「体験格差」って昔からあったんじゃない?
noteの記事を見ていると、
内容の変化に秋の訪れの予感を感じたりします。
りょーやんのセンサーが反応したのは
さつまいも。
焼き芋好きなので、
これからスイーツが美味しい季節がうれしいですね~♪
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教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌
どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。
共育LIBRARYりょーやん、元教師です。
西暦2000年前は
学歴社会が非常に重視されてきた日本や世界の教育。
しかし、
「学力が高い=能力が高い」
というセオリーが、
非認知能力といった概念や、
実際の生産性の面からも様々見直され、
現在は、
コミュニケーション能力や
人間関係を形成していく力が重視されるようになりました。
そんな中、
社会性を養うために、
豊かな体験を積むことが重視されるようになっています。
そして、
「体験格差」
というものが
注目されるようになってきている。
「え?体験格差って昔からあったんじゃないの?」
「裕福な家庭が旅行にたくさん行けていたのは昔もじゃない?」
そう思った方も
いらっしゃるのではないかと思います。
しかし、どうやら、
かつての体験格差と、現在の体験格差は
少し色合いが変わってきているようです。
今回の記事では、
そんな一面を切り取って
話を展開していけたらと思います。
何かの気付きのきっかけになれば幸いです。
経済による格差の実態
旅行。
留学。
スポーツ。
習い事。
野外活動。
体験と聞くと、
そのような内容が浮かび上がってきます。
確かに、
そのような活動には一定のお金が必要です。
年収によって、
体験にいくらかけるのかを調べた調査では、
以下のような差が生まれています。
世帯年収が
300万円未満の家庭が体験に使う平均額は、
年間、3万8363円。
対して、
600万円以上の世帯年収の家庭の平均額は、
年間、10万6674円となっています。
子ども一人あたりに対して、です。
様々な体験は、
子どもの非認知能力を高めたり、
まだ知らなかった自分の興味関心に気付いたり、
新しい経験を積むことで好奇心を養ったりと、
人生を豊かにしていく力があります。
もし、周囲がこのような体験をしている中、
「うちは家系的に厳しいから無理」
と、体験を積むことが
家庭の事情でなかなかできなかった子どもは
どのような考えになっていくのでしょうか。
「どうせ、自分には選択肢はないのだ」
と諦めていくことが多くなり、
考えが狭まっていく可能性もある。
自分から何かを掴もうとする気持ちの減少。
何が得意か気付く特権の喪失。
それらが生きる気力に関わってくる。
体験を幼少期に十分に積めなかったと語る
当事者の方で、そう主張している方もいます。
確かに、
様々な体験を積んでいるかどうか、
学校外でポジティブな経験を積んでいるかどうかで、
見える世界はまるっきり違うかもしれない。
そして、大人になったときに、
なかなか幅広い選択がとれなくなるのかもしれません。
しかし、経済的な格差は
かつても存在していたはず。
なぜ、今、
これだけ体験格差が叫ばれ始めているのでしょうか。
体験格差の「質」の変化
かつては、
「魚の絵を描いてください」
と言われ、
魚の切り身を描いてしまう子は、
都会の子だと言われてきました。
自然に触れたことがないという
体験の質の違いとして
そのような現象が取り上げられていた。
しかし、現在は、
魚の切り身を描くのは、
逆に地方の体験が少ない子が増えているそうです。
体験の格差の「質」は
どのように変わってきているのか。
それは、
世の中の変化を見てみると
うっすらと分かってきます。
まず1つ目は、
大学入試が変わり始めたこと。
かつては、推薦枠のような
AO入試はほんのわずかでした。
2000年には1.4%がその割合だった。
一方、現代のAO入試の割合は、
12.7%にまで上がってきています。
高校在学中に、留学をしていた。
企業と提携して様々な活動をした。
そんな体験をプレゼンして、
豊かな人間性やコミュニケーション能力、
高校の成績などで入試を通過していく人が
増えてきています。
筆者は、
あの大学入試のしんどさに比べれば、
いい方向に向かっていると思えますが、
体験の格差が露呈しやすくなる一面であることは
確かにそうだと思えます。
しかも、これからもこの割合は増えていくでしょう。
2つ目は、
企業が求める人材の質が変わっているということ。
1980年頃までは、
多少のコミュニケーション能力に凹みがあっても、
学歴さえ高ければ評価された。
しかし、
段々とそのバランスが逆転し、
現在は学歴もあった方がいいけど、
それよりはコミュニケーション重視という企業が
増えていきています。
そうなると、
幼少期からたくさんの大人たちや
たくさんの自然豊かな場所で過ごした人の方が
社会性が育まれる可能性が高くなるかもしれない。
そして、
家庭、学校、地域という
子どもを取り囲む環境全てが弱体化し、
子どもに対して使える資源が少なくなっている。
二世帯同居だったのが
