夏の終わりに思うこと。

dis-coveredというイベントを始めて1年が経つ。第1回目は原宿にある小さなカフェで、ほぼ生音でのライヴでした。
思えば1年前の今頃は不安や期待の入り混じった日々を送っていて、そして毎週のように埼玉県にあるスタジオへ行っていた。

なぜならオープニングアクトとして自分がバンド活動をしていた頃の曲を1曲だけ演奏する事になっていたから。
しかも自分ひとりではなく、人前で歌う事が初めてという女の子が一緒だった。
ひょんなことから彼女の歌声に触れたのが昨年の2月。リハーサルが始まったのは4月。つまり半年近くも1曲演奏する為のリハーサルに勤しんでいたということになる。

結果的にオープニングアクトとして出演した我々はまずまずの評価を得た。
特に円庭鈴子さんが「もっともっとやりなよ!」と言ってくれて嬉しかった。

その後、一緒に演奏した女の子はたくさんの友人達に何も告げることなく、ある時突然消息を断った。
今では彼女が何をしているかを知る者はおそらく誰もいない。
彼女は何気ない日常の中でふとあの日々のことを思い出すのだろうか。

dis-coveredは有り難いことに第1回目が開催された2016年9月からの13ヶ月間で4度開催されるイベントとなった。

けれど、dis-coveredについて思い返す時、たった1曲のためにスタジオに通い詰めたあの日々を必ず思い出す。
埼玉県のある駅前をうんざりするような湿気を身にまといながら歩いた夜のことも。