YZY GAPについて思うこと
本日、7/13にGAP国内販売では初のYZYGAPが販売受付を開始した。時折、動きがありながらも国内販売があるのかどうか雲行きが怪しいYZYGAPだったが、カニエ・ウエスト(以下カニエ)がバレンシアガのオートクチュールのコレクションに招待されていたジャケットが手に入ることができそうだ。カニエはこのジャケット販売に至る前に面白い行動を取っていた。
1.自身をYZYGAPの広告塔として起用する
カニエのアパレルブランド、YEEZY SEASONではモデルやラッパーなど、そしてキム・カーダシアンまでもがブランドの広告塔として起用されていた。それまでのカニエはデザイナーやディレクターのような役割で登場していた。今回のYZY GAPは広告塔を起用したルックブックは無く、カニエの着用画像が主な情報といえる。ここ最近の素顔を晒すことを辞めたカニエのファッションはより一層、マスクで顔の半分近くを隠すことになったこのコロナ禍においてもその異質性が目立つ。特にマスクをしている人が少なかった印象のバレンシアガのコレクションでは。しかし、顔を隠したからこそ、カニエが敬愛するマルタン・マルジェラ のコレクションのように人々はカニエの表情ではなく服に視線を向けるだろう。人々が視線を向けた先は自身の新たなアパレルラインであり、その熱が冷める前にジャケットを販売した。
2.アンチファッションを投げかけているのか
このYZYGAPのジャケットをカニエが着た場所はバレンシアガが再開したオートクチュールのコレクションだ。オートクチュールは様々な定義ができるが、ここでは次のように定義する。
オートクチュールとは、高級衣装店のこと。デザイナーが顧客のために完全オリジナル衣装をデザインするもの。生地、仕立ても含め最高級の完成度を持つ。
デザイナーによって一着一着、デザイナーとリアルに繋がりがある顧客のために作られているため、既製服とは全く別物である。それは現代のように既製服が主流ではなく、まだ限られた人々がファッションを楽しんだ時代、むしろ本来あるべきファッションの姿ともいえる。しかし、そこで着たカニエのジャケットはデザイナーとの繋がりは必要なく、欲しいと思えばオンラインで注文ができる。そして、既製服であるため一着一着が異ならない。サイズはXXSからXXXLと幅広く対応している。それは本来のファッションの姿であるオートクチュールとは全く正反対のものだ。
まとめ
YZYGAP発売に先駆けてカニエが取った行動は非常に興味深いものだった。自身の表情を隠すことで、服に注意を引きつけるマルタン・マルジェラ の手法を取り入れたり、本来のファッションの姿であるオートクチュールのコレクションで、誰もが手に入る既製服を着ていくことでそれはアンチファッションと捉えかねない。私はそのように捉えてしまった。
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