたりします。

そんな中でも、
圧倒的に長寿を誇る生命がある。

それが、植物です。

古来から生えている原生林などに生える樹木は、
樹齢5000年と言われるものも存在する。

なぜ、
植物は動物に比べて、
ここまで長寿なのでしょうか。

植物も動物も、
どちらも細胞分裂を行っていく生命です。
(動物は脳細胞以外)

ただ、
植物と動物の細胞には、
決定的な違いがあります。

動物の細胞は、
心臓の細胞は心臓専門、
肺の細胞は肺専門という

専門性が決まっており
それが他の細胞に成り代わるということがありません。

対して植物は、
葉、花、幹など
あらゆるものに成り代われる
万能細胞
で構成されています。

よって、
動物の場合は、
重要な内臓を失ってしまえばアウトですが、

植物の場合は、
葉や枝を一部失った程度では
びくともしません。

加えて、
植物細胞には老化がないと言われています。

動物の細胞は、
テロメアという物質によって
細胞分裂の数が限られている説がある。

そして、
テロメアを回復させる
テロメラーゼという酵素があり、

これが、
子どもをつくる時に働き、
新しいテロメアに回復した細胞で
子どもを構成してくれることになります。

ちなみに、
細胞分裂の時に遺伝子が傷つき、
突然変異でテロメラーゼを合成した細胞が
がん細胞です。

だから、
がん細胞は死なないのです。

対して植物は、
全ての細胞が花になり得るために
全ての細胞がテロメラーゼをもっています

よって、
無限に細胞分裂できる

おまけに、
強固な細胞壁によって
がん細胞が入ってくるのを
ガードすることができるのです。

がんになることもあるのですが、
一部ががんになっても
致命的なダメージを受けない
ため
何も問題なく生きることができます。

しかし、
そんな植物にも死は訪れる。

遺伝子上に
死ぬことがプログラムされているようで、
プログラム細胞死によって
突然死ぬ瞬間が訪れます

老化がなく生涯現役であったのに、
突然に死が訪れるのです。

5000年の寿命や、
がんになっても問題ないと聞くと
うらやましいと思える部分もあるかもですが、

植物は食物連鎖上、
全ての生物の生産者とも呼べる存在です。

毎日朝ちゃんと起きて、
光合成という仕事をし続ける。

どこかに移動する自由はなく、
ひと所で生涯働き続ける

そして、
何の前触れもなく
ある日突然死が訪れる

どちらが幸せかという
単純な指標ではかることができるものではありませんが、

自分がその立場だったらと、
思わず考えてしまいますね。


死なない動物も存在する?

さて、
細胞分裂の数が限られているという
テロメアの話をしました。

一方で、
動物でありながら、
このテロメアのシステムを退化させて、
老化というシステムを
なくしてしまった
動物もいます。

それが、
ハダカデバネズミです。

その名の通り、
毛が無く裸で、出っ歯なネズミです。

このネズミが
不老長寿となった理由は不明とされていて、
病気にも強く、
がんにもなりにくい仕組みをもっているのだとか。

一般的に、
哺乳類は歳を取れば取るほど、
老化が進み、死亡率が上がっていく。

しかし、
このハダカデバネズミは
年齢に関わらず死亡率が一定

老衰で死ぬことが許されない以上、
病気やケガなどで死を迎えることになる。

自然界のシビアな世界を、
病気やケガ、捕食といった危機を避け続け、
終わりのない道を生き続ける。

これはこれで、
置かれてみるとどのような気持ちになるのかは、
なかなか感慨深いところがある気がする。

先ほど、
テロメアのシステムを「退化」と
表現しましたが、

その表現の通り、
生物は進化の過程上で
テロメアをわざわざ進化させてきた

つまり、
世代交代を進めるために、
「老いて死ぬ」ということを
望んで獲得してきたということなのです。

そう言われると、
「死」というものについて、

これまで考えてこなかった
新しい視点が
与えられるような気がします。


まとめ

動植物にとって、
その種が誕生して死ぬまでの過程は
ある程度プログラムされている。

よって、
当たり前のものとして
迷いなく行われるものなのかもしれない。

対して人間は、
死という終着点は決まっていても、

そこに至るまでの人生は
実に様々あるからこそ、
迷いも多く生まれる気がします。

人間にとって、
自分の命を全うするとは何なのか。

それは、
自分自身で見つけていくしかないのでしょう。

ただ、
自然界というシビアな世界を生きて、
命を全うするために
迷いなく人生を閉じていく動植物を見ていると、

何か違った視点や感性を
得ることができるのかもしれませんね。


この記事の内容が少しでも
「よかった」「ためになった」
と思われた方は、
スキやフォローをしてくださるとうれしいです!
コメントも残してくださると有難いです!
コメントを読んだ方々が、
より教育についての知見が深めることができる
図書館でありたいと思います。
いつもいつも、最後まで読んでくださり
本当にありがとうございます!
皆さんの今日・明日がよき1日でありますように😊




いいなと思ったら応援しよう!