核家族化することにより、
祖父母との交流時間が減少した。
共働きにより、
親と一緒に過ごすことができる時間は減少している。
学校は働き方改革が進み、
行事も縮小化。
休日まで部活や遊びに付き合ってくれた
先生たちもプライベートを優先するようになった。
地域のイベントも減少し、
今やボランティアのコミュニティは半減している。
消防団の自警団も、
かつては200万人ほどいたのですが、
現在は70万人未満にまで減少しているそう。
全てのグループが、
子どもに関わる活動から引いて行った。
結果として、
子どもを取り囲むスペースに
空洞が生まれているようです。
学歴 × 経済 × 時間
年収の高低で経済格差が生まれる。
この構図は分かりやすいです。
しかし、現在は、
経済格差によって時間格差というものが
生まれているようです。
現在の日本の外出についてですが、
年間のお出かけ回数の平均が23.5回。
お出かけ平均単価が13,409円だそうです。
一見すると、
お金の問題に見えますが、
これは時間を捻出できるかの違いでもあります。
共働きであったり、
一人親家庭であったりすると、
子どもと過ごすことができる時間すら減っていく。
学力の格差であれば、
家庭教師や塾に行かせることも
がんばればいけました。
それは、
子どもが勝手に塾に行ったり、
家に招いたりすれば
親が時間を使う必要がなかったからです。
しかし、今は、
体験重視ですので、
どうしても大人が一緒に時間を過ごすことが
必要になります。
少子化になり、
地域からスポーツクラブが消え、
スポーツができる場所が遠く離れるほど、
送迎にも時間を使うようになります。
外出とまで行かなくても、
一緒に外でキャッチボールをする体験すら
積む時間がない家庭もある。
結果として、7人1人が
長期休暇に「たったの1日」すら、
旅行のようなお出かけをすることが
難しくなっているようです。
そして、社会的にも、
このような家庭の実態に
フォーカスが当たりづらくなっています。
なぜか。
それは、
子どもがいる家庭が、
日本全体の18.3%しかいないからです。
1000万世帯を切っています。
80%以上の日本の家庭には、
子どもがいない状態なのです。
身近に子どもがいないから、
このような話題になかなか実感がもてません。
子どもがいる家庭が1000万世帯未満の中、
ひとり親家庭世帯は141万世帯、
そのうちの母子家庭世帯は123万世帯です。
(2016年)
そう考えると、
かなりの数の世帯が時間を捻出することに
困っていることがより伝わってきますね。
アメリカはもっと顕著で、
かつては勉強が得意な子は勉強、
スポーツが得意な子はスポーツという、
得意分野が分かれていましたが、
今は、経済的に豊かで、
両親に学歴があって、
時間にゆとりがある家庭ほど、
スポーツができるようになっているそうです。
早い段階からスポーツを習わせ、
体験にお金を使うからこそ、
才能が開花するのが早いのでしょう。
文武両道が富裕家庭に集まれば、
ますます格差が開くことになりかねませんね。
子どもの体験格差解消プロジェクト
「これ以上格差が広がれば、日本が日本じゃなくなる」
サッカーの元日本代表、
本田圭佑さんがSNSにそう投稿したそうです。
そして、
このような格差を重く受け止め、
何とかしようと活動し始めている人たちもいます。
メディアでよく見るリディラバ代表理事、
安部敏樹さん。
『学力の経済学』がベストセラーになった
中室牧子さん。
はなまる学習会代表、
高濱正伸さん。
アソビュー株式会社CEO、
山野智久さん。
一人ひとりが実績を残し、
かなりの経験値と有識をもっている、
強力なメンバーが発起人となっているプロジェクトです。
中室さんがいるので、
全てをエビデンスベースドに落とし込んで、
体験が人生に与える影響を
ファクトに焦点を当てて語ってくれています。
まだまだ活動は始まったばかりで、
クラウドファンディングでも
上記のページでも支援金を調達していますが、
実際に子どもたちを様々なところに連れて行き、
体験させる取り組みを進めているようです。
筆者は、4人とも、
結構好きなメンバーですので、
ぜひ、この取り組みを応援しつつ、
筆者の地域からでも
参加できる種類の活動ができたら、
スタッフとしてボランティアで参加したいかも・・・
なんて思っています。笑
ぜひ、こういったプロジェクトが成功し、
全国各地に広がっていくように
支援していきたいです。
まとめ
様々な問題が表面化し、
子どもたちに不利益が被るようになると、
途端に、
「子どもたちのために」
と立ち上がる人が出てくる。
そういう人たちを見ると、
心の中の炎が燃え上がります。
たまたま、社会的に、この時代に、
弱い立場になってしまった人のために
立ち上がろうとする姿勢こそが、
真にかっこいい日本人であると
筆者は信じています。
教育界以外からも
有難い援護射撃をしてくれる方々を、
すごくうれしく思いますし、
一緒に動いていきたいと思えます。
子どもたちに
できるだけ多くのチャンスを与えるために。
有志の大人たちで
できることをしていきたいですね。
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共育LIBRARYりょーやん元教